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■川崎ハロウィンパレード。
2005年10月31日(月)
川崎のハロウィンパレードを見に行って来た。

娘・R(2才)も何か仮装させてやろうと思い、天使のコスプレを
させようと思ったのだが、どうも天使の羽根の羽毛のボワボワが
気に入らないらしく

「こわい!こわい!」

と着用してくれない。僕も毛のある動物は女体以外は苦手で、
出来ることなら触りたくないのだが、それと似たようなものかも
知れぬ。尤も毛のない動物も幼女の女体以外は苦手であるが。

チャイナ娘

そういった訳でやむを得ずチャイナ娘にすることにした。

このパレードはコスプレしまくった団体が、テクノをガンガン
がなり立てるトラックの先導により川崎の街を練り歩く、いわば
真昼の百鬼夜行であるが、こういう変な祭りにはいつも同行して
くれる美人秘書ちあきちゃんも参加。

彼女もそれなりに着飾って来る予定だったらしいのだが、親御
さんの目にはそれが余りにもアバズレかつビッチな格好に映った
らしく、大喧嘩して着替えて来たとのこと。とても残念である。

「それで普通のビラビラがついたワンピースになったんだね」

「ビラビラって言わないで下さい!」

とオヤジ口調を咎められつつパレードに参加。仮装のレベルは
年々上がっているように感じた。

魔太郎魔太郎な人。

ハットリ君獅子丸プロゴルファー猿魔太郎と一緒だった藤子不二雄Aキャラの団体。

マリオスーパーマリオな人。

ハードゲイハードゲイな人。

いつの間にかRは、テクノの爆音にも拘わらずベビーカーの中で昼寝。

パレードが終わり、お茶でもしようかと店を探したのだが、混んで
おり店が見付からず、入ったのはラーメン屋。生ビール餃子セット
580円也を注文するとちあきちゃんも

「じゃあ私もソレ」

「君もおやじだねえ」

食い物の匂いを察したのかちょうどRも目が覚めた。しかし人見知りを
してなかなかちあきちゃんに目を合わそうとせぬ。蚊の鳴くような声で

「ちあきたん…」

と呟いて、僕が頼んだアイスクリームをばくばく食べていた。

来年こそはもうちょっと凝った仮装をして参加しよう、とちあきちゃんと
心に決めてお開きとなったのであった。

昔の人は、子はかすがいと言ったものだが、
子は仮装がいい。

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■嫁の表産道と裏参道。
2005年10月30日(日)
仕事から帰ってくると娘・R(2才)、嫁、息子タク(生後3週間)が
並んで川の字に寝ていた。

「はああ、今日は大変だった…午前中はタクが泣きっ放しでRは
 (中略)、体を酷使したわ」

眼を覚ました嫁が溜息混じりに言う。

「それじゃあ僕が体をほぐしてあげよう。さあパンツを脱げ」

「ダメです。出産後1ヵ月はやっちゃいけないんだから…」

「僕達には産道の他にひとつ残された道がある。道というか穴。
 すなわち水戸は水戸でも水戸アナル」

「ダメって言ってんでしょ!体力を使うことは極力避けなきゃ。
 整体師には自転車にも乗るなって言われてるんだから」

「お前は寝てるだけだろうが!」

日頃のマグロぶりをチクリと刺したつもりで皮肉ったが、言葉で
刺しても陰茎で刺すことが本来の目的であり本末転倒である。

「とにかく自転車にも乗れない体なので、夫にも乗れません」

「だから乗るのはいつも僕だろうが!」

「あらそうでしたホホホ。とにかくまだ産後3週間だからダメ」

嫁は全く堪えていなかった。

「分かったよ。その代わり解禁した暁には堰を切ったダムの如く、
 檻から放たれた和田アキ子の如く襲ってやる…」

無理は承知でゴリ押ししてみたものの、やはり想いは遂げられず。
示威運動を必死で行なったが所詮独りでの活動なので、結局は今宵も
自慰運動で終わりそうな夜であった。

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■性…知りそめし頃に。
2005年10月29日(土)
娘・R(2才)と風呂に入る前の嫁との会話。

「タク(生後3週間)の着替えをしてたらね、Rがタクのアレを指差して
いたから『ちんちんよー』って教えたの」

「教えんなよ!」

「えーだってー」

僕は今まで敢えて教えずにいたのだ。一緒に風呂に入っても特に興味を
示さないし、まさか実の娘相手に

「ほーら見てごらん」

と露出狂まがいのことも出来ないので、まだRに男根の正体及びその
愛しさとせつなさと恐ろしさを教える時期ではないと思っていた。
しかし、嫁は教えてしまったか…。

そのせいだろうか。その後Rと風呂に入ると執拗に僕のアレを指差して

「あ!あ!」

と何度も叫ぶのである。バパとても恥ずかしい。いや待て。僕は時期尚早
であるから教えなくてよい、と思っていたが、本当は単に恥ずかしいから
避けていただけあったことに気付いた。

まだ2才だから、いや2才だからこそ最初にちゃんとした教育をすべきでは
ないだろうか。よしやったるで。お父さんによる初めての性教育。

「いいかR。これはちんちんと呼ばれるものであり、パパとタクに付いている。
 僕ら以外にも付いている人はいる。Rはまだ小さいから平気だが、もし10才
 を過ぎてからちんちんを見てしまった場合は3日後に血を吐いて死ぬる。
 無論触ったら即死。但しパパとタクのは見ても大丈夫。将来Rに見せたがる
 人が現れるかもしれないが、すぐ逃げなさい。不幸にも強引に見せられて
 しまった場合、死を逃れるために1つだけおまじないがある。その時は

『パパの方が大きい』

 と唱えなさい。そうすれば相手はたちどころにしょげてひっこめるだろう。
 これは本当のことだからね。インディアンとパパは嘘付かない」

…ということをまだ知識もないまっさらなRに叩き込めば純潔を守り通して
くれるだろう。将来Rがアイドルとかになってしまっても

「売れない時のニャンニャン写真」

などとBUBUKAあたりにすっぱ抜かれることもない。完璧だ。しかしいざ

「これわ?これわ?」

Rに面と向かって指差されると、やはり恥ずかしくて「ちんちん」と言えない。
他の女の子にはちんぽだのアナルだのセクハラで実刑食らってもおかしくない
卑猥用語を平気で言えるのに。これが惚れた者の弱みという事だろうか。いや
普通幼女にそんなこと言うわけはないが。

