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今日もアリガトウゴザイマシタ。
「どどど、どーしたんだ!怪我したのか!」
「ドアに挟まれちゃってね…」
嫁によると、幼稚園友達のみっちゃん&みっちゃんママとファミレスに行った際、みっちゃんがドアを閉めたところ蝶番の間にRが指があって
「ギャアアア!」
自分の身に降りかかった災難ならまだしも、小さくて頼りないRの指にそんな重圧がかかった…なんて想像しただけで股間がキュウとなり鳥肌もんである。
「うわあ…そりゃ可哀想だったね、Rちゃん」
「うん…」
シップの間から見える小指の先は赤くなっていて痛々しいが、今はわりとケロッとしている。
「でも挟まれた時、『いたいいたいいたい』って言って大泣きしてたのよ…」
「そりゃそうだろう。医者連れてったか?」
「うん。骨は折れてないようですって言ってた」
「ようです?」
「レントゲンないのよ、あそこの小児科」
「うーん。確かに折れてればこんなにまったりしてられる状態じゃないが…」
僕は小学生の頃、腕の骨を折ったことが2度ある。最初はサッカーゴールによじ登り、てっぺんから飛び降りて骨折。2回目は体育館の壁によじ登って落ちて骨折。バカと煙は高いところが好き、を地で行く子供だった。
あの時の痛みは…最近痛かった出来事と比べると、そう、社会の窓に恥かしい包皮を挟んでしまった時より4096倍ぐらい痛い。今時「ちょっとーちょっとちょっと!」と言っている嫁より256倍痛い。
しかし腕と小指じゃ事情が違うのかもしれないし素人判断は危険。何よりも可愛い可愛い娘のことである。
「すまんが明日、骨が折れてないかだけ確認してくれ」
Rの幼稚園が終わった後、整形外科に診させるよう嫁に頼んだ。
「みっちゃんママがね、『Rちゃんパパにもごめんなさいって伝えて下さい』って言ってたよ」
「彼女に謝られてもなあ」
別に彼女を責めることではない。ただ、僕とRは小指の赤い糸で結ばれているはずなので、それが切れてしまっていないか心配である。しかしそれはレントゲンでは分からないのね…。
翌朝、まだRの小指は赤く腫れていた。
「Rちゃん。どうだ、曲げられるか?痛くないか?」
「ちょっといたいの」
と言っていたので些か不安だったが嫁に託して僕は会社に行き、昼過ぎに嫁にメールで問うてみたら
「大丈夫。今も普通に遊んでるよ」
とのことだったのでまずは安心。家に帰ってから改めて嫁の話を聞いた。
「病院連れてっただけでRが泣いちゃってさー。しかもレントゲン室にはRひとりで入らなきゃならないから尚更で。撮影する時びびってるから指も縮こまって伸ばしてくれないの。だから写りが悪かったんだけど、先生は『まーだいじょぶっしょー』って言ってたよ」
撮影するのに文字通り骨が折れたらしい。いや、Rの骨は折れてなかったが、つくづく骨のない娘である。
問題:みっちゃんママに「悪いことしたなー」と思ったことは何でしょう?
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嫁の隣には、息子・タク(1才)がピカチュウのぬいぐるみと共に寝ており、嫁を挟んで反対側には娘・R(3才)がフゴフゴと鼻が詰まった寝息を立てていた。
頭の中は「猥」とか「褻」とか「淫」とかだいたいそんな感じである。ただ露骨に口にするのはインテリジェントではないので、他愛のない話から始めるのだ。
「…タクはピカチュウが好きなのかな」
「それは何故かRが『ぴかちゅうはここに寝るの!』って布団に突っ込んだのよ」
(ちなみにこれはRにリュックを背負わされたピカチュウ)
「Rは寝苦しそうだけど…今週は僕ら全員ハナタレになってしまったね」
「ほんとに。私は声も枯れて来たよ…」
「辛そうだね。ちなみに僕は今日でハナタレ治っちゃったんだけどね。えへ」
「何なのよ!あなたは!」
「鼻汁は止まったんだけど、別のところから別の汁がたれて来そうで、な…」
僕はそっと嫁の胸元から手を差し入れた。その刹那、嫁はくるりと身を翻し、
「私は今、出血期間中なの!」
僕の手を振り払った。垂れていたのはハナミズだけじゃなったのだ…。
「じゃ、お前には用はないわ!」
「うわ何それ、ひどい!あなたこそどっか行け!」
剃毛、いや、不毛な言い争いになり声が大きくなってしまったのだろう、突然タクがムックリと起き上がった。
「あ、起きちゃったか。ゴメン、うるさかったね…」
タクは座ったままボーっとこちらを見つめ、何も喋ろうとしない。
「完全に寝惚けてるな」
これが無我の境地というものだろうか。やがてタクは一緒に寝ていたピカチュウをぎゅっと抱いて
「だいすき、ちゅ」
小鳥が交わすようなキスをチョンとした後
「ままー」
と嫁に抱きついて甘えた。その一連の動作に嫁はアキバ系オタクのように萌えまくり
「いや〜んタク可愛い〜。私はタクには用がある。あなたには用はない。さ、出てって」
「お前は若い男の体を選ぶのか」
「いいでしょーえっへっへ」
抱き合う母と息子にはぶんちょにされた僕は
「と、特に寂しいわけじゃないし」
せめてもの抵抗としてこっそりすかしっ屁を枕元に発し、寝室を出るしかないではありませんか!
屁の用心 えっち失敗 枕元
問題:せめてRと抱き合って寝ようとしたら、Rにどんな仕打ちを受けたでしょう?
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「ぱぱ、これなーに?」
僕の膝の上でテレビを見ていた娘・R(3才)が興味を示した。
「これはね、車が走ってるんだよ」
3才児でもそれぐらい分かるだろ、という間抜けな答えをしてしまったところたちまちRに突っ込まれた。
「なんではしってんの!」
「どの車が速いか競争してるんだよ」
「どこにいくの?」
「ゴールまでさ」
「ゴールってどこ!」
「ほら、ずっとぐるぐる同じところを走っているだろう?あれを何十回、決められた回数を走ったらゴールなんだよ」
「えきはどこ?」
「駅はないなあ〜」
Rは大好きな電車と混同しているようだ。Rにカーレースの根本的な部分を質問され、できるだけ分かりやすい答えを考えながら答えていたら、なるほどカーレースは人生のようであるな、と陳腐な連想であるがそう感じた。
レーシングカーがサーキットをぐるぐる回るように家と会社を延々と往復し、他者と競い合い、ゴールする。人生のゴールって何だろう。トップのゴールもあればドベもある訳で。
僕の人生という名のレーシングカー。燃料はアメとムチ。性能はダメな父。ポンコツだけれどもそれなりに全力で走っている訳で、特に栄光のゴールを狙っているわけではないが、たとえドベでもゴールの前には子供達いて、僕を出迎えてくれさえすれば嬉しいと思う。
待てよ、轢いてしまうか。
では、カーレースにはピットインがある。僕はポンコツだから何度もピットインしなければならないだろう。そこで嫁が優しく出迎えてメンテしてくれたら嬉しいと思う。
「だから嫁よ…」
「うるさい、寄るな」
ピットインじゃなくてベッドインしようとしたら怒られちゃった。てへ☆
レースリタイアしていいですか…。
問題:F1レースを見ていつも「変なの」と思うことは何でしょう?
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「おんぷー」
これはタク語でおんぶしろ、という意味である。
「はい、おんぶだよー、おんぶだよー」
僕は歌ともラップともつかぬライムを、歩くリズムに合わせて口ずさみながらタクをおんぶする。おんぶが終わると
「うんまー」
次は「肩車せよ」とのご指示。モタモタしてるとタクは後ろ向きになってお尻を摺り寄せてくるから要注意だ。
「はい、かたぐるまー、かたぐるまー」
肩車が終わると
「かいかい」
今度は「たかいたかい」である。
「たかいたかーい!」
「キャー!」
以後この3つの繰り返しである。その内娘・R(3才)も
「Rちゃんもかたぐるまー!」
と加わって来、僕の腕が上がらなくなるまで交互におんぶし、肩車し、たかいたかいするのである。感心するのは
「はい今度はRちゃんの番ね」
と言うとタクはちゃんとニコニコ待っているし、Rも
「つぎは、たっくん!」
と言い、ふたりとも決して独り占めしようとしないことである。
「はい、じゃあこれでおしまーい」
どれだけ繰り返しただろうか。さすがに腕が重くなり腰が砕けそうになって僕はギブアップした。タクはまだ軽いがRはだんだん重くなってきた。
僕がこうしてやってやれるもの彼らの人生のほんの短い期間だけである。大人になったら覚えているだろうか?覚えていなくてもRもタクも子供達にこの親の愛情を受け継いで欲しい。
できれば君達が子供達、すなわち僕の孫達を抱き上げている姿を見ることが出来たら最高である…汗をぬぐいながらそんなことを考えていたら
「あい、おんぷらよ、おんぷらよ…」
タクがピカチュウのぬいぐるみを抱えて歩いていた。
タクよ、それが僕の初孫か。
問題:肩車して僕が嫁に怒られることは何でしょう?
