息子・タク(7才)が「ポケモントレッタ」というゲームにはまっている。

↑こういうの。1回100円で自分のポケモンを闘わせ、相手ポケモンをゲット出来ると「トレッタ」と呼ばれるポケモンキャラのデータが入ったチップが貰えるのである。
はまりすぎるのもよくないので、「1ヶ月500円」というルールを定めた。2月中にキッチリ500円分ゲームをしてウズウズしていたタクは、3月になってからすぐ
「トレッタやりたい!3月になったからまた500円ぶんやれるでしょ!早くやりたい!」
とにかく早く連れてけと暴走寸前となっていたため、
「じゃあ今日の宿題とピアノ練習やれ。午前中に終わらせろ」
やることやったら連れてってやるよ、と答えた。タクはすぐさま取りかかり始めた。こういう時だけ早いんだよなあ…。ウチからそのゲーム機が置いてある最寄りの場所は、ひと駅先の某大型スーパーのおもちゃ売り場である。そこまで連れて行かなければならない。
「でも今日やるのは200円な。あと300円は今月の終わりまで取っとけ」
今日500円ぶんやるのは使い過ぎだし、使ってしまったとしても4月までもうやれないわけで、そんな長い期間タクがガマン出来るわけないのだ。
他にやっている子を見てもだいたいそれぐらいである。ただ以前、ものすごい数のトレッタを持った、かなりやりこんでそうな親子がいて、お父さんはドッカリと床にアグラをかいてスマホでゲームをし、牢名主のような貫禄がある。そして子供が1回ゲームを終える旅に
「ふん」
と100円玉を渡してまたやらせるんである。タクがやった後そのスーパー内で買い物をしたり、ゴハンを食べた後、またそこを通りかかったらまだやっていたのでどんだけやり込んでるんだっていう。
「もしかしたら1日中いるかもしれない親子がいたよ」
と帰って嫁に話したら
「あんただって昔、1日中ゲーセンにいたじゃない」
かつて僕がビートマニアというゲームに指から血が出るほど大ハマリし、またDDRをいうゲームに体重が7キロ痩せるほど大ハマリしていた過去をほじくり返されてしまった。てへぺろ。
さて、タクを某大型スーパーのおもちゃ売り場に連れて行く。タクに午前中に終わらせろ、と言ったのは、前回は午後に行ったら10人弱の子供達が並んでいたので、朝の開店直後ぐらいを狙ったためである。で、着いてみたら
「わっ女の子がいっぱい並んでる…!」
この時間でも行列が出来てるのか、と驚いたが
「ちがうよー。こっちのゲームだよー」
女の子達はポケモントレッタではなく、その隣に置いてある「アイカレ」というゲームに並んでいたのであった。タクは
「やったー。ポケモントレッタはだれもいないよー」
待ち時間無しで出来るのを喜び、早速遊び始めたが、僕は女の子の行列が出来ている「アイカレ」の方を見ていた。朝から行列とはポケモン以上の人気なのだなあ、と。

アイカレとはこんな感じのゲームである(板野友美は別売り)。アイドルを育てるゲームであるらしい。やるごとにドレスとかオサレアイテムのデータが入ったカードが貰えるようだ。タクがトレッタをセットしてゲームをしているように、女の子達もカードをゲーム機にセットしてプレイしている。
並んでいるのはだいたいウチの娘・R(9才)ぐらいから6年生ぐらい。すべて女の子かと思いきや、ひとりだけアラサーぐらいの男がいた。僕のように女の子を連れて来た父親かお兄さんなのかな、と思ったが違った。彼自身一生懸命ゲームをしてるし、カードがドッサリ入ったファイルブックを持っているのである。
「ねえねえ、カード貸してあげようか?」
などと女の子に気さくに話しかけていて、
「じゃあコレ貸して~」
女の子もキャイキャイと借りてたりして。なんか、非常に危険な光景に見えてしまうのは僕だけだろうか。彼が育てたいのは本当にゲームの中のアイドルなのだろうか。それとも…。
「きも」
タクはひとことだけそっと呟いていた。ああ口に出して言っちゃったよ。気が付くとタクはもう200円分のゲームを終えてしまっていた。
「じゃ、帰るか」
「ん…」
タクは物足りなさそうであった。いつもは何人も並んでいて長い時間待たされるが、他の子がやっているゲームを見たり、一緒に並んでいる子とすぐ仲良くなってワイワイ情報交換をしたりトレッタの貸し借りをしたりするのも楽しみのウチのようだ。
今日はそれがなくアッサリ終わってしまったので物足りないのだろう…。しかし約束は約束なのでキッチリ200円で終わらすのが正しいのだろう。しかししかしタクの気持ちも分からないでもないのと、僕もせっかくひと駅先くんだりまで来てものの10分で帰るというのもトンボ返り過ぎる、と思い、
「じゃ、ほれ。ママとRちゃんには内緒だぞ」
つい100円出してやってしまった…。
「やったー!」
タクは大喜びでもう1回だけゲームスタート。なんかちょっとレアなトレッタが取れたようで更に喜んでいた。
「いいか、ママに言ったら怒られるし、Rちゃんに言ったら『たっくんだけ100円ずるい』って言われるから絶対内緒だぞ」
「わかってるわかってる」
そんな話をしながら家に帰った。タクは早速Rにどんなトレッタが取れたかをしゃべり始めた。あれだけ口止めしたからまさか言わないよね…と聞き耳を立てていたら
「内緒の話、言っちゃおっかなー」
「おいこら」
タクを睨み付けたがアフターカーニバル。覆水盆にスピルトミルク。ホントに人がいったことを右から左へ受け流す男だなコイツは!
「えっ。内緒ってなあに!」
当然Rも厳しく聞いてくるよなあ。ただRは基本頭の中がお花畑なので、なんとか誤魔化すことが出来たが…。タクには絶対内緒話は出来ないと思った。Rがいなかったら波平ばりに怒鳴っていたことだろう。
ポケモーンじゃなくてバカモーンである。
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今日もアリガトウゴザイマシタ。