「これわ?これわ?」

Rは知的好奇心に火がついたのか執拗に僕に聞いてくる。僕は言葉に詰まり
頭が痴的羞恥心で一杯になり

「これは…お花」

自分でも訳が分からない答えを返してしまった。

「おはな」

Rはにっこり笑った。満足したようだ。「おはな」と覚えてしまった。これで
いいのだろうか。嫁に言ってみても

「どこが花なのよー!」

と笑われた。ま、花も花粉を飛ばすしアレも子種を跳ばすし、似てる言えない
こともないだろう。

Rにはまだ知らぬが花ってことで。


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■あとは寝るだけ。
2005年10月28日(金)
夜、娘・R(2才)を寝かしつけようとすると、

「パパ、ねんね!ねんね!」

必ず僕にも「寝ろ」と言ってくる。仕方がないので横になると

「とん!とん!(布団)」

ちゃんとかけ布団をして寝ろ、と仕切る恐るべきR。

「それじゃあR、おやすみのチュー」

と寝る前にちょっかい出そうとしても

「め!ねんね!ねんね!」

結婚するまでは操を守るのよ、とばかりに鉄の処女の如く僕を
拒否する。そのくせ

「私にはチューしてくれるのよ、はい、チュー」

嫁とはベタベタチューチュー体を絡めて遊んでいる。つまらないから
ネットでもやるべか、とムックリ起きて隣の部屋に行こうとしても

「め!ねんね!ねんね!」

やはりRに咎められた。要するにRは、僕にココに寝てろと言いたいわけ。
私に抱きつくな。チューするな。ネットするな。隣の部屋に行くな。
ただ寝てろ。ここにいるだけでいい。しかし何もするな、と。

「僕はまるでカーネルサンダースの人形みたいではないか」

必ずケンタッキーになければならないものであるが、そこにいるだけ
で他の役割は何もない存在。今、寝室における僕の立場はまさにそれだ。

「そうみたいね、フフフ」

楽しそうにRと抱き合ったりチューしたりしてじゃれあっている嫁を
見て僕はもうフテ寝するしかあるまいと大いに腐った。

もう寝るサンダース。

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■父娘で赤ちゃん返り。
2005年10月27日(木)
日曜日の9時ごろだっただろうか。普段なら子供達と寝てしまう
嫁が珍しく「テレビ見るから」と高らかに宣言した。

どうせ嫁の好きなキムタク主演のドラマとかで、タイトルが

「湯煙温泉キムタクはみちん殺人事件〜とし子宇宙へ〜」

などという低俗なドラマか何かであろうと思ったら違った。
「赤ちゃん返り」がテーマのドキュメンタリーであった。
赤ちゃん返りとは、赤ちゃんが生まれると親の関心がそちらに
行ってしまいがちなので、上の子がかまって欲しさのあまりに
「ご飯食べさせて〜」とか「おっぱい飲みたい〜」など今まで
ひとりで出来ていたことを親に甘えて逆行してしまうことをいう。

うちは息子・タク(生後3週間)が生まれたので娘・R(2才)が
そろそろそうなるのではないか、という時期である。

Rは今のところ赤ちゃん返りはしていない。しかしその内兆候が
表れたらどのようにすべきか…嫁はそれを学ぼうとしていた。
僕も嫁に倣って見ていたが、子供の赤ちゃん返りについてのみの
内容では片手落ち(差別用語)であると感じた。

育児に追われた嫁に相手にしてもらえないあまり、

「僕もおっぱい吸いたいでちゅー」

と赤ちゃん返りする夫の対処についても取り上げるべきである。
中には堰き止められた性欲をコントロール出来ず、本能の支配の下、
一匹の獣に先祖返りして嫁の知らぬ間にどこぞでみだらな行為に
ハマる亭主もいるであろう。

僕はそこまではいかない。野性を失った都会の生き物であり、翼の
折れたエンジェルであるので性の暴徒にはならない程度の分別はある。
しかしたまに女体のぬくもりが恋しくなるので

「嫁〜。だっこしてちょ」

と甘えようにもタクやRがいつも占拠していて近寄れないので寂しい。

夜、嫁がタクの授乳をしているところをRがじいと見ていた。

「Rちゃんも飲む?」

嫁はRが飲みたがっていると思ったのだろうか、そんな声を掛けた。
おおそうじゃ。お父さんも一緒に飲むー!と駆け寄ったのだがRは

「めっ!ちゃー(麦茶)飲む!」

あらら、Rのほうがしっかり乳離れしていることよ。娘がそう言って
いるのに父だけ嫁の乳首を咥えることほど情けないものはない。
やむを得ず我慢した。

酒を飲みたい夜があるように、
乳を飲みたい夜もあるなんて知らなかった。

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■あなたが噛んだ、小指が気持ちいい。
2005年10月26日(水)
殊の外、息子・タク(生後3週間)が泣きまくる日であった。

嫁も二児の母ともなると肝っ玉母さんになったようで、その程度では
動じない。料理に没頭したままである。そうなると金玉父さんの出番
であり、

「おお、タク、何故泣いているの?阪神が負けたから?」

と、抱き上げてあやすのだが、にっちもさっちもどーにも泣いてばかり
いる子猫ちゃん。おそらく腹が減っているのだろうと思い、

「母はあの通りだからとりあえずコレで我慢してくれ」

僕の小指をタクの口元にそっと含ませてやると

「ちうちうちうちうちうちうちう」

おおお。なんという吸い込みだ。池袋のヘルス嬢あたりには必須の
バキュームテクニークだぞこれ。嫁にもこれぐらいの技術があれば
もっと夜も楽しかったろうに。

以前嫁の母乳を飲もうとして(子を授かった夫婦は必ずやると思われ
る行為)結局吸えなかったことがあったが、成る程こういう舌使いで
攻めればいいのか、と負うた子に教えられたまましばし恍惚のひと時。

「ううう、うわあああん」

しかし至福の時間は長くは続かなかった。たとえ生後3週間の赤子とは
いえ、乳首と小指ぐらいの区別はすぐ付くようで、僕の指をぶっと吐き
出してから再び泣き始めた。

「そうだよなあ。お前も男なら乳首吸ってた方がいいよなあ」

結局ようやく台所仕事を終えた嫁が生乳プレイ(授乳と言え)を始めた
ので、タクは泣き止んだ。やはり母でないと駄目なものである。

こうしてタクは貪欲に乳を吸って1日50グラムずつ成長している。
このペースでどんどん大きくなって欲しい。

…と思ったが計算してみたら6年で100キロオーバーになってしまう
ことに気付き、ちょっと戦慄したのであった。

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■09車。
2005年10月25日(火)
娘・R(2才)を自転車に乗せてサイクリングやっほーしていたら、
向かい側から霊柩車がやって来たので