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今日もアリガトウゴザイマシタ。
娘・R(3才)や息子・タク(1才)がアンパンマン大好きなので、僕も何日か前に
「子供達を連れて行きたい…」
という日記を書いた。どんな施設なのかはだいたい以下のとおりである。
・アンパンマン関連のモノや遊具が展示されている「ミュージアム」とアンパンマングッズの店を集めた「ショッピングモール」に分かれている。
・「ミュージアム」は1才から(!)千円の入場料がかかる。
・GW中は都内の地下鉄からミュージアムの最寄駅まで直通運転する「みなとみらい号」が走る。車内アナウンスで流れる「合言葉」をミュージアム入口で言えば記念品がもらえる。
等々。
僕の計画では5月5日に「みなとみらい号」に乗り、ミュージアムで子供達を遊ばせ、ショッピングモールの「ジャムおじさんのパン工場」というお店でパンを食べようと考えていた。
ジャムおじさんとは、基本的にはパン職人だが、戦闘用メカ「アンパンマン号」や宇宙ロケットまでも製造してしまう技術を持ち、アンパンマンやその仲間達を養うと共に、彼らを使い誰に頼まれたわけでもないのに世の中の治安を守っている一風変わったおじさんである。今に都知事選に立候補するだろう。
パン工場はアンパンマン一派が住み、ジャムおじさんがアンパンマン達の顔を焼き、科学兵器を製造する本拠地なのである。今に北朝鮮のように査察要請が来るだろう。
このように物語上重要な拠点であるゆえ、それをモデルにした「ジャムおじさんのパン工場」は特に人気があるお店となるだろう。
オープンしたばかりだし、GW中だし、さぞや混むだろうと思い、既にアンパンマンミュージアムに行った人のブログを探して情報収集をしてみた。結果…
■ミュージアムについて
・開館30分前に到着したが既に長蛇の列。1時間〜2時間待たされた。
・待ち切れない子供達がそこかしこで号泣。
■みなとみらい号について
・かなりの混雑。
・「合言葉」→記念品贈呈の手際が悪く係員に客の野次が飛ぶ。
■パン工場・ショッピングモールについて
・パン工場も長蛇の列。整理券が配られたらしいがそれすら品切れ。
・パン焼きが間に合わないらしく品切れの嵐。
・切れたおじさんが係員に延々文句を言っていた。
・総じて商品の値段が高い。
激混みは覚悟はしていたものの、実際体験した人達の修羅場話は臨場感溢れるもので、読んだだけで疲れてしまった。値段が高いのはキャラ物はしょうがない。元より承知の上だが、電車で2時間近く乗った後に更に入場待ち2時間なんて、Rやタクには耐えられない。というか僕も無理。
「やっぱもうちょっと時間経ってから行こうよ…」
「ははは、そうだね」
嫁にもそう話したところ、笑いながら納得していた。
「あ、いや、待て。5月1日って僕の会社の創立記念日で休みなんだよね。平日だからちょっとは空いてるだろ。Rの幼稚園休ませて行かない?」
「休ませるなんてとんでもない!Rの幼稚園はね、皆勤賞狙ってるの!」
これは嫁を怒らせてしまった。ああ、Rよ嫁よすまぬ…父自らが堕落の道へ誘おうとしてしまった…。
愛と勇気だけが友達さ♪というテーマソングが有名なアンパンマン。
観る側にとっては金と根気と友達になる必要があるようだ。
問題:横浜に住んでた頃、すごい変な人がいた。それはどんな人でしょう?
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「Rちゃん、パンツをはきなさい」
一応親として注意したのだが
「やだー。おどるー」
まるで言うことを聞かない。
「人はパンツなしでは生きていけないのだよ」
「やだー」
「そのあられもない姿をビデオ撮影して、お前が大きくなって結婚披露宴をする時に流しちゃうぞ」
「いいよー」
「よーしその言葉を忘れるな」
僕はやると言ったらやる。すぐさまカメラを構えて撮影開始。将来後悔することになるとは夢にも思っていないRはお尻フリフリドキドキワクワクで踊りまくる。おかげで場末のストリッパーを撮影したようなひどいビデオが完成した。
それを見ていた嫁が
「大人になって見せると『こんな頃もあったねー』ってわりと和んじゃうからその前に見せたら?」
なかなか冷静なことを言う。嫁、お主もワルよのう。敵に回したくないタイプだ。
「そうだなー。じゃあ反抗期になったらすさかず見せることにしよう」
オヤジキモイ、オヤジクサイなどと言ってみろ、ぎゃふんと言わせてやる(オヤジ臭い表現)
これがその時Rにどれだけ効くか分からないが…結局Rが嫁いで行った後に僕が涙を流しながら見まくる単なる思い出ビデオのひとつになりそうな気もする。
とりあえず今のRはこのビデオを恥ずかしがるどころか
「みしてみしてー」
自分の写り様をチェックする熱心っぷり。
「いいからパンツはきなよー」
「いやー。おどるー。ぱんつーすりーふぉー!」
ダメだこりゃ。
問題:Rは自分でトイレに行けるようになったが、未だ抱える僕の悩みはなんでしょう?
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「あらこんにちは」
Rと同じリトミック教室に通い、幼稚園も同じみっちゃん母子を見つけた。
「おあよー。おあよー」
「あーらー。たっくん可愛いわねー」
みっちゃんママにペコペコお辞儀をするタクは人妻キラー。
「あれー偶然!」
嫁もみっちゃんママを見つけベラベラくっちゃべり始めた。みっちゃんとRと息子・タク(3才)はスッタカターとブランコに走って行き
「のーせーてー!」
とわめいているので僕がヨイコラショと乗せてやり、交互に背中を押す。母達は子供ほったらかしで公園の隅で喋りっぱなし。どうしておばさんという生き物は2人以上くっつくと喋りが止まらなくなるのであろうか。喋ること火の如し。動かざること山の如し。
みっちゃんとRは一番の仲良しである。幼稚園でも一緒に遊んでいるらしい。
「みっちゃんはRちゃんと幼稚園でなにして遊んでるの?」
ブランコに乗るみっちゃんの背を押しながら聞いてみると
「すなばー」
という答えが返ってきた。すると「砂場」という単語を聞いたRが
「Rちゃんすなばいくー!パパおろしてー」
ブランコから降ろすとあっという間に砂場に駆けて行った。タクもその後を追って行ってしまった。
「みっちゃんも砂場でRと一緒に遊ぶかい?」
「やーだー」
ホントに仲がいいのかこのふたりは?ポツンと取り残された僕とみっちゃん。何故僕はここでよそさまの女の子と遊んでいるのだろうか。3才児は対象外とはいえ、僕ロリコンなのにいいのだろうか。
「あしたおばあちゃんち行くのー」
「おれんじのでんしゃに乗るのよー」
「みっちゃんは3才です」
みっちゃんの話はいろんなところに飛ぶ。ついでだから謎であったみっちゃんママの年も聞いてやろうと思ったが
「ママは8才です」
まるで当てにならなかった。
「おりるー」
ようやくみっちゃんがブランコから降りて、Rがいる砂場に走って行ったのを見て、さてタバコ吸うか、と公園の外に歩いて行ったら
「こうえんのおそとに行っちゃだめなのよ!」
何故か僕の後ろにみっちゃんがピッタリくっついて来た。Rと砂場で遊んでいたはずなのに何故?僕のこと好きなの?
「ふふ…おじさんの後ろを取るとはみっちゃん、只者じゃないね…」
「あぶないからだめなのよ!もどりなさい!」
Rと違って気が強いみっちゃんの気迫に負け、3才の童に手を引かれて公園に戻る僕であった。
「そんなに怒らなくていいじゃん…」
分かってくれとは言わないが、そんなに俺が悪いのか。
ギザギザハートの童歌。
問題:みっちゃんが言っていたおマセなひとことはなんでしょう?
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■日本人はセックスに無関心=回数は最少、刺激も感じず―意識調査■
世界で最もセックスの回数が少ないのは日本人―。シドニーで開かれた「世界性の健康会議」で、日本をはじめとするアジア各国の国民は、他の大陸の国民よりセックスへの関心が薄いとの世論調査結果が公表された。
調査は、コンドーム大手デュレックスが26カ国・地域の2万6000人以上を対象に実施した。それによると、セックスの年平均回数は106回。最多はギリシャの164回、日本は48回で最少だった。
(後略−引用終わり−)
確か去年もデュレックス社の調査(セックスサーベイ)について日記を書いたような。その時の世界一はフランスで、僕もフランス人にあやかり
「ジュテーム。やらせてーむ」
と嫁にお願いしたものである。
そして上記の通り今年のナンバー1はギリシャ。ギリシャ人が今年世界一の絶倫、もしくは世界一の大見栄っ張りであることが判明した。
まさにスパルタンセックス。さすがオリンピック発祥の地だけのことはある。夜の金メダルに輝いてしまった。ヘレニズム文化は21世紀にエロニズム文化として生きているのだ。エーゲ海はラーゲ海と改名すべきだろう。
ギリシャ神話を紐解くと主神ゼウスは大変な女好きであることが分かる。その血が綿々と受け継がれているのであろうか。
ギリシャどころか日本の平均回数をも下回っている僕としては、今年もこれをネタに嫁に迫ってみた。
「すごいよギリシャ人。1年に164回だって。2.5日に1回やってるよ」
「他に娯楽がないんじゃないの?」
「あ、ギリシャ差別。栃木の田舎みたいに言うなよ。ゼウスの雷撃を食らうがいい」
「でもね、セックスの価値観なんて国それぞれで違うでしょう。回数だけ比較してなんか意味あるの?」
なんだか嫁はまともっぽいことを言っていたが、カチカンとか言われてもこっちは下半身がカチカチンなのだからどうにもならぬ。
「ともかく、わたしゃ月イチぐらいで充分よ…」
結局嫁は去年と同じことを言い、とっとと寝てしまった。我が家にはエロニズム文化は浸透しなかった。ひとり取り残された僕は頭と下半身を冷やすべく、本でも読もうと小説を手にしたのであった。
勿論その小説は、古代ギリシャが舞台であり、太宰治が書いたことで有名な
「走れエロス」である。
問題:僕がデュレックス社にやってもらいたいセックス調査はなんでしょう?
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「R(3才の娘)がね、自分が好きな人の名前を言ってたのよ」
「ほう」
「パパママ、おじいちゃんおばあちゃん、やっちゃんあっちゃん(それぞれ僕と嫁の弟)、みさちゃんあやちゃん(幼稚園の友達)…ってズラズラ言ってたんだけどね。その中で『たっくんとたっくん』って言ってたのがあって…」
「たっくんがふたり?」
たっくん、とは息子・タク(1才)のことであるが、もうひとりの「たっくん」とは誰なのだろうか。
「それが、幼稚園で同じクラスのタクロー君のことなんだって」
「なんだってー!」
遂に…遂にこの時が来てしまった。Rが、親兄弟親戚以外の、全くの赤の他人の男を、好きになってしまった!。これがRの初恋なのだろうか…。
初恋といえば藤村である(コンビニといえばローソン)
まだあげ初めし前髪の 林檎の下に見えしとき
前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたへしは
俺がこんなに強いのも あたり前田のクラッカー
途中から記憶が曖昧だ。
おのれうちの娘をたぶらかしやがってどこの馬の骨だ去勢してやるいや待てRの幸せを考えればここはじっと堪えてふたりの未来を見守るべきだろうおおそうじゃ結婚式はちゃんと考えて挙げた方がいいぞ僕は嫁に勧められるがままに目黒餓女艶(仮名)でやってしまったがあそこは内装のセンスがデヴィ夫人とか叶姉妹とかそのへんに近いから恥かしかったぞ…
「ちょっと、ちょっと!」
「あ?」
嫁の声で我に返った。どうやら僕は呆けていたらしい。あまりの衝撃で色んなことが頭の中を駆け巡っていた。
「好きっていっても、好きな人大勢の中のひとりなんだからさー」
「そりゃそうだけど…」
嫁のお腹にいる時から愛を注いで来た僕と、先週幼稚園で一緒になったばかりのポッと出のクソガ…、もとい、お坊ちゃまと同列にされることに不満であった。
翌朝、Rがムックリ起きたのですさかず聞いてみた。
「Rちゃんおはよう。ところでタクロー君のことが好きなのかい」
「うん。すきー」
朝からガックリ。
「なに確認してんのよ!」
嫁のツッコミが入った。
「Rちゃん。大事なお話だからよくお聞き。タクロー君とパパ、どっちが好きかナ…」
「そんなこと聞いてどうすんのよ!」
再び嫁のツッコミ。無視してRの返事をドキドキしながら待つ。
「えっとねー。タクロー君」
「はうああああああ!!!」
僕の人生…終わっちゃった。僕の魂が、死神すらも追いつけない速さで、底のない真っ暗な谷底に転がり落ちていく。そりゃもうまっ逆さまに落ちてデザイア。何この失恋より重い絶望感。
「あっはっは。それみたことか」
嫁のツッコミがうるさい。それでも僕はRに最後の抵抗を示す。
「もうパパはトイレに一緒に行ってやらないぞ」
「じゃあパパがすきー」
勝った。ようやくタクローとやらに勝った。必ず最後に愛は勝つ。
「あなた、そこまでしてRに言わせて嬉しい?」
嫁、さっきからうるさいなもー!しかし嫁の言う通りであった。
「…嬉しくない」
僕がいくら聞いたところでRの気持ちが変わる訳ではない。トイレで未だにオヤジにパンツを脱がせてもらって喜んでいるRなので、確かに初恋なんてものではないのだろうが、いずれ本当の初恋の時が来ても同じことである。嫁がずっとうるさくツッコミを入れてたのは、つまりそういうことだ。聞くだけヤボ。僕が動けば動くほど、悲しき親父の一人相撲。
初恋の 娘に父は 一人相撲。
初恋とドスコイってか…。
問題:僕が3才ぐらいの時に、女の子とやってたことはなんでしょう?