「親指を隠せー!」

と慌ててハンドルから親指のみを離して猿手握りにして隠したのだが、
Rは当然そんなことは分からず

「わっしょい!」

いや、お神輿じゃないから。

霊柩車を見たら親指を隠さないと親の死に目に会えない、という迷信は
昔、魔物は親指の爪から侵入してくるという俗信があり、その名残で
あるらしい。(「親指と霊柩車〜まじないの民俗〜」)

Rは親指を隠さなかったから僕の死に目に会えない。いや、所詮迷信。
ウダウダと悩む必要はない。しかし元がネガティブシンキングな僕は
どうしても暗い方に考えが行ってしまう。そこで僕はいろいろな受け
止め方を考えてみた。

1.ネガティブな親:

親の死に目に会えないということは、まさかRが僕より先に…。

(考えただけで縁起が悪いのですぐさま打ち消した)

2.ニュートラルな親:

そりゃ子供達に見守られて旅立つのがベストだけどなあ…。

(これぐらいの受け止め方にしておけば精神衛生上よろしい)

3.ポジティブな親:

なーに迷信迷信!地方によっては縁起がいいってとこもあるよ!

(とは言いつつもそこまで全肯定出来ない)

4.バカな親:

うはwwてことはRとずっと一緒にいれば、俺死ななくてよくね?
俺、クレヴァー!

(バカ)

はあ…いくら考えても根が田舎者なので、土着的な迷信を頭から否定
することが出来ない。おおそうじゃ。

神よ、Rはまだちっちゃくて分からないのでノーカウントってことで
お願いします。

よし…こう祈っておけばとりあえず大丈夫…ということにしとくか。

これを霊柩処置といいます。

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■買い物しようと街まで出かけたら。
2005年10月24日(月)
嫁に頼まれて娘・R(2才)を連れて近所のスーパーに買い物である。

Rは嬉しそうに店内を歩き回って売り物を見るたびに

「りんご!ばなな!だいこん!おねえしゃん!」

その都度叫んで知っている限りの知識を披露する。いや、お姉さんは
売り物じゃないからね。売ってたらお父さん買っちゃうからね。

お菓子の売り場に行くと、それこそ子供にとって魅力的なキャラ物の
おまけ付きの商品が待ち構え、だだっ子を持つ親にとっては地雷地帯
のような危険区域だと思うが、Rの場合は

「あんまん(アンパンマン)いたー!ぴかちゅう、いたー!」

馴染みのキャラクターを発見して喜びこそすれ、買って買ってと
ねだらないところが良い子である。

こうして嫁に命じられた物を求めつつ店内を回っていたら、アイス
クリームのコーナーを通りかかった。ここでもRは

「あいしゅー!」

真っ先に冷凍ケースに駆け寄るのだが、そこにはハーゲンダッツの
アイスが満載されていた。Rはハーゲンダッツのデザインを見れば
アイスであると分かってしまっている。普段質素な食事しかさせて
いないがアイスだけは別。嫁が大好きだからである。

今は息子・タクを産んだばかりなので苦しみながら節制しているが、
ハーゲンダッツの店によく行って食べているのである。

僕が子供の頃のアイスといえば30円とか50円などのものばかりで、
100円のものですら簡単に買えなかった。それなのにRは2才にして
スーパープレミアムデビュー済みであり、アイスといったらハーゲン
ダッツしか知らない。

「ガリガリ君がなければハーゲンダッツを食べればいいのにオホホ」

将来マリーアントワネットな娘にならなければいいがと少し心配。

買い物はあっさりと済んだ。

今はRは物欲が希薄というか、まだ幼いからだだをこねることもない
のだろうけども、今後おねだりをするようになったら娘激ラブの僕は
きっぱりと断れる自信がない。いつもの親父ギャグで煙をまくしか
ないのかもしれん。

求めよ、されど与えへん。

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■娘の顔に傷がああああ!
2005年10月23日(日)
仕事から帰ってくると娘・R(2才)の顔が傷だらけだった。

「どうしたんだそれ!何があった!嫁入り前の娘の顔にイイイ!」

ま、嫁になんか行かなくてもいいけど、猫に引っかかれたようなRの
顔が不憫でならず、嫁に詰め寄ってみると

「お母さん(僕の母)が公園に連れてって遊んでた時に、シャボン玉を
 追いかけて顔から転んだそうなのよ」

ということだそうだ。母は今日の夕方に帰った。仕事中だった僕には
「帰る」とメールが入っていたが、このことについては一切触れられて
いなかった。まあ母に責があることではないが…

「おおよしよし、痛くないか?かわいそうにねー」

Rの顔を覗き込むと浅い擦り傷だったのでほっと安心。シャボン玉を
追いかけてこけちゃった、というのがなんとも可愛いではないか。

「R、ばあちゃんと遊んでたの?」

「うん」

「シャボン玉したの?ふーって」

「ふー、したの」

「それでその時こけちゃったのかー」

「…うん」

しょぼーんとした顔と声で答えるRがまたなんとも可愛い。子供に
生傷はつきものだが、僕も気を付けなければ。といっても転倒防止
なんて気を付けようにもキリがないけど。

しかしRには既に鼻に傷跡がある。1才にもならない頃、爪で引っかいて
しまったと思われる、縦一本の傷跡が未だ消えないでいるのだ。

「これも消えてくれるといいけどなあ…」

よく見なければ分からないレベルではあるが、本人はえてして気にして
しまうものである。Rのコンプレックスにならなければいいけど。

そういえば僕の母も鼻に傷があって、それも言われないと気付かない程度
なのであるが、

「この傷、若い頃はずっと気にしててねえ」

ある日僕にボソッと言っていたことがあった。Rも年頃になって

「この鼻の傷が…」

と悩むようなことがなければいいが。その時は父として暖かい言葉を
かけてあげよう。

Rよお前のその鼻は、世界にひとつだけの鼻。

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■隣はナニをする夫婦。
2005年10月22日(土)
栃木の母が再び育児と家事の手伝いに来てくれており、夜は
母だけ隣の部屋に寝てもらっている。

この夜、仕事から早く帰ってこれた僕は娘・R(2才)を風呂に
入れ、足をマッサージしてやったりした後、寝ることになった。
息子・タクは既にすやすやと眠っていたが、Rは布団の上でひと
しきりはしゃいでから寝るのがいつものパターンである。

「ぱぱー!ぱぱー!」

やはり今日もRは僕にじゃれついてきて、足を差し出した。

「ん?あ、そうか。さっきお風呂でやったマッサージをもう1回
 やれってことだね」

Rは満足そうに頷いた。愛しの娘の生足を揉めるという、この
極上の幸せ。そこで僕は考えた。このマッサージを怠ることなく
続けていれば、Rは都度僕にリクエストをしてくれることになり、
さすればRが成長して女子高生ぐらいの年頃になっても

「パパじゃなきゃだめなのよね〜。足揉んでよ〜」

と短い制服のスカートからにょっきりと、眩しい生足を晒して
くれるであろう。

これだ!

今までなかった大発明に心が躍った。全自動ダッチワイフを発明した
エジソンもきっとこんな感動だったに違いない。いや、そんな発明して
ねえよ。

ところでRは、僕に足を揉まれた後、何故か嫁のお腹をマッサージ
し始めた。

「あはは、もう妊娠中じゃないからいいのよー。あなた、肩揉んで」

なんだその華麗なるドサクサ紛れの命令は。しかし僕は嫁に従い、
肩揉みに没頭した。すると

「ありがとう。じゃあちんこ揉んであげる」

なんと僕の生命の種の噴出し口に手を差し伸べてきたではないか。

これだ!

嫁にエロティカルサービスを求めるなら、この手でいけばいいのだ。
すればよいのだ…。今までなかった大発明に心が躍った。全自動
鼻くそほじり機を発明したエジソンも(以下略)

いや、そうじゃなくて。普段だったら嬉しいけれども、隣の部屋に
母がいるのである。でかい声でちんことか言うな。

…と嫁に言おうとしたけれども、その声も母に聞こえてしまうので
それも言えず、

「いや…今はいい」

嫁の手を押さえることしかできなかった。中途半端な刺激で眼が
冴えてしまった僕は、眠れずに悶々とした気持ちになり、暫く
寝返りを打ちまくった後、やはりどうしても我慢できず再び嫁の
肩を揉んだ。

「なに?またちんこ揉んで欲しいの?」

ふぐあ。嫁はお見通しであった。いや、そうじゃなくて、いや、
そうなんだけれども、だからちんことか言うな!

「いや、いいです…」

僕は小さな声でそう言うしかなかった。しかしタクの出産直前から
今までというもの、本当に子供中心のほのぼのとした生活だけで
あったため、些細ではあるが久しぶりの嫁からの刺激的行為が
新鮮に感じて嬉しかったのであった。

ただ、手伝いに来てくれている母には誠に申し訳ないけれども、
大発明を立て続けにしたこの夜だけは「いなければいいのになあ」
と思ってしまったのであった。

不必要は発明の母。

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■娘はジェラシー。父はイヤラシー。
2005年10月21日(金)
息子・タク(生後2週間)を抱いている時の娘・R(2才)の反応。

いつもならば僕のところに寄ってきて

「だっこー。あっくん(タクのこと)、だっこー」

一緒にだっこをしたがったり、タクをニコニコしながら眺めて
愛でるのだが、この日は違った。泣いているタクをあやすため
よしよし、良い子だねーと抱いていると

「め!めーよー!」

Rが怒るのである。僕がタクを愛でていることに対しての怒りで
あることには明らか。

「ごめんねー。たっくん、今えーんえーんしてるからね」

とRをなだめても、ものすごい睨みを利かせたガンを飛ばして
いるのである。そう、これは嫉妬の眼差し。2才の幼児ではなく、
嫉妬に燃えるひとりの女の眼がそこにあった!

Rの瞳の中に燃えている嫉妬の炎は、大リーグボールも投げられる
であろうってぐらいの勢いであった。

「あら、Rちゃんすごいジェラシーよ」

嫁はノホホンと言っていたが、その眼差しは他でもないお前に
似ているのだよ!あれは遠い昔…いや、過去の話だ。現在の嫁
には僕に燃やす嫉妬など燃えカスすら残っていないだろう。

そんなひさかたぶりに女の情熱に当てられた僕は、痛いながらも
忘れていた快感を思い出したのであった。

恋だの愛だの嫉妬だの胸の痛むような男と女のかけひきをしては
夜な夜な身悶えていたあの頃…。ああ、そんな溢れ出て来る過去の
記憶が懐かしくもむず痒い。しかしR、いけませぬ。僕には妻と娘と
息子と嫁とせがれがいる身。

「タク…女には気をつけろ」

泣き止んだタクにそっと呟いて寝かせこと10分後、Rはいつもの
ように

「ぱぱー!おいでー!」

先程のジェラシーはどこへやら、ケロッとして僕にまとわり付くの
であった。結局この嫉妬をみせたのはこの日のみで、次の日も同じ
ことをしてみたが、いつも通りニコニコしながらタクを撫でていた。

一体なんだったのだろうか。女心は分からぬ…。

あ、そうか。これが女心と秋の空というやつであろうか。

秋深し 娘の嫉妬もいと深し

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■マジかよバナナ。
2005年10月20日(木)
娘・R(2才)はバナナが大好きになった。毎朝

「ばななー。ばななー。食べうー」

とおねだりするので1本を半分に切って皮をむいてやると
もぐもぐと食べる。サチコという名の幼女を歌った童謡
そのままである。そのせいだろうか。

夜、Rを風呂に入れんがためパンツを脱いだ途端

「あ、ばなな!ばなな!」

僕の伝家の宝刀をバナナ呼ばわりするようになってしまった。
なんということだ。2才にしてもう性教育のファーストステージに
立たなければならぬのか。まだ心の準備ができていなかった僕。

「危ないからさわっちゃいけません!」

思わず悲鳴をあげた後

「いやその…これはバナナじゃなくてお前を作った種イモで…。
 ほら、これはバナナと違って最初から皮がむけてるだろう!」

と必死に弁明したらそれを聞いていた嫁の顔が曇った。

「タク(生まれたての息子)もちゃんとむけるかなあ…」

なんと、もうそんな心配をしているのか。

「いやー。僕譲りの遺伝で大丈夫じゃない?」

しかしそれはいらぬ世話というものだ。タクのそれがむけるか
むけないかの頃には嫁は預かり知らずになっているはずである。
まさか毎日チェックするわけなかろう。

その後僕の母がタクのおむつを交換している時に

「あらー。タクのはお前の小さい時そっくり」

と言うのを聞いて軽く不能になった。

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■禁じられた行為。
2005年10月19日(水)
息子・タクの出産直前から今日までアバウト1ヵ月、みだらな行為
目当てで嫁の体に触れていない。