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ゴスロリ、ヴィジュアル系、ハードロック系などなど、栃木の田舎に着て行ったら間違いなく浮きまくる服しか売っていない原宿竹下通り近辺で、普通の三十路オヤジが着れるような服を探すこと自体が間違いであった。
それでも10店ほど地道に物色し、ようやく地味ーな服を買うことが出来た。
家に帰ると、買って来た服の袋を目ざとく見つけたのが嫁。
「何買って来たの」
「同窓会の勝負服!」
何故か知らないが嫁にゲラゲラ笑われた。
「あはは…いつもの服着ていけばいいでしょう」
「テポドンとか書いてある服なんて着て行けるか!」
「でもいつもそんな服着て人と会ってるじゃない」
「お前は田舎の恐ろしさを知らぬ!」
確かに現在こちら(東京)で付き合いのある人には前述のような服を着て会っているし、相手もありがたいことに普通に流してくれる。しかし地元はそうはいかない。元々保守的だし
「かじりんっていたの覚えてっけ?同窓会であやしい服着てたべ…東京にいるらしいけど、どんな仕事してるんだべか…」
同窓生のみでなくその一族にも広まる恐れがある。そして田舎の情報伝播は、伊賀忍軍の情報伝達よりもネットよりも速い。さらにチンポ増大、じゃなかった針小棒大に言い触らされ
「かじりんは東京でやさぐれて、人には言えぬ怪しい商売をしているらしい」
なんて噂を流されたらもう二度と実家に帰れない。いささか田舎をバカにした妄想かもしれないが用心するに越したことはない。
「どんな服を買って来たのよ」
嫁が見せろというので買って来た普通のシャツを見せたら
「何普通の買ってきてるのよあはははははは!」
「普通の服なのに、なんで笑うんだよ。笑うとこなのかここ?」
普段自分がいかに普通の服を買っていないか、ということだろう。
「あなた、中学の頃はそういう変なキャラじゃなかったの?」
と嫁に言われてハタと我に返った。成る程元々変なキャラだったら「相変わらずだな」とネタにされるぐらいで済むかもしれない。しかし僕はどういうキャラだったか…というと余り考えたことはなかった。
特段個性のあるキャラではなかったが…強いて言えば当時の僕は可愛かったらしく、上級生の女の子にやたらチヤホヤされた覚えがある。部活の先輩女子が廊下などですれ違うと、甘ったるい声で名前を呼び止めるので、先輩コンチワッス、と手を振ってみたら「キャー」とか叫ばれたりして。それがきっかけで、校内で出会った時は必ず手を振らなければならない、という掟を部活先輩女子全員から言い渡され、その内全然知らない上級生から
「どうして私には手を振ってくれないの?」
と怒られたり。
「どうしてって言われても…(あんた誰だよ)」
「ねぇ、手を振って、ね!」
「………(ニンザリしながら手を振る)」
「キャー!」
僕は皇族かコアラの類か…と中学生ながらに思ったものである。そのため内心は既にエロで染まっていたが、彼女達のイメージを壊さないよう普通のキャラで通したフシがある。「稲中」でいえば「田中」のキャラである。
左:女子に可愛がられる田中
右:自分の屁で気絶させ、乳を弄ぶ田中(僕はこんなことしてません)
過去の自分を思い出して段々恥ずかしさの余り鳥肌が立ってきた。とても嫁にこんなことは言えない。
「ご、ごく普通のキャラだったよ…」
そう誤魔化しておいた。
そんな可愛いキャラも今やWEBで下ネタをかます立派なオヤジとなった。今僕が女子中学生に手を振ったら別の意味で「キャー」と叫ばれるであろう。
ひょっとしたら僕が同窓会の中で一番劣化が激しいかもしれないなあ…なんてことを考えると同窓会に顔を出すのが怖くなって来てしまった。しかし今更キャンセルはできない。いっそのことチャットとかでもいいよ。同じ窓の会と書いて同窓会。パソコン使うんだから…
同ウィンドウズ会でもいいだろ。なんつって。
わりと自棄になってしまっている今日この頃である。
問題:同窓会のサイトまで立ち上がっていたが、どんな内容だったでしょう?
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卒業して10年後ぐらいまでの同窓会であったなら
「うわ、○○子ちゃん、久しぶり。きれいになったなー」
「かじりん君もすっかり大人びちゃって。私、実はあなたのことが好きだったのよ…」
「えー?僕その頃そういうのに疎かったから。小学校の頃いつもスカートめくりしててごめんね」
「うふふ、今でもその気持ち、変わってないのよ…」
「○○子ちゃん…(またスカートめくっていいのかな…)」
なんてロマンスが生まれてグランス(亀頭)がコンニチハしちゃってデカダンスな関係になっちゃうこともありうる。なかったとしてもそんな妄想を抱いて会に臨むこともあろう。しかし既に30代も半ばでありお互いいい感じに老けているはずなので純粋に懐かしく思い参加することにした。会場も僕が生まれたときからある、飯が不味いしょぼい宴会ホールでありますます懐かしい。嫁もそのへんを分かっているのか
「行けば」
あっさりOKしてくれた。昨日最終確認のハガキが届いたので目を通していると
「ラフな格好でお越しください」
と書いてあるところで目が止まった。普通にスーツで行こうと考えていたが、そう言われると困る。まともな普段着服を持っていないからである。
「北の国から」という文字にテポドンの絵のTシャツ、「性苦破裸(セクハラ)-私がやりました-」という文字に手形が胸にベッタリ付いている服、「肝硬変」「糖尿病」等病名ばかり書かれている服、お尻に「ジーパン」と白く書かれたジーパン、そんなんばっかりだ。別に変わり者に見られたいとか「かぶき者」とかそんなんではないが、不覚にも笑ってしまった服はつい買ってしまう。
「普通の服を買わなきゃならないな…」
目指せ普通のオヤジファッション、というわけで仕事帰りに服を買いに行くことにした。ところが悲しい習性で、ついいつも服を買いに行く原宿に行ったのが間違いであった。ゴスロリ、ヴィジュアル、ハードロック系の服が溢れるこの街の中で、普通のオヤジファッションを探すのは余計苦労した。
「どうせなら表参道や明治通り沿いのデザイナーズブランドの店に行った方が…」
しかし値段が怖い。僕の金銭感覚と値札の数字は余裕で1ケタ違う。仕方なく雑多な店の中のひとつに入り、とある店で普通のシャツを物色していたところ
「どんなものをお探しでしょうか」
と店員が聞いてきた。
「シャツを探してるんですけどね。普通のでいいのです。ふとぅーの」
「これなんかいかがでしょう」
店員が出してきたものは以下のような感じの服であった。
「…どこかの王子様用ですか」
「あはははは」
普通のオヤジファッションってなんて難しいのだろう…実現は不可能なんじゃないかしら、と気が遠くなってゆくのであった。
ファッションインポッシブル。なんつって。
なんとこの日記は続きます。
問題:原宿の竹下通りでいつもムカつくことは何でしょう?
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気の毒だったので
「4月20日、『横浜アンパンマンこどもミュージアム』がオープンするらしいよ…」
とサジェスチョンしてやった。乳首チョンではない。
「え、まじで?」
「アンパンマン絡みの遊具でガッツリ遊ばせられる『ミュージアム』だけじゃなく、そのまま客を囲い込んでアンパンマン絡みのグッズや飲食店でガッツリ金を落とさせる『ショッピングモール』があるんだって」
「へー」
思えば因果なものである。かつて僕はアンパンマンが大嫌いだった。僕はピカチュウやトロ(どこでもいっしょ)やおじゃる丸等のキャラクターが好きで、よくグッズを探しておもちゃ屋を物色する。しかしそれらのグッズはなかなかなく、その一方で圧倒的な物量を誇っているのがアンパンマンである。だから
「ここにもアンパンマン!こっちにもアンパンマン!あーうぜー!」
探しながらいつも鬱陶しく思っていたものである。(同様の理由でサン○オも嫌い)
Rが生まれた当初は家にはアンパンマングッズがひとつもなく、ピカチュウやトログッズが大量にあってよく遊ばせたにも拘らず、幼児雑誌やテレビでチラリとアンパンマンを見ただけで一番好きなキャラとなってしまった。
そうなってしまったらしまったで、子供達を喜ばせたくてこうして自らアンパンマンの施設に連れて行きたくてウズウズするようになってしまった。アンパンマンとは業の深い生き物である。
「ジャムおじさんのパン工場ってところでパンが食べられる他に、不二家が出すレストランもあるって」
「それやばくない?」
「どうせ横浜行くなら昼飯は中華街で食べたいね」
「あー。すごい混むだろうなー」
「元より覚悟の上。きっと人がカビルンルンのようだろうね」
おそらく何をするにも待ち時間という目に合わされると思うと気が遠くなるので今日のオチは特になしよ。
問題:「みなとみらい号」という電車で行くのだけれども、どんな電車なのでしょう?
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今日もアリガトウゴザイマシタ。
「嫁、昼飯どうする?」
「さあ、どうしよっか」
どうやら嫁はあまりクッキングする気がないらしい。
「じゃあ食べに行こうぜ。…えーと、あそこがいい。久しぶりに」
以前住んでいた街の定食屋が思い浮かんだ。カツカレーと生姜焼き、その他揚げ物が美味い、初老のご夫婦が切り盛りしている小さな店。嫁とも時々一緒に行ったことがある。今の家からでも歩いて20分くらいだが、引っ越して以来5、6年行っていない。そこの味が恋しくなったので行くことにした。
街のメインストリートから一本離れた、細い路地に面したその店に入ると、
「いらっしゃい」
ちょっと老けたかと思わせるご主人が調理をしていたが、少し間を置いて僕と嫁の顔をシゲシゲと見、
「あれ…前食べに来てくれてましたよね」
改めて声を掛けてくれた。
「あ、覚えててくれてたんですか」
「ああ、やっぱりそうだ」
「江古田に引っ越しまして、それ以来ご無沙汰してました」
「その間にちょっと人数増えちゃって…」
嫁がよいこらしょ、と娘・R(3才)と息子・タク(1才)を座らせた。
「あれまあ可愛いねえ。じゃあ今日は何かの用事で寄ったの?」
「いや、久しぶりにココに来てみようかなあと」
「え、そうなの?そりゃ悪いねえ」
テレビからは春風亭小朝の落語が流れ、Rが興味深そうに眺めている。タクは壁に掛けられているミッフィーの時計を目敏く見つけ
「みーっひー!」
と興奮。ご主人はその後常連客と近所の話題で盛り上がっており、やはり昔のままのアットホームな空気の流れが良い。勿論味も以前と変わらぬ美味しさで大満足。子供達もバクバク食べていた。
満腹になったらじっとしていないタクが、椅子の上で「うやああん」と唸り出したので下ろしてやったら、あっという間にスタタタと店の外に出て行ってしまった。
「こら待て食い逃げー!」
嫁に財布を預けタクを追うと既に路地裏に逃げ込んでおり、僕を見るなり
「なんなん!」
と叫んで指差した。そこには猫が寝込んでいた(シャレか)
「なでなでしてごらん」
そう勧めるとタクはいきなり人差し指で猫に目潰し。
「やめなさい!お前さっきから突っ走り過ぎ!」
と押さえにかかったが、猫はそれでも寝返りを打って腹を見せて昼寝を決め込んでいた。
ポカポカした陽だまりで昼寝する猫。雑草生い茂る路地裏は静かで、ポテポテと歩く近所のお婆さんとウンコ座りで猫観察するタクと僕のみ。東京なのに時間が止まったようなこの空間。絵に描いたようなのんびりとした休日のひと時であることよ…。
「おーおー…その猫は噛むから手を出すのはよしなさい」
お婆さんが通りすがりに言って去っていった。どう見ても油断しまくり千代子な猫なのだが…?
遅れて食べ終わったRも外に出て来て、一緒に猫を眺めていた。店の奥さんも何故か出て来て
「その猫ちゃんは大人しいからナデナデしても大丈夫よ〜」
一体どちらを信じたらいいのか。
「パパ、いまにゃんこが『ニャンニャン』ってしたの」
Rが猫のマネをして手招きのポーズをした。ネコ耳のコスプレをさせたら最高に可愛いんじゃないかと思った僕はオタクバカ親である。
会計を終えた嫁も出て来たのでご主人に挨拶。
「ごちそうさまでした」
「わざわざ来てくれてすいませんねー」
料理だけでなく何かほのぼのとしたものも満喫して家に帰った。
夜、風呂の中でRに
「今日は何が楽しかったかな?」
と聞いてみると
「らーめんやさん」
「いやあそこラーメン屋じゃないし。お前ラーメン食べてないし」
どうやら外食の店は全てラーメン屋だと思っているらしいことが判明した。そりゃラーメン屋が一番多く行ってるけどさ…。
真夜中、猫のマネをして嫁にニャンニャンの誘いをしてみたところ
「声かけないで」
今日の嫁はクッキングにもファッキングにもやる気が見られなかった。
問題:以前住んでいたアパートも見て帰った、そこで驚いたことは何でしょう?
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「今は親が送り迎えをしているけど、年長ぐらいになったらひとりで出来るようになるのかなあ」
と僕が言ったことがきっかけで嫁とつまらぬ言い争いが始まってしまった。
「何言ってるのよ。年少だろうが年長だろうがずっと親の送り迎えが義務付けられてるのよ」
「うそお。僕は確か年長の頃はひとりで行き帰りしていた記憶があるけどなあ」
「そんな幼稚園ありえない。あなたの記憶違いじゃないの」
「いや、絶対ひとりで行った!家から近かったからかもしれないが…」
嫁の誕生日平気で忘れる程度の記憶を根拠にしているせいか、嫁は頑として信じてくれぬ。僕はおもむろに電話を取りポチポチと番号を押した。
「あなた何やってるのよ」
「生き証人に聞くしかあるまい」
実家の母に助けてもらうしかない。みのもんたクイズ風に言うと「テレフォン」である。
「もしもし母さん?幼稚園の頃、僕ひとりで行ってたよね?」
「なんでそんなこと聞くのよ急に」
「いや今そのことで嫁と抜き差しならない状態に」
「何やってんのあんたたちは。あー…お母さんが送り迎えしてたよ」
「なんだってー?」
やはり僕の記憶が腐っていたのだろうか。
「でもね、バタバタしててお母さんの送り迎えが遅かったりすると勝手に先に行っちゃったり帰って来てたね」
「それだ!」
「あんたはひとりでどこまでも行っちゃう子だったからね。裸の大将みたいに放浪癖があったからねー」
ああ、そういえば…。もう自分でも忘れていたが、母から何十回も聞かされたであろう僕の放浪話をまた聞かされた。って誰が裸の大将だ。
3才ぐらいの頃、祖母の家に行った時のこと。僕の姿が見あたらないので、祖母と母で大騒ぎして近所を探しまくったら、近くの農家の縁側で見知らぬお婆ちゃんとお茶を飲んでいたこと。
またある時、父が勤める会社にひとりで歩いて行き(家から近かった)、守衛さんに呼び止められたこと。
「ぼく、どうしたの?」
「お父さんに会いに来たの」
「お名前は?」
僕は名前を言えたようで、守衛さんが律儀にも父を探し当て、連絡をもらった父が泡食って出て来たという。
またまたある時、父の会社の運動会でのこと。競技の合間に近所の小学校の鼓笛隊がグラウンドを練り歩きながらの演奏があった。そこで僕がまたいなくなった。どこに行ったのかと母が探していると、
「あはは、あの子は誰だ」
「ありゃ(父の名前)んとこのチビだべ」
僕は鼓笛隊の最後尾について颯爽と歩いていたらしい。
「らしい」というよりもこの時は写真にも撮られてしまい、何度となく見せられて、僕がいくら
「記憶にございません」
とトボケようとしても隠し切れない恥ずかしい過去なのだ。恥ずかしい過去は忘れるに限るが、そんな心の傷のかさぶたをいちいち母に剥がされてしまい、脂汗をかいて電話を切った。ともかく嘘ではなかったので嫁に説明。
「そんなわけで、お前の言い分も正しかったが僕の言っていたことも間違いではなかった。よかったよかった。めでたしめでたし」
「あなたがおかしいってだけの話じゃないの」
しかし嫁はまだツンツンしていた。
お、怒るとお腹が減るんだな…。
ぼ、僕はオニギリとオッパイが好きなんだな…。
問題:僕が幼稚園時代、凄く嫌がっていたことはなんでしょう?
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仕事のため入園式に出席する野望を絶たれた僕は、次なる目標を立てた。
すなわち「Rを幼稚園に送って行く」である。
よくスーツ姿のお父さんが幼稚園の制服を着てちょこちょこ歩く子供の手を引いている姿を見るが、それがとても羨ましい。しかし僕の出勤はRが幼稚園に行くより30分ほど早い。Rを待っていては遅刻なのである。
「これも叶わぬ夢なのかな…」
つくづく制服姿のRと縁がないことよ…と嘆いていたら、たまたま仕事の都合で今日は少し遅めの出勤となったからこれ幸い。
「今日は僕がRを連れて行く!Rちゃん、今日はお父さんと幼稚園行こうね」
嫁とRに大々的に宣言し、Rの手を引いて家を出た。何故か嫁も付いて来た。何事か、と問うと
「ふたりの写真撮ってあげるよ」
「ああ、ありがとう」
何やら僕までも「初めてのお使い」みたいな子供扱いされてないか、と多少照れながらRと写真に写った。
「嫁、君も撮ってやろうか」
「すっぴんでジャージ姿の私を撮ってどうすんの」
「そりゃそうだ」
嫁と息子・タク(1才)の見送りを受け、Rと喋りながら幼稚園に向かう。
「R、幼稚園は好きかい?」
「うん、すきー」
「幼稚園の何が好きかな?」
「えーと…えーと」
細かい問いかけにはまだ適当な答えを言えないR。いずれもっと突っ込んだ会話が出来るようになるといいなあ…。
「全部?」
と助け舟を出してやると
「うん、ぜんぶ、すきー」
「そうか。それはよかった」
送って行く甲斐もあるというものである。幼稚園に到着し、門をくぐり園庭を突っ切るともう教室の入り口である。
「おはようございまーす」
先生が園児を出迎えてくれていた。
「あ、先生おはようございます。ほらR、先生にごあいさつ」
「…ぉはょぅござぃます…」
Rは下を向いて靴を脱ぎながらモジモジ挨拶。まだ先生に慣れてはいないようだ。
「先生、この子を宜しくお願いします」
「あら、今日はお父さんがお送りなんですね。」
「いつもは時間帯が合わないんですけど、一度はやっとこうかと思って…縁起物というか」
「縁起物?」
「いやいや、ははは、なんというか記念というか…」
動転して変な言葉が出て来てしまった。その内にRは靴を上履きに履き替えており、
「Rちゃんの靴を入れるところはどこかな?」
と言うとちゃんと自分の名前が書かれた靴箱に入れていた。
「よくできたね。じゃ、お父さんはここまでだ。頑張ってね」
「うん…」
Rは先生に手を引かれて中に入っていった。教室に入ったRの姿は所在無さげにモジモジしていたが、それでも前を向いて少しずつ自分の居場所に歩いていった。
親が教室を覗き込むことは、子供達が親を思い出して里心が付いて泣いてしまう恐れがあるのであまりよくない。しかもRといる時は良かったが、ひとり幼稚園を覗き込むオヤジという姿はそれだけで怪しい。
しかしRがチラリとでもいいからこちらを向いてくれないかな…そしたら僕は離れよう…と見守っていたらRがくるっと振り返った。そして硬い表情であるが僕に
「ばいばい」
と手を振った。
「ああ、よかった…」
もうオヤジは行っていいよ、ということである。ここの幼稚園面接の時大泣きしていたのがウソのようだ。こうしてRは少しずつ自分の世界を広げていく…もうどこに行くにも何をするにも親とベッタリ一緒、という蜜月の関係は終わったのである。プチ「娘を嫁がせる父親」気分。
出掛ける前はウキウキウェイクミーアップな気分のちょいワム親父だったのに、Rと別れてひとり会社に行くことの寂しさよ。しかしいつかは通る道であるし、こうして子供の成長の過程をひとつひとつ体感出来ることは親としての幸せである。
やはりRを幼稚園に送って良かった教室に入っていくRの後ろ姿を思い浮かべ、電車の中で目を潤ませていた(ことは嫁には内緒である)…やはり縁起物だったよ。
いや、幼稚園だから園児物かな…。
問題:教室を見てみて、あわよくば僕が先生にお願いしくなったことは何でしょう?