産まれる前は怖くて求愛出来なかったし、出産後1ヶ月もまぐわいは
禁じられている。ずっと僕は耐えて来た。決して池袋東口のイメクラ
「陰毛の恋池袋本店」などにも行っていない。今まで清廉潔白である。
その結果として溢れ出さんばかりの淡白液は、自分で精製淡白していた
こともあったのだけれども。

産後の女性の体型がなかなか戻らないということはよくある。嫁も
腹の肉が付いたままであるとか、そんなことはないだろうか…。
そんなことを考えていたところ、嫁が台所で水回りの掃除をして
いたので、久しぶりに僕もいっちょ嫁の体の腹回りのチェックを
してみしょうと思った。台所でのラーゲといえば立ちバックであり

「バックします。ご注意下さい。立ちバックします。ご注意下さい」

嫁のおヒップに腰を擦り付けて嫁腹に手を回してみたところ

「…なんだこの太さと堅さは」

妊娠前は華奢なウェストだったのに、みっちり具が詰まった春巻きの
ようになっているではないか!

「あああ、こんなに太ってしまって…」

驚愕して嫁腹を撫で回していたところ

「何言ってんのよ!いろいろ着てるのよ!」

嫁に怒られたので我に返った。あ、そうか。腹巻やらガードルやら
いろいろ巻いているのね。

これで僕も安心し、解禁まで快く待てようというものである。
出産直後の禁欲生活に耐え切れず、浮気に走る夫は往々にして
いるようである。しかし僕はそういったこともせず、風俗にも
行かず、夜中ちょっぴり部屋に籠るだけで耐えている。

嫁はそれ以上に育児が大変だろうけれども、ここはまぐわえない
時期を自制出来ている僕を自画自賛したい。

自分で自分をハメてあげたい(ミミズかよ)

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今日もアリガトウゴザイマシタ。


■バイバイ、ありがとうさーようならー。
2005年10月18日(火)
息子・タク(生後2週間)はまだ1日の半分は寝ているので、
休日は必然的に娘・R(2才)の相手に追われる事が多くなる。

この日も雨上がりの公園にRを連れて行った。公園の端に
Rを立たせ、もう一方の端に僕が立つ。

「よーい、どん」

と声を上げるとRは全力疾走で僕の胸に飛び込んでくる。
笑顔で「キャー!パパー!」と、一生懸命走ってくる可愛さは
そのまま誘拐してしまいたいぐらいである(実子を誘拐して
何の意味があるのか不明)

まだ歩けなかった1年ほど前「赤ちゃんハイハイコンテスト」
に出た時、一歩も動けず泣き喚いてしまった屈辱を思い出すと
感慨も尚更である。タクも一緒に公園で暴れ回れるようになる
のは、やはりあと2年後ぐらいになるであろう。

「ぱっぱー、うなば(砂場)!」

Rにせかされて砂場に向かうと、雨上がり直後だったので砂が
湿っており、

「砂場が、濡れ場。ぬふふふ」

娘にはとても聞かせられない独り言を呟いた。

「ぱっぱー、しーそーのる!」

再びRにせかされて今度はふたりでシーソーに乗った。ぎっこん
ばったんとRが怖がらない程度にシーソーを揺らしてやる。

「昼間は娘とぎっこんばったん。
 夜は女房とずっこんばっこん」

とても娘には聞かせられない独り言をまた呟く。というのも僕は
結構飽きてきてたりして。時計を見るとそろそろRの昼寝の時間
である。ちょうどよい。

「R、そろそろ帰ろうか」

僕が帰宅を告げるとRはイヤイヤ愚図ることもなく

「しーそー、ばいばーい!うなば、ばいばーい!しゅー(滑り台)、
 ばいばーい!」

公園のひとつひとつの遊具に別れの挨拶をした。あああ、こういう
ところもたまらなく可愛い。

「よくできました。Rは礼儀正しいよい子だね」

「パパ、ばいばーい!」

父、置き去り。

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■いやんばかんイタリアン。
2005年10月17日(月)
日曜日。嫁が「僕と娘・R(2才)昼飯のおかずがない」と言うので
作らせるのもアレかなと思いRと外食することにした。嫁は息子・
タク(生後2週間)と留守番である。

入った店は近所のイタリー料理の店。高級な店でなく、昼は僕らの
ような子連れ客も多いところではあるが、娘と2人きりでこんな店に
入れるのはいつまでだろうか…と店に入った途端に感傷的になる僕。

一方Rは当然そんな親の心子知らずで、フォカッチャ(イタリーのパン)
をばくばくと食べて

「おいしー!ぱん、おいしー!」

とウェイターに聞こえよがしに連呼するので、ウェイターも

「もっと召し上がりますか?」

と山盛りに盛ってきてくれた。Rめ、2才にして男心をくすぐる術を
知っている幼児よ…。調子に乗ったRは僕の膝の上からすり抜けて
店の床に雲古座りをして「いえーい」とピースサインをする。

「こらR。お行儀が悪いぞ。栃木のヤンキーじゃないんだから」

そういうのを若気のイタリーというんだ。

やがて運ばれてきたのは、カニとエビのパスタ。ほぐしたカニと
小ぶりのエビが10個ほど乗せられていた。これならばRも食べられる
と思って頼んだのであった。

「R、カニ食べる?」

「たべうー!」

「R、エビ食べる?」

「たべうー!」

このやりとりが10回ぐらいループし、僕に残されたのは具なしの
ほぼ素うどんに近い状態の素パスタ。

…Rの幸せが僕のしわよせ、いや、幸せである。これでいいのだ。

涙の粒の数だけ塩味が効いたパスタであった。

「えび、おいしー!」

うむ。美味しいか。嬉しいか。やはりこれでいいのだ。お父さんは
恨んでなんかないぞ。

でもちょっとだけ、イタメシやー。

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■お遊戯前戯後戯。
2005年10月16日(日)
息子・タク(生まれたて)の世話で嫁が外に出られないため、
先週に引き続き僕が代わりに娘・R(2才)をお遊戯教室に連れて
行った。

このお遊戯教室は嫁がどこかで見つけてきたもので、さすが
スーパーシティトキオには何でもあるもんだなあと思った
ものである。
その後僕も苦手なジャンルを克服すべく「前戯教室」を探した
のだがそれはトキオにもなかった。

「あらーRちゃんこんにちは」

「今日もお父さんといっしょね」

お遊戯の先生や他の子のママ様たちはこちらのことを知っているが、
僕は全然顔も名前も覚えておらず、こういう状況ってけっこう辛い。

「ははは、どうもこんにちは」

選挙活動中の政治家のような嘘臭い笑顔で表情を固めつつ夫人達の
品定めしていると、前いた菊川怜風美人は残念ながら今日はおらず、
谷亮子風美人や林真須美風美人といった夫人ばかりであり、覚えよう
としても男の本能が覚える気を起こさないようである。

さてRはというと、ここで習ったお遊戯を家でやると見事にこなせるの
だが、みんなの前でやるとするとどうしても恥ずかしがってモジモジ
してしまう。結構シャイガールなのである。一体誰に似たんだか。

ところで今日は僕の他にひとりだけ父親がいた。先週は幼児を除くと
先生も母親も全て女性であったので、いつ

「女の中にー男がひとりー」

と歌われやしないかと尻の座り心地が悪かったので、戦地において
同士を見付けたような心強さを感じだ。

お遊戯が終わって家に帰って嫁に話した。

「今日は父親がひとりいたよ」

「あらよかったじゃない。話してみた?」

「ちょっと恥ずかしくて声掛けられなかった」

「話せよ!」

いや、こう見えても僕は結構シャイボーイなのである。

…あ、血か。

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■おむつてんてん。
2005年10月15日(土)
息子・タク(産まれたばかり)の腹からシャバダバデューと
ノートルダムの鐘のような清らかな音が響く。

それはおむつ替えを告げる音である。嫁が

「タク、お尻キレイキレイしようね」

と言うと、娘・R(2才)がすさかず

「きれいきれい!きれいきれい!」

タク用のおむつを持って来るではないか。

「へえ、Rがここまで出来るなんて」

弟が出来て急に世話焼きな一面が出て来たRを頼もしく思った。

「じゃあRもお尻きれいきれいしようか?」

と嫁がRにもおむつ替えを呼びかけてみたところ

「めー!パパー!パパー!キレイキレイ!パパー!」

どうやらどうしても僕にやってもらいようなのだ。おおそうか。
この父にやってもらいたいか。じゃあそこに寝転がっておくれ。
そしてズボンとおむつをぺろりんと剥ぐ。

「パパ。キレイキレイ〜」

大股開きで全てを父に任せる娘の姿は、こないだ読んだエロスな
漫画での中で

「あなたの舌でワタシのココを綺麗にして…」

というAVではありがちなシーンがあったことを思い出させた。

「よしよし、今キレイにしてあげるからね…」

そのエロス劇画そのままの台詞をRに吐くと

「やらしー。なんかやらしー」

嫁が僕のねっとりした声と性犯罪気味になった表情を警戒した。
すると、なんと、

「パパ、いれて!パパ、いれて!」

Rもエロス漫画のストーリーそのままの台詞を言うではないか。
さては隠れて読んだに違いない…というのは嘘で、Rは例えば
おもちゃを取ってくれ、とかお茶が飲みたい、とか「何々して
欲しい」という時には全て「いれて」と言うのである。

だからこの場合は

「おやじ、はやくお尻拭いておむつ替えてくれ」

という意味に過ぎないのだけれども、「いれて」という言葉の響きが
何ともいえない官能の悦びを僕に与えたので

「よしよし、大きくなったら入れてあげるからね」

将来に向けてのご奉仕も申し入れしてしまった。

「やらしー!やらしー!」

当然嫁が非難したのは言うまでもない。たかがおむつ替えでここまで
興奮したのも珍しい。

次の日。

「はーい、Rちゃん、今日もキレイキレイしましょうねー」

「いやー!めー!ママー!ママー!キレイキレイ!」

掌を返したように拒否されてしまった。
昨日の父はちょっと、エロ過ぎたようである。

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■姉は辛抱。弟は赤ん坊。
2005年10月14日(金)
息子・タク(生後11日)が生まれるまでは僕と嫁の愛を独り占め
していた娘・R(2才)だが、嫁はタクの世話に重点を置かざるを
得ないため、Rの黄金の一人っ子時代は終わりを告げた。

ここで僕もタクをべったり愛でてしまうとRが嫉妬したり悲しむ
ことになるので、家にいる間は出来るだけRをかまうことにして
いる…ということは一昨日の日記にも書いた。

しかし嫁が手を離せない時(うんこ中など)にタクがホゲホゲ
泣くこともあるし、そういう時は勿論Rの目の前でもタクを抱いて
あやす。Rはその様子を見て嫉妬してヘソを曲げたりすることはなく、

「だっこー。だっこー」

自分もタクを抱きたいと言ってくるのだ。Rには重たすぎるし
タクはまだ首が座ってないし、当然Rには無理なのだけれども
僕が支えてRに抱かせてやるようにする。するとRは

photo

「えへへー」

自分の弟を心底可愛いと思っているのだろう、とびきりの笑顔を
見せるのである(写真ではちょっと緊張している)そんな姿を
見て僕は

「なんて良く出来た娘なんだろう。嫁に出すのは惜しい」

親馬鹿なので通常の3倍の感動をしてしまうのである。嫁も同様に

「この子は表立って嫉妬とかの感情を出さないタイプだから平常に
 見えるけど、本当は無理してると思うのよね」

と心配していた。

「感情を内に秘めてしまうタイプだよな、Rは」

「今日もね、お風呂に入る時、Rは本当はワタシかあなたと一緒に
 入りたいんだろうけど、お母さん(嫁母が手伝いに来てくれて
 いるのである)に入れてもらったのよ。そしたら泣きそうに
 なるのを堪えて涙浮かべて入っててさあ…」

「なんて健気な子なんだ!(通常の4倍の感動)」

「タクにもね、ままごとのジュースをあげたりして可愛がってるの」

「なんていい子なんだ!(ハンカチ5枚じゃ足りない感動)」

そんな話を聞いて僕はますますRをいとおしくなり、今は寝ている
Rの唇にそっと口づけをした。

「あっ!起きてる時は拒否されるもんだから唇を盗んだわね!」

「う、うるさいっ!」

僕も感情を内に秘めるタイプなのである。言わばRの性格は僕譲り。
だから僕もRもなかなか表立って感情を表現出来ないのである。
だからRへの愛をこうした形でそっと伝えるのだ。

嫁が寝た後に、嫁にも同様に愛を伝えた。

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■息子の出生届を提出するでござる、の巻。
2005年10月13日(木)
息子・タクの出生届を出しに区役所に行った。