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「あれ?どうしたの?」
若い男とは息子・タク(1才)なのだが、普通こんな時間に起きていて、しかもゴハンを食べているなんてありえないので驚いてしまったのである。
「ぱぱ!ぱぱ!」
もう良い子が寝る時間はとっくに過ぎているというのにタクはもりもり食べていた。嫁は苦笑いをして言う。
「いやー。ちょっと昼寝の時間が狂っちゃって。夕方から8時ごろまで寝ちゃってね。ちょっと前に起きたんだけどそれから全然寝ないのよ。お腹がすいてるのかなーと思ってゴハン用意したらこの通り」
「ていうか部屋明るくしたら?」
何故かこの通りランプひとつ点けただけの薄暗い部屋の中のタクと嫁。何やっとるんだチミ達は。闇鍋か。タクの顔がハロウィンのカボチャに見える。
「まあせっかくだから僕も一緒に食べようかな。父子で闇鍋パーティーだ」
子供と夕飯を食べられるのは休日ぐらいしかないので、とっとと僕もゴハンを用意し、タクの隣で食べ始めた。
「愛の流刑地…闇鍋淳一。なんつって」
と言ったところ嫁に無視された。おのれいつか闇討ちしてやる。そんな滑ったオヤジをタクは
「ぱぱ…ぱぱ…」
キラキラとした瞳でじいっと見つめていた。
「タク…」
僕も見つめ返す。暗がりの中で見詰め合う男女が語るのは「愛」であるが、オヤジと息子の場合は
「ぱぱ…(パパのおかずのカニカマちょうだい)…」
タクは僕のカニカマをむんずと掴み「くれ」と目で訴え
「やだ…(僕もお腹減ってるの)…」
僕はそれを阻止しようとし空腹同士が食欲で火花を散らす有様であった。
「あああ。こんな時間にそんなに食べると朝ゴハンが入らなくなっちゃう」
心配する嫁の声などタクの耳に入るはずもなく、結局僕も上目遣いでおねだりするタクに抗う術を知らず、タクにカニカマを全部食べられてしまった。
「ぱぱ…」
タクはまだまだ僕のおかずを狙っており、コメもばくばく食べる。
「じゃあお肉も食べてみるか?」
あまりの食いっぷりの良さに僕も心を打たれ、タクは肉はあまり好きではなく普段は殆ど食べないのだが、この時は勧めてみた。するとどうだろう、よく食べるではないか。いつも肉を食べさせようとするとプイッと横を向いてしまうのに。
もしかしたら案外この暗がりが美味しく感じるように演出しているのかも、そんなことを考えた。諺にもある。
闇鍋に焼き豚、と。
問題:この後タクを寝かせたのだが、僕がやらかした失敗はなんでしょう?
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僕は残念ながらどうしても外せない仕事があったので休むわけにはいかなかった。
「Rの入園式。それはもう二度とない…」
二度目の東京見物は二度都内…雇われの我が身の辛さを呪った。たかが子供の入園式で会社を休むのか、という考えも確かにある。しかしRの一生に一度であり、幼稚園といえども初めて家から社会に出る記念すべき瞬間を自分の目で見ておきたかった。実際僕の職場も仕事に支障さえなければ「子供の入園式なので午前中休ませて下さい」と言えばおそらく余裕で承認してもらえただろう。タイミングが悪かったとしか言いようがない。その無念さをそのまま嫁に伝えた。
「それじゃしょうがないね。あ、ビデオ撮っておく?」
「撮っておいて」
せめてもの記録を嫁に頼み、入園式当日の朝には
「Rちゃん、幼稚園、今日から頑張るんだよ」
Rを励ましつつも心はなんだかRが嫁いで行ってしまうような悲しい気持ちで仕事に向かったのであった。午後、嫁から
「泣かずに入園式できました!」
というメールが入った。添えられた画像には制服姿でニッコリと笑うRが…。ああ、その場所に僕もいたかった…と感傷に浸る間もなく仕事の並に飲まれていった。
仕事から帰って来ると子供達はもう寝ていた。幼稚園はどうだったか、Rが感じたことを本人の口からその日のうちに聞きたかったがそれも叶わなかったか…。嫁が起きていたので頼んでおいたビデオを見るべく
「び、ビデオ見ようぜ…」
あまりにも楽しみにしていたため喉がゴクリと鳴り、エロビデオ鑑賞直前みたくなってしまったが再生開始。嫁の話によると母親が子供を引率して父親はビデオ撮影、というようにやはり両親で出席した家が多かったらしい。
幼稚園の門の前でニコニコしているR。教室で楽しそうにお絵描きしているR。式が始まり、やや緊張した趣で会場に入場して来るR。退場する時は園児みんなが混乱して先生に手を引かれながら歩いていくR。誰だか分からないオヤジの笑顔。
「ってこのオヤジ誰だよ」
「Rを見失っちゃったの!」
それからクラスの写真撮影でまじめそうな顔で立っているR。式が終わって園庭で息子・タク(1才)とじゃれ合うR…。
ほーっと溜め息が出た。ちゃんと園児として行動しているだろうかと僕は緊張していたらしい。しかしRは一生懸命よくやっていた。涙が出そうになった。生で見ていたら確実に泣いていたであろう。
「で、パパへのメッセージはないの?」
「は?」
「ほら、さんまのからくりビデオレターみたいに、『ぱぱー、Rちゃんはようちえんせいになりました』とかRが僕に語ってくれるシーンはないの?」
「ないよ!」
「気が利かぬ奴!」
「私は子供ふたりの引率と撮影でいっぱいいっぱいだったの!」
嫁を怒らせてしまった。あーはいはい、どうせ僕が行けなかったのが悪いのですよー。
子供は入園式、僕らはオギノ式という野望は潰えたようである。
問題:僕がビデオで血まなこになって探していたのは何でしょう?
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今日もアリガトウゴザイマシタ。
その番組とリンクした「おかあさんといっしょ ファミリーコンサート」という歌のお姉さんやお兄さん達が出演するコンサートに
「子供達を連れて行きたいのよ!」
と嫁が言う。僕としては「お姉さんといっしょ」や「お姉さんの秘所」などの方がいいのだが、「おかあさんといっしょ」が大好きな娘・R(3才)と息子・タク(1才)のためである。おそらくもう1年もするとRが
「えーそんなの幼稚だよー」
と他の番組に興味が移っていくと思われるので、醒めてしまわない内に見せたいのだと嫁は語る。大好きなものを大好きな時に見せてあげたいという母心。僕も嫁の女体が大好きで、今も大好きなのだがこれはなかなか見せてくれない女心。
このチケットを取るのがかなりの難関らしい。先着順ではなく、電話1回線ごとに申し込み、後日また電話して当落の確認をするのだという。だからウチは僕と嫁の携帯と家の電話から申し込むことになった。案内に沿って申し込んだのが確か先月後半。
今月になって当選発表が始まったので、嫁が自分の携帯と家の電話からの申し込みを確認したところ、ダメ。残るは僕が申し込んだ分のみとなった。電話をかけると自動音声のガイダンスがあり、
「この通話は25秒に10円かかります…」
というこちらを焦らせるアナウンスをするわりにはいちいち「よろしかったら『1』を押してください」などとダラダラと説明しているので、ひょっとしてじらしプレイなのか?とイライラしながらボタン操作を何度かやらされ、ようやく当落の確認をするところまで辿り着いた。
「お客様の申し込みは…」
むやみにドキドキするものである。
「残念ながら…」
ぶつっ。
「嫁、僕もダメだったよ」
「甘かったー!こんなことなら実家にも頼んでおけばよかったー!」
NHKのサイトには「転売目的のチケット購入はお断り」と書いてある。それだけ転売目的が多いということだろう。こういう奴等が倍率を高めているのだ、と嫁と悪態を付いてふたりで落ち込んだ。
はー、と溜息を吐きながらパソコン部屋に篭もり、未練がましくヤフーオークションを見てみると、あるわあるわファミリーコンサートのチケット出品の山。4枚で1万円なのに6万円の価格が付いているものもある。
「こんな高く付いてあほか!外タレか!」
思わず叫んでしまったところ、
「そうよ!6万円って入札するほうもするほうだよ!」
嫁もわめいていたので
「あれ、ひょっとして同じとこ見てる?」
「うん」
嫁もクサクサして自分のパソコンから見ていたのであった。
「おのれこいつらのせいでこいつらのせいで」
「『都合が悪くなり行けなくなったので』とか絶対ウソだよね。何この商売っ気満々の設定金額」
「同じ人が何枚も出してるよ。プロフィール『2児の母です』だって。主婦がヒマ見て『ネットで小遣い稼ぎ』とか言って荒稼ぎしてるんだろう…2児の母なら他の子の楽しみを奪うようなマネするなよ…」
「わざわざヤフオク見なきゃよかった」
「うん、悔しさ倍増だよね…」
しかしコンサートには行けなかったが、その後嫁の女体にインサートできたので今日はよい1日であった。
問題:嫁と初めて一緒に行ったライブはなんでしょう?