タクの名前を決定した嫁の手によって書かれた出生届を手にして
窓口の前に立った僕。これを出せば公私共々タクはタクとして
生きていくことになる。

考えればこれほど重要な書類は他にはないのではないだろうか。
窓口の脇にはまっさらな出生届が山ほどある。もし嫁の作成した
出生届ではなく、ここで僕が嫁の考えた「タク」の名前を却下し、
タクではない名前を書いた出生届を新たに書いてしまっても…
それはそれで通ってしまう。

もしくは「悪魔」と命名して出生届を作成しそれを窓口の区役所
員に出してみるとか。

「え…あの…本当にこの名前にするんですか?」

「ははは、こっちはネタです。本当はこちらです」

という風にウケを取ってみるとか。どちらにせよタクの今後の
名前の運命は今、この僕次第でどうにでもなるのだ…。

いや、我が子をダシに受けを狙うとは親としてアルマジロ行為。
悪魔の囁きに悩まされながらも思い直して、嫁が書いた出生届を
きちんと出しましたよ僕ぁ。

「はい。これで手続きは済みました。住民票も取れますよ。
 1通300円です」

会社に提出するためタクが載った住民票も必要なのである。

「そうですか。出生届を出したから300円は出生値引き、と
 いうわけにはいきませんかね」

「いきません」

ちぇ。これだからお役所仕事は(無茶な要求過ぎ)

家に帰ってから嫁に報告すると

「あなた。出生届をすり替えなかったでしょうね?」

真っ先に疑ってかかった。さすが我が伴侶。僕の考えること
などお見通しであった。

「いや、ちゃんと出したよ…」

「マチャ彦とかピヨ彦とか、変な名前になってないでしょうね?」

うるさい!射精届出すぞ!

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■弟が生まれた後の姉。
2005年10月12日(水)
娘・R(2才)は息子・タク(生後1週間)が生まれてからというもの
今まで以上に僕にベッタリである。

嫁がタクにかかりっきりになってしまうことが多いからであろう。
僕までタクをチヤホヤしてしまうとRが嫉妬する恐れがあるので、
家にいる間はできるだけRをかまうことにしている。

とはいえ先週末の3連休はハードだった。朝から晩までRに引っ張り
回されたのである。ちょっとでも離れると

「パパー!パパー!」

と思いっきりでかい声で呼ばれ、ちょっとトイレに…と行っただけ
でもトイレの扉をガンガン叩かれ、ちょっと疲れたから…と横に
なっただけで殴られ、ちょっとマンガでも読もうかと本を広げると
叩き落され、ちょっとだけよーんとネットを繋げようとすると服を
引っ張られ、休む暇もなかった。

Rに要求されるがままに歌ったり踊ったり絵本を読んだり絵を描いたり
高い高いをしたりおんぶしたりだっこしたりその他オモチャで遊んだり
まさに密着の3日間であった。

過去付き合ったどんな女の子よりもこれほど濃厚に接したことは
ないだろう。

「うおーん、さすがにパパは疲れたよーん」

泣き言をこぼしても

「めーよ!パパ!!こっち!オイデ!」

Rは容赦なく僕を引きずり回し、嫁は

「パパパパ言われるのも今の内だよ、あはは」

したり顔をするのみで助けてくれない。しかし嫁の言う通り
でもあるので、力の限りRとのふれあいを楽しんだ。本当に
文字通りのふれあい。もうベタベタベタベタと何かにつけて
Rが僕に体を絡ませてくる。

抱きつくわ背中にひっつくわ股間に頭をねじり込ませてくるわ…
普通の男女に置き換えてみると、これはもう最後まで行ってよい
という兆候である。僕とRの仲は最強に強まったはず。そこで

「Rちゃん、パパにちゅーしてー」

と口説きにかかったのであるが

「めーよ!」

あっさり拒絶され、顔を背けられてしまった。何ということだ。
Rは心は許しても体は許していないようだ。

「あははは、あなた、臭いのよきっと」

一部始終を見ていた嫁は冷たく言い放った。この僕から加齢臭が
出ているというのか嫁!ちょっと話聞かせろ…と嫁に詰め寄ろう
かと思ったが、「うん、本当に臭う」と言われたら立ち直れない
だろうと恐れ、それ以上込み入った話は切り出せなかった。

ズケズケと遠慮なく言う嫁であることよ。何ということだ。
嫁は体は許しても心は許していないようだ。

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■ボキャブラ地獄。
2005年10月11日(火)
嫁が息子・タクを産んだので、産後の家事と育児を泊り込みで
手伝ってくれている僕の母。

何か僕にも出来ることがあれば、と母に言うと

「じゃあオリコン買って来て。夜退屈だから」

と来たもんだ。僕の母は最新のミュージックシーンを欠かさず
チェックしている。嘘である。単に氷川きよしの記事が読みたい
だけである。母のきよし好きは筋金入りである。こないだも台風
直撃にもかかわらずコンサートのため福岡まで行っていた。

そんな母でも家の中にいる人数が増えたせいか、娘・R(2才)が
急激に言葉を覚えて来ている。母も可愛がりながら色々と言葉を
教えているので、何を教えているのだろうかと僕も耳を傾けて
みたところ、母はRに向かって

「はい、おやまゆうえんち〜」

桜金造のネタを仕込んでいるではないか。

photo

(両手の親指を鼻に突っ込み、残りの指をウネウネさせるやつ)

「母さん!どうせ教えるならもっとまともなの教えてくれよ!」

しかし時既に遅し。

「おにゃま、うーえん、ちー」

しっかり覚えてしまっていた。しかも鼻に突っ込むのは親指なのに、

photo

仕草を絶望的に間違えてしまっている。母は何を考えているのか。

「3才の頃からフルートを習っておりました」

という経歴ならいかにも良家の令嬢っぽくて男心をそそり立たせる
ものがあるが、

「2才の頃から桜金造を叩き込まれました」

というのはどんな家だよおい。R、嫁に行けなくなったらばあちゃん
のせいだからな。よく覚えておけよ。

母は懲りずに尚もRにどうでもいいことを教え込ませようとしていた。
件の僕が買って来たオリコンを広げながら

「Rちゃん、コレ見て〜」

とRを手招きし、

「これは氷川きよし君。きよし君よ。さあ言ってみて〜」

ろくなことを教えない。頼むからもっとマシなことを教えてくれ…。

翌朝、母は寝起きざま

「あれ?お母さんのメガネ知らない?メガネメガネ…」

氷川きよしフリークは、朝はやすしきよしになるようである。
(ネタが分からない人はご両親に聞こう)