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「選挙行かないと!選挙!」
家に着いたら速攻都知事選の投票に行かねばならなかった。投票場所は歩いて5分の小学校なので、わざわざ子供達を連れて行くことはせず、僕と嫁が交互に留守番して選挙に行くことになった。ところが僕らの話を聞いて
「Rちゃんも、せんきょ行くー」
娘・R(3才)が付いて来ようとしたので
「Rちゃんはあと17年後に行こうね。君に投票用紙を渡したらうさぎちゃんの絵とか描いてしまいそうだ」
そう説得してまず僕が行くことに。ただ僕は選挙という実感がイマイチ湧いていなかった。というのも有力候補者はともかく面白い候補者が多過ぎる。まず
「北朝鮮からのミサイルをUターンさせる」
と公言する某ドクター。ドクター、僕は大学生の頃公演を聞きに行きました。「頭のよくなるスナック」も買って食べました。でもバカのままです。
そして
「おやまゆぅーえんちぃー」
が持ちネタのお笑い芸人。実家が小山ゆうえんち(もうなくなってしまったが)のすぐ近くであるので、
「都知事じゃなく小山市長に立候補すればいいのに」
「でもあの人東京育ちらしいよ」
「じゃいいや」
何が「じゃいいや」だかよく分からないが母とそんなことを話した。クルーザーやヘリコプターで選挙運動をするどこか浮世離れした建築家の候補については
「昔はカッコよかったんだけどねえ」
と母は語る。
さらにもうひとり、政見放送で「ぶっちゃけ言うと政府転覆しかない」と叫んで中指立てちゃってたアナーキーインザTYOな人。これにはもう
「こんなに笑ったのは東郷健さん(政見放送で「ちんちん」を連呼した人)以来だ…」
大笑いして身悶えるしかなく、選挙というよりもお笑い番組を見ているような気持ちになっていたのである。結果、誰に入れようかという判断基準が「一番面白かった人に入れちゃおうか」みたいなおちゃらけた考えになってしまったので
「差し支えなければ、お前は誰に入れるか教えてくれないか」
嫁の考えを請うてみたのだが
「それは…いくら夫婦でも…」
やはり教えてくれなかった。お尻とお尻を合わせてお尻合いをした仲なのに、投票する人の教え合いはしたくはないとはこれ如何に。嫁のお尻の穴まで見ているというのにそれ以上にシークレットな扱いの立候補者に軽く嫉妬し、思わず昔の歌を口ずさんだ。
けーつのしーわ、なーんぼん♪よんじゅうはーちほーん♪(「砂漠」By人生)
「なあいいじゃん、お互い全てを晒し合った仲だろう。いいじゃないかいいじゃないか今晩やろうじゃないか」
セクハラ丸出しで迫ってみようともしたが、選挙についてこのように迫ってはいけないのだと思い出してやめた。確か法律で定められている。
すなわち好色選挙法である。なんつって。
問題:投票用紙に記入している最中に思い切りビビッたことは何でしょう?
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太平山(地元の桜の名所)の桜を見に来たのに全滅で、一体何しに来たんだか。
弟が車を運転してくれて駅まで向かう。助手席には母。嫁は一番後ろの荷物がぶち込まれた後部補助席に潜り込み、荷馬車が揺れるドナドナ状態。僕は娘・R(3才)と息子・タク(1才)のチャイルドシートの間に挟まっていた。
Rとタクは午前中公園で力の限り遊んだため、シートの中でボーっとしていた。
何を話しかけても上の空で呆けているタク。Rもやけに静かにしていると思ったら
いつの間にか寝ていた。ハナクソをほじったまま…。Rが「オヤジきもい」などと言う反抗期になったらこの写真をゆすりのネタにしてやろうと思った。しかしながら車が揺れて鼻の穴に指がずうんと入りギャースなことになったら恐怖なので、そっと指を離してやった親の愛。
駅に着くと
「あー。一日なんてあっという間だねえ。寂しいねえ」
母が名残惜しそうに駅の中まで見送りに着てくれ、僕らの姿が見えなくなるまで手を振っていた。太平山の桜を見ることが出来ず、嫁にも
「だめじゃん!」
などと呆れられていた僕であったが、そんな母の姿を見た嫁が
「顔を見せるのが親孝行だよ。親孝行できてよかったのだよ」
フムフムと頷いていた。桜が散っていた時には僕をフナムシでも見るような目で見ていたくせに勝手に自己完結してんじゃねえ。水戸黄門のエンディングかお前は。しかしまあそうかもしれぬ。
コロコロとベビーカーを転がしながら駅の中を歩いていると
なつかしの「白ポスト」を発見した。東京では全く見ないがまだあるんだと感心した。少年の頃処理に困った「熱烈投稿写真」などを放り込んだ通称「エロ本ボックス」。
「ぱぱーでんしゃのるよー」
目が覚めてすっかり元気になったRに早く行くよう即されて、はっと我に返った。その姿が可愛くて写真をパチリと撮った。これも田舎の母へ送ることにしよう。
すなわち熱烈親孝行写真である。
問題:電車の中で向かい側に座ってたおばあさんがいきなり言って来たことは何でしょう?
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弟と母が車で迎えに来てくれて、桜の名所、太平山という山に向かう。ここは花咲か爺さんが住んでたんじゃないかってぐらい桜の木がたくさん植わっている桜の名所である。マイナーだがれっきとした観光地であり、その証拠に自販機のジュースは130円である。
登るに手頃な山なので、小学校の時は1年から6年、遠足で毎年登らされる呪われた地でもある。高校生になってすら遠足はここだった。修学旅行は中学高校とも京都奈良だし、このへんの学生はデジャヴ感たっぷりの遠足と修学旅行を味わえてひでぶなのである。
実家の近辺はその他にも桜並木が多いところで、山に向かう途中に通りかかると盛りは過ぎたとはいえまだまだ花は残っており、桃色の霞の中を進むようでまことに気持ちがいい。しかしメインは太平山の桜である。圧倒的な本数の桜の間から見る下界の姿を見ながら、名物のダンゴや焼き鳥と玉子焼きを食べながら
「見ろユリア、これがお前の街だ」
などと北斗の拳ごっこをするのがいいのだ。平野部がまだこれだけ咲いているのだから、多少気温が低い山だったらちょうど真っ盛りな具合のはず…と意気込んでいた。
「さあ着いたぞー」
山の上に到着し、さあ花だダンゴだ飯だと勢い良く車から降りた。
…見事なチルチルミスチルサクラチル状態であった。
「普通山の桜の方が遅いだろうに、なんで…」
呆然としながら「山の桜は根性がない」と結論付け納得しないとわざわざ東京くんだりから来た僕らがアホのようであった。
尤も子供たちは桜とは関係なく楽しかったようで、タクは地面の砂利を掴んでは節分よろしく他の人に向かって投げまくろうとするので冷や汗をかかされたり、Rは展望台に登ったら嬉しくてなかなか降りてこない。
展望台の鉄柵にはカップルの名前が書かれた南京錠がいくつもかけられていた。湘南平のテレビ塔の風習がここまで広がっていた。名前が書かれた上にマジックで塗りつぶされている物も数個あり、そのあたりに物凄い負のオーラを感じる。
この地は何十度となく来た場所だけあって、思い出もたくさんあるが、「少年自然の家」という建物を通りかかった時に
「ここ、お前が泊まって熱出して帰って来たねー」
母が嫌な思い出をほじくり返した。
「子供の頃は枕が変わると寝られなかったんだよ。で、生まれて初めて徹夜したら鼻血わ出るわ熱出るわで体調壊した」
「あなたムダに繊細なのねー」
「うるさい」
「それで連れてった病院がヤブでねえ。ただの風邪なのに入院させられちゃったのよ」
「子供だったから超ビビッたんだよ。入院なんて初めてだったし…」
「退院する時に医者が『特に安静だけを心掛けさせたら回復しまして』とか言ってんの。だからただの風邪だっつーの」
「ぎゃはははは!」
お目当ての桜は散りまくってるのに、僕の暗い過去の思い出話に花が咲きまくっているのは何故ですか…。
問題:桜が散ってるわりには不思議なぐらい凄かったことはなんでしょう?
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アキバのメイド喫茶でひとりビールを流し込む僕は一体何者なのだろう、と我に返った。
かつてここにRちゃんという超美少女がメイドとして働いていた。古い付き合いで、17才でロリ顔巨乳の彼女は僕の好みにどっぷりはまった女の子であった。僕は妻がある身なので、無論おちょめちょめしたとかそういうことはない。正直したかったが、悶々と想いを秘め友達以上変人未満の関係を続けていた。
ある日からこのメイド喫茶で働くことになったと聞き、僕も何度か訪れたものである。
メイド喫茶のメイドというのは、どちらかというとメイドというより「ゾイド」または「メギド」等の単語の方が語感としてしっくりくる方々が多いが、Rちゃんのメイド姿は「掃き溜めに鶴」を地で行く、群を抜く可愛さだった。
ただこの至福のひと時も長くは続かなかった。Rちゃんが帰るところを待ち伏せしたりするストーカーが現れ、身の危険を感じてメイド喫茶を辞めざるを得なかったのである。それからしばらく疎遠になった時期があり、久しぶりに会った時には彼女は別のところで働き、僕には子供が生まれていたりと、お互い環境変化があったので近況を語り合った。
「あのね、僕の子供、女の子だから君の名前を付けたよ」
「ええっ。何それ」
「僕は娘を君と同じ名前にした」
「ええーまじでー。それってどうなのよ?奥さんはいいって言ったの?」
「ダメとは言わなかった」
「それっていいのかな…人として…親として…」
ひとりの少女を身悶えさせてしまったが、僕はこれでいいのだ、僕はパパになったのだからパパなのだ、とRちゃんの巨乳に負けぬよう胸を張った。
ただしそれ以降Rちゃんとは連絡が取れなくなった。
メールしても戻ってくるし、携帯も変わってしまったようで、何度電話してもダミ声のオヤジが出る。僕のしたことがキモ過ぎたのだろうか。彼女からすれば僕もストーカーと変わりないということだろうか。Rちゃんを失った心の穴はなかなか埋まってくれなかった。
あれから3年。僕は再びRちゃんがいたメイド喫茶に足を運んだ。Rちゃんはいないが、もう一度当時の雰囲気を味わいたかった。それにもしRちゃんとまだ繋がりがある同僚メイドがいれば近況を聞けるかもしれない、というこれまたストーカー的な発想で入店したのである。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
ああこの子だ。メイド喫茶の常套句で迎えてくれたこの子こそ、Rちゃんがいた時期に一緒に働いていた子。ここでは仮に「アキバ子ちゃん」としておく。この子に聞くことに決めた。
ただこれが難しい。メイド喫茶はキャバクラなどではなく、女の子がメイドのコスプレをしただけの普通の喫茶店である。女の子が横に座ってサンビスしてくれる訳ではない。別料金を払ってゲームをするとかそういうサンビスを設定している店もあるが、この店にはない。会話をするタイミングは注文する時と会計する時ぐらいである。客も主にその瞬間を狙って束の間のコミュニケーションを楽しむのだ。
それに接客してくれるのがアキバ子ちゃんであるとは限らない。他に谷亮子風メイドなどもいる。しかしRちゃんを知っているという確証が持てるのはアキバ子ちゃんしかいない。とにかくアキバ子ちゃんが応対してくれるのを祈るしかなかった。
「ご注文はお決まりでしょうか」
祈りが通じたのか運良くアキバ子ちゃんが注文取りに来てくれた。いきなり聞いてしまおうか。しかしRちゃんの消息を探りに来た怪しい者と警戒されるかもしれない。いや、その通りなんだけれども怪しくはないんだよ!おいらあやしいもんじゃないよ。おいらベロってんだ。アキバ子ちゃんがニコニコしながら待っている姿を眺めながら、しばし考えたが
「ええと、唐揚げとビール」
和民にでも行けよ、といった感じの品を頼むに留まってしまった。とてもシラフじゃ聞けない…と弱腰になってしまったのである。やはり自分でも怪しいと思うよ。何でビール飲みにわざわざメイド喫茶に来てんだよ。自分で自分を埋めてやりたい。周りを見渡しても、ひとり客は僕だけで、皆2人以上のグループである。いくらツワモノのオタクが集まるメイド喫茶といえど、さすがに単独で来るのは勇気がいるのだろう。ますます肩身が狭くなり、ビールを飲むペースが上がる。
「すいません、ビール」
アキバ子ちゃんに2杯目を頼んで飲んでいると、徐々に気分がほぐれて来た頃、隣の席にひとり客が入って来た。緑色の変なジャンパーを着た、ずんぐりむっくりのゾックみたいな体型の男。彼はFOMA携帯のレスポンスのようなモッサリした動きで歩き、席に付き、途中で貰ったと思われる他のメイド喫茶のチラシを眺めていた。よかった、僕以上に痛い人が来た。
「すいません、唐揚げとビール」
すっかり出来上がってしまって3杯目のビールを飲み、ビールうめえ唐揚げうめえ、うわゾック男ケーキ食ってるきめえ、とゴキゲンになっていたら他の客がチラチラこちらを伺っている視線とぶつかった。顔が相当ニヤついていたようだ。
あ、僕も痛い客だと思われている。うわー視線が痛い。痛えよー痛えよー血だ血だ痛えよー。しかし僕はRちゃんとの思い出に浸りに来たのだ。Rちゃん、君の為ならひでぶ。それでも痛いと思う者は勝手に思え。笑いたいと思う者は勝手に笑え。遠からん者は音にも聞け。近くば寄って屁を食らえ。
あははメイド喫茶で飲むってのも乙なもんだね。赤提灯はないけど、ちょうちんブルマとか誰かコスプレしてくれないかな、アキバ子ちゃんとか…とますますやぶれかぶれになったところで笑顔のアキバ子ちゃんが
「ラストオーダーとさせていただきますが、よろしいでしょうか」
とお伺いを立てて来たのでハッとなった。
アキバのメイド喫茶でひとりビールを流し込む僕は一体何者なのだろう、と我に返った。
おおそうじゃ。Rちゃんのことを聞かなければならないのだ。チャンスは今しかないと決意し、遂に聞いてみた。
「あの、前ここにいたRちゃんって覚えてます?」
「は?誰ですかそれ」
サッと営業用の笑顔が消え、冷たい真顔と素の言葉遣いの返事が突き刺さった。あ、そうか。本名じゃなくメイド名で言わなきゃ、と思い出した。メイド喫茶で働く女の子は、源氏名というかメイド名で通しているのである。本名でやってる人はあまりいないのではないだろうか。
「ここでは○○ちゃん、って名前だったんですけど」
「あーはいはい。覚えてますよ。あ、○○ちゃんのお友達ですか?」
「ええ。彼女がいた頃は何回か来たことがあるんです」
ようやく話が通じた。
「ご主人様はRちゃんと結構会うことあるんですか?」
「…はい」
思いっきり嘘を付いてしまった。
「私は彼女が辞めてから全然やりとりとかなくって…」
「はあ。全然、ですか…」
これで望みは絶たれた。時々この店に顔を出してる、とか、時々メールしてるんですよ、とか何らかのやりとりがある、ということだけでも聞ければ嬉しかったのだが…。
「たまには遊びに来てねって伝えといて下さい!」
「わ、わかりました。伝えときますっ」
嘘に嘘が重なり、ビールが脂汗に変換されて額を伝う。もうここにはRちゃんの痕跡は既にない。だからこれ以上ここにいる理由もない。
「行ってらっしゃい。ご主人様」
会計を済ませて外に出た。二度と「帰って」来ることはあるまい。しばし酔った頭を冷やしていると、件の緑ゾック男もモッサリと店を出て来た。彼はこのメイド喫茶にどんな夢を抱いているのであろうか。酔ったついでに聞いてしまった。
「あなたはどの子が一番いいと思いますか?」
「そりゃアキバ子ちゃんでしょう。そういえばおたく、さっきアキバ子ちゃんと親しげに話してましたが彼女と仲いいんですか。アキバ子ちゃんは笑顔も話し方も素振りもホントに可愛くて僕は癒され…」
黙れ緑のアキバ王。
確かに言われてみればアキバ子ちゃんも可愛かった。欲を言えばメイド服のスカートがもっと短くても良かったかな…。このゾック男がゾッコンになるのも分かる。ズッコンな仲になることはないだろうが。実はRちゃんはアキバ子ちゃんのことを
「接客態度は素晴らしいけど、他のメイド達にはわりとキツイ性格」
と評していたが、それは言わぬがフラワー。適当に相槌を打ってアキバを後にした。おそらくRちゃんをストーキングした男の想いも、僕のRちゃんへの想いも、ゾック男のアキバ子ちゃんへの想いも、同じ愛なのであろう。但し他人から見るといびつでイカレた愛。でも本人にとっては本物の愛。メイド喫茶が何十と乱立するこのアキバの空の下には、そんな愛がいくつ生まれては消えていくのだろう。僕はそんな報われぬ愛の為にレクイエムを歌うのだ。
愛してる〜とても〜。 愛してる〜ほんとに〜。
にしきのアキバ【完】
問題:「あんたここにいていいんか」という客もメイド喫茶にいた。それは誰でしょう?
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先週近場の公園には行ったものの、こぢんまりとした桜だったし寒かったし。かなまら祭りにおいても桜の花は咲いていたが色は似て非なるピンクのちんこに夢中でそれどころではなかったし。そして東京の桜の花は終わろうとしている…。
おおそうじゃ。実家の栃木はまだ咲いているはず。
「週末、栃木行かないか」
「いいよ」
嫁に相談してみたらOKだったので栃木の母に電話をしてみた。
「まだそっち桜咲いてる?」
「ああ、山の方は咲いてるねー」
「週末そっち行っていい?」
「え、来るの?ホント?ひゃっほー」
まるで遠距離恋愛の彼女のような浮かれっぷりをされてしまった。
「うん。じゃあよろしく」
と電話を切った後
「なんかすごいはしゃぎようだったんだけど」
と嫁に言ったら
「親孝行よ、親孝行」
ふふんと笑っていた。ただ桜を見るつもりで帰るだけなのだが結果的にそのようになってしまったようだ。
一応ネットで栃木の桜の咲き具合や天気などを調べていたら、なんと地元の山に熊が出ていたという。親から離れたとされる仔熊が11月ごろからうちの地元の山あたりに出没しており、最近餓死した姿が発見されたという。
僕がいたころは熊が出たなんて聞いたことなかった。そんなに田舎だったのかウチは。
それにしてもまだ親離れしたばかりの仔熊が、ウチのような本来住めない場所に迷い込んで、食べ物を確保できず死んでしまった…という話は子供を持つ身としては哀れな話である。
11月ごろといえばちょうど娘・R(3才)と息子・タク(1才)と
「ぼくはくま、くま、くまー」
と歌っていた時期である。僕の仔熊らはちょっと僕らから離れただけで大泣きするであろうに、この熊出没→餓死事件は悲しさが身に染みることに思えた。餓死せずともこの仔熊の運命を考えるとあまり明るい未来が見えてこない。万一親と会えたとしても、人間の臭いが付いた仔熊には親熊も警戒するという。そして最悪の場合射殺…。なんとか共存できないものだろうか。
くまのプーさんの世界だけじゃなく、熊に出会ったら挨拶でもするぐらいの共存共栄の世界。
くまんたれぶー。
問題:この熊事件で一番不思議なことはなんでしょう?
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我が家のゴミ収集日も、僕が出勤時にゴミ置き場に運ぶのが嫁との暗黙の了解。それを捨てないと僕が捨てられる。
その日の朝もいつものように家を出る時にゴミ袋を掴んで娘・R(3才)と息子・タク(1才)に
「ばいばい」
などと別れの挨拶をしていたら
「ばるばるばるばる…どさどさどさ…」
車のアイドリングと物を投げ入れる音が聞こえて来た。
「あっ!もう収集車が来た!」
ジェイソンがチェーンソーを振り回して襲って来たかのように驚愕する嫁。
「ぱぱー。きゅーきゅーしゃ来たよー」
微妙に間違えて嫁のセリフをリフレインするR。あああ「ピーポーが来てどうする」とかRにツッコミを入れてる暇などない!何故に今日はこんな異常に早いのだ!遅い分にはいいけれども勝手に早く来るのは止めて欲しい!
僕はゴミ袋を抱えて走ったが、ゴミ回収のおじさん達は回収を終えて車に乗り込み、収集車後部の荷箱を開けたままぶろろろ…と走り出すところであった。
多少行儀が悪いが止むを得ん。ゴミを捨てられなくておめおめ家に戻った日には僕が夢の島行きである。
「そりゃー」
室伏ばりの渾身の横回転投げでゴミ袋を放ると袋はうまくボスッと荷箱の中に入っていった。すみません清掃局のおじさん。あとは頼みます…。そして何事もなかったかのように
「じゃ」
窓から覗く嫁と子供達に手を振って会社に行った。身内以外に誰にも見られていなかったのが幸いである。かなり恥ずかしい有様であろう。諺にもある。ゴミの恥は投げ捨て。
翌日はゴミがなかったので普通に家を出ると、今度は隣の爺さんがゴミの入った袋を持って立っていた。
「これ…今日は収集日じゃないのに捨ててあってね…」
とそのゴミ袋を指差した。
「あー。昨日変に収集時間が早かったから捨てそびれた人じゃないですかね」
「ふうん…」
何となく僕に疑いの目を掛けられている気がする。僕ではない。僕じゃない。俺じゃないるれ。ぱっぴっぶっべっぽおっ。
「僕は昨日ギリギリ間に合ったんですけどね!」
大体このゴミ置き場に出す人間が犯人とは限らないではないか。足が付かないようにわざわざ離れたところに捨てる不届き者の仕業の可能性もある。
「カラスに荒らされてひどいことになってたよ。掃除してたんだよ」
「そ、それはお疲れ様です…」
ゴミ置き場の秩序を守る爺さんの覇気に押され、僕は新たなゴミを生み出してしまった。
すなわち「尻ごみ」である。なんつって。
問題:この界隈にはカラスより恐ろしいゴミ荒らしがいる。それは何でしょう?
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恒例、ヨシミさんによるバーチャルネットストーキング→こちら
どうやら「かなまら様」に興味を持たれたようです。
以下日記。
「パパー、かみひこーき!」
寝る直前の娘・R(3才)が唐突にそんなことを言うので
「えー。前に作ったやつはもうないよ…」
以前作ってくれとせがまれて折り紙を折ってやったが、とっくに捨ててしまっていた。
「じゃあ作ってやるか。でも今日はもう寝る時間だから明日の朝ね」
「たっくん(1才の息子)のもつくってね!」
「はい、わかったよ」
弟を気遣うRの優しさよ。
「かっこいーのね!」
「うーむ、結構厳しい注文だなあ」
単に作らせるだけでなく、センスも要求するRの押しの強さよ。
作るといっても朝の忙しい時になんてやってられないので、寝る前に作っておくことにした。子供を持つと、午前2時半に折り紙を折ることもあるんだなあ…と感慨深くなりながら紙飛行機2機作成。
部屋の隅からひょう、と飛ばすと紙飛行機は軽くホップして反対側の壁にポソリと当たった。飛行状態も完璧である。子供を持つと、午前3時に紙飛行機を飛ばすこともあるんだなあ…と感慨深くなりながら安らかな眠りに就いた。
翌朝、Rはまだ起きていず、タクだけが既に目を覚ましていた。早速タクに紙飛行機を持たせて
「これはね、こう手に持って…ひょいって投げるんだよ」
一応紙飛行機の飛ばせ方を指導をしたのだが
「ひょ」
レクチャーも虚しく、タクは飛行機を後ろに放り投げおった。
「ああっ機長、何するんですか」
タク飛行機、逆噴射の後墜落。
あとはRを起こさなければならぬ。
「Rちゃん、起きなさい。ほら、飛行機だよ」
ようやく目を開けたRの前に紙飛行機を見せてみたところ、
「うわああああああん!」
突然泣き出してしまった。
「どうしたの。紙飛行機で遊びたかったんでしょう?あ、もしかして、お気に召しませんか?かっこいくないですか?」
「うわああああん!」
ぶんぶんと首を横に振るR。じゃあ一体Rは何故泣いているのだろう。
「…ひょっとして、作るところから見たかったのかな?」
「…うん」
朝に作るのかったるいから予め仕込んでおこうとする策が裏目に出たようだ。女心は難しい。結局ばらしてRの見てる前でもう一度最初から折る羽目になってしまった。
「はい、できたよ。Rちゃん号」
「それー」
ようやくRの機嫌が直って紙飛行機を飛ばす姿を見てホッとしたのも束の間、
「ぱずるするー」
ほんの2、3度やっただけでもう違う遊びをするなどとほざきおった!
「もう終わりなのー?せっかく父さんが夜なべして作ったのに…」
「ぱずるぱずるー!」
寝る直前に紙飛行機で遊ぶと言うのも気まぐれだし、飽きるのも気紛れ。
Rの気紛れっぷりはまさに「折り紙つき」であったとさ。
問題:今度僕が作ろうとしている飛行機は何でしょう?
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「ぱぱ」
「まま」
「ねぇね」(3才の姉・R)
「ぽっぽ」(電車)
「わんわん」
「わーに」(ワニ)
「ぺーんぐぅ」(ペンギンのピング)
「たおる」
「だっこ」
「おんぷー」(おんぶ)
「まんまん」(アンパンマン)
などなど、徐々に増えつつある。よく嫁に向かって「ぱぱ」と言って「ママです」と突っ込まれているが、嫁が言うには「絶対わざと間違えて楽しんでる」のだそうな。
そんなタクが一番好きなものは
「みんまん」
である。バイキンマンのことをこう呼ぶ。うちにはアンパンマングッズが結構あり、バイキンマンを見るたびに
「みんまん!みんまん!」
と、まるでエロ本鑑賞している中学生が
「おっぱい!おっぱい!」
と、興奮しまくっているように叫ぶ。主人公のアンパンマンより好きなのだ。ヒーローよりヒール(悪役)が好きなのってどうよ。息子よ、お前は善より悪の道を、ひなたより日陰の道を歩むのか。いつもニコニコした素直ないい子なのに、将来は盗んだバイクで走り出すような少年になってしまうのか。
最近は名詞だけでなく、述語になる言葉もしゃべり始めてきた。
「今日は『あった』っていうのを覚えたよ。バイキンマンのおもちゃ見て『あったー!』って」
嫁がこんなことを言っていた。
「みんまん、あったー、とか言ってたのか?」
「いえ、ただ『あったー』って。二語文(主語+述語、形容詞+名詞等の単語が合わさった文)はさすがにまだできないよ」
確かにタクはまだ単語のみを連呼している。Rの時もそうだったが、二語文はもう少し後にならないと喋れない…などと話しているそばでバイキンマンの絵を指差したタクが
「みんまん、いたー」
「うおおお!まじで二語文喋った!」
「ほんとだ!」
あっさり二語文を話したので嫁共々びっくり。まだ1才半なのに。
しかし普通「まんま、たべるー」とか「ママ、すきー」といったオーソドックスな二語文から入るのではないだろうか。僕はキャラクターについてはピカチュウや井上トロやおじゃる丸を強力にプッシュし、独身時代からしこたま集めていたグッズも惜しげもなく全部与えてやったのに、よりによってバイキンマンが二語文のきっかけとなってしまった。これは親の力不足を感じざるを得ない。
それはともかく、昨日僕だけが「かなまら祭り」を楽しんでしまった(昨日の日記参照)のを嫁が不服としているらしい。タクが二語文を喋り始めたというのに、その日以降嫁が僕に一語文すら話してくれないのはどう対策すればいいのだろうか。
ちゃんと予め許可取ったのに…。
武士に二言はない、というが
嫁に二語文はないようだ。
問題:ここまでバイキンマン好きだと、心配してしまうことは何でしょう?
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去年の日記にも書いたのだが、3年連続の参加である。
ちんこの形をしたお神輿が川崎大師の街を練り歩く。中でも一際目を引くのが、女装のメッカとして知られる「エリザベス会館」の女装麗人達が
「でっかいまら!」
「かーなーまーら!」
と雄雄しく声を掛け合いながら担ぐピンク色の巨大な「エリザベス神輿」である。今年もこんな感じであった。
川崎大師のすぐ側を神輿が凱旋する。世界中がこんなノリだったら宗教戦争は起こらないのに。去年は天気が悪かったが、年々集まる人が増えているような気がする。
左上:エリザベス神輿の前で踊りまくる女装の麗人。
右上:毎年いるネコミミ交通誘導員(男)
左下:「ちんこ飴」を股間に当てていた色っぽいギャル。
右下:境内の巨大ちんこにまたがる人々。
一緒にいた友達のギャル、羽奈ちゃんにこの巨大ちんこにまたがるよう頼んでみたら(エロっぽい写真を撮りたかったのである)
「素股っすか」
とか言っていた。
さてこのお祭りはエイズ除けご利益がある「ウタマロフェスティバル」外人さんにも有名である。毎年たくさんの外人さんが訪れており、今年はその中で変な日本語Tシャツを着ている人を撮ってみた。
左上:「チイアントン」意味不明。カタカナならなんでもいいのか。
右上:「日本人彼女募集中」以前このサイトで載せたことがあったが本当に着てる人がいた。
左下:「巨根」今年もいた巨根Tシャツ。それにしても巨漢巨根のオヤジ、ノリノリである。
右下:「?」これも意味不明。漢字ならなんでもいいのか。
その後、textile dining michiの店長さんのお店に行って「まらナイト」と称する宴に混ぜてもらった。店の常連さん達にかなまら祭りっぽい料理を提供する店長さん。
左上:黒板椅子に僕が書かされた。これを店の前に出すなんてひどすぎる。
右上:マスターベーコン。いなり寿司にもずくにソーセージに白子。リアル過ぎる。
左下:おっぱいプリン。
右下:かなまらまつりで売ってた焼酎「金玉」。きんぎょく、と読む。
今年も日本の民俗パワーを嫌というほど感じさせるお祭りであったことよ。
もーいーかい、まーらだよ(また今年も同じオチだ)
問題:本当は子供達も連れて行きたかったのだが、どうして連れて行かなかったのでしょう?
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0721。すなわち…。
近場の公園に子供達を連れて行って花見をした。嫁は後から来るのでそれまで遊ぶ娘・R(3才)と息子・タク(1才)を追いかけていたら
「Rちゃんのお父さん!」
以前Rが通うリトミック教室にいた、ココロちゃんという夏目漱石みたいな名前の女の子のお母さんであった。
「あ、どーも」
Rとココロちゃんもモジモジしてお互いを見ている。
「ほらR、覚えてるかい?」
「…」
Rは照れている。
「お名前覚えてるかなー?」
Rはぶんぶんと首を横に振った。
「このお方をどなたとココロえる!」
とヒントを出してやったが、Rにはまだ水戸黄門を見せたことがなかったので当然通じなかった。
やがて嫁が合流したので飯を食べた。花見といえば三色ダンゴである。Rと息子・タクに
「さあ、ダンゴだ!『花よりダンゴ』を地で行く姿をパパに見せておくれ!」
あらあらこの子達は桜なんかよりダンゴなんだからまったくもー、って僕を溜め息混じりに雑じりに呟かせてくれ!それが季節の風物詩である。ところがRもタクも既にヤキソバを食いまくっていたせいか、
「いらない」
「じゃあなんか食べたいものある?」
「ふわふわ」
そんなわけで、もののあはれのないやつだ。
そのうちタクが「ひーん」とグズリ始め、あちこちを徘徊して、誰かの自転車に掴まり
「ふーん。ふーん」
と踏ん張り始めた。どうやら大自然が呼んでいるらしい。
「あ、タク、あんなところで…」
花よりダンゴではなく、花よりうんこになってしまったとさ。
問題:嫁は僕達と合流する前、どこに行っていたでしょう?
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