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■千七夜物語。
2005年10月10日(月)
【私信】

メールを頂いた藤原様。返信したら戻ってきてしまいましたので
もう一度メールアドレスをお知らせください。

【私信オワリ】

嫁の父母がやって来た。息子・タクの「お七夜」をするためである。

お七夜とは子供が産まれて1週間前後にするお祝いで、奉書紙に
「命名:○○」と書いて神棚に貼り、あとは…えーと、飲んだり
食ったりする。早速「命名:タク」と書いたところ嫁父が

「うーむ。名前はいいが、字がいかんなあ。○○じゃなくて××と
 したらどうか」

いきなり今回のお七夜の段取り、及び嫁の命名を根底から覆す発言。

「いや、その字だと難しいし、僕も書けないし」

酒飲ませてうやむやにしてしまおうと、とりあえずビールを注いだ。

「じゃあビデオカメラで撮影するよー」

僕がカメラを握って撮ろうとしたのだが、デジカメはしょっちゅう
使っているのにビデオは数えるほどしか回したことがなく

「えーと、スタートボタンは…」

と迷っていたら

「もういい!」

嫁にひったくられ、

「はーい。今日はタクちゃんのお七夜ですよー」

嫁のナレーションと共に撮影開始。

「いえーい」

一同、思い思いのポーズを取る。

「…」

「…」

「…」

「ちょっと。ビデオだから固まらなくていいのよ」

「あ、そうか」

揃いも揃って間抜けな一族達の個々の血が漏れなく流れている
タクと娘・R(2才)が不憫でならない。

嫁父はあまり酒が強くはないので次第にほぐれてきて、更にタクを
抱いてご満悦。いい感じになって来たところでRがトドメとばかりに

「じーちゃん、じーちゃん」

初めて「爺ちゃん」と呼んでみせたところ、

「ほおおおお!」

嫁父はおしっこを漏らした幼稚園児のように体をプルプルと震わせ、
真っ赤な顔でエクスタシーに浸っていた。ナイス急所攻撃。いいぞR。
クリティカルヒットで嫁父はもうダメだ。

こうしてタクのお七夜は終わった。あとのお楽しみとして、
出産後の嫁とのお初夜を今か今かと待つばかりである。

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■第三の子供。
2005年10月09日(日)
息子タクの出産は嫁にとって会心の出来だったようだ。

娘・R(2才)の時も嫁なりに出産の知識を得、万全の体勢で
臨んだつもりであったが、七転八倒の失態を晒し、助産婦に
怒られ最後は吸引までされて産んだ結果となったことに比べ、
今回は僕から見てもまさに会心の一撃。会陰の一撃ではない。

入院から2時間程度で産み、2泊3日で退院するという「お前は犬か」
と言いたくなるぐらいのちょっ速出産を成し遂げた嫁は、その
結果に大変満足し

「ああ、あとひとり産みたいわあ」

悦に浸ながらとんでもないことを言った。

「3人の子供なんて大変だよ!僕はもう一姫二太郎で充分…」

僕は悲鳴をあげた。考えただけで体力と懐具合がと親の脛が
すり切れる思いだ。

「だって…あの産んだ時の感動をもう一度味わいたいの」

「感動は一瞬だけど、産んだ後の責任は一生だよ」

当たり前である。扶養家族を抱える世帯主の立場から言わせて
もらえば、射精一秒扶養一生である。

「えー。でも欲しいわあ。男でも女でもどっちでもいいから」

そんなおねだりされても…。僕の子種は吐いて捨てるほど、
しごいて出して捨てるほど、あふれ出す煮汁の如く豊潤だが。

ぽっぽっぽー。ちんぽっぽー。
たーねが欲しいかそらやるぞー。
みんなで仲良く孕むがいい!

というわけにはいかないのである(みんなって誰だよ)

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■メッセージお礼/至急黄疸化現象。
2005年10月08日(土)
このたびは息子が産まれてのお祝いメッセージを沢山頂きまして
ありがとうございます。まだまだ全ての方にお返事できてないの
ですが、まずこの場でお礼をさせて頂きます。

あいちゃん…TIME LIMITE
赤井ファンさん
朝日さん…Spiritual-スピリチュアル-出会い結婚相談所
あちゅさん…地球を歩く。
あまみさん
ありーささん…にゅるぶ
RH
あるま。さん
犬神さん…救えない神様
いろはさん
うすたん…まむ。
宇多田 理恵さん…陶芸教室&ギャラリーおいしい器
江草 乗さん…江草 乗の言いたい放題
mさん
えりこさん
大野さん
おすかるさん…夕食ばんざい。
鬼ばば母ちゃん…4人の子供と鬼ばば母ちゃん
鬼嫁さん
obasanjoさん
かえでさん…ワタシニッキ※メールが戻ってしまいますのでアドレス教えて下さい※
かおり+さん…kor+
かめのさん…KAMENON45
かめをさん…桃戯右士.com
かよよんさん
臥龍さん
かをさん…その日暮らし?
かんちゃん
きゃり〜さん…carry's world
きょうこさん…p-diary
倉野さん
クリスティーヌ剛田さん…** はは侍 **
KFさん…KFの暇つぶし
小泉純一郎さん
コタクリさん…コタクリ
ゴローさん
sainoさん…お気楽猫の戯言
Sasaさん
さふぁい☆あさん
さやかさん
しい子さん…十人十色しい子色
しゅいさん
しろうささん…Rabbit Garden
素光さん…憂鬱な昨日に猫キック 不安な明日に猫パンチ
高沢 浩里さん…むすこみっく
タカシ君
橘七花さん…*SEVEN FLOWERS*
たもつさん…人生の音色
ちあきちゃん
ちかさん…simple * photo
ちひろさん
チヨさん…おきらく極楽主婦の育児絵日記
Dさん
テトさん…テトの恋愛日記
でーるさん…たった一人で。。。
ときすけさん…tokisukeの日記
naga.さん
ななこ…ななこ☆日記
猫スキーさん
羽奈ちゃん…夜空の翼
はなぽさん…エキセントリックなお方。
バニラさん
HARUKIさん…HARUKI's web site
びたさん
ぴっきーさん…ぴっきー×ぴっきー
ぴょんさん…ぽかぽかの絵日記
ふうさん…しびれくらげ
firebugさん
藤原さん
ふとりさん…こかげでひるね
ぺどよめたかこさん…ペドロの日記
ぽろんさん…降る日晴れる日
マッスル++さん…〜 ダイエット日記(マジ) 〜
まいさん…couchers de soleil
まっつーさん
manet@dreamcityちゃん
まの…ぴーかんTIME
まりえ。さん…くびれ維持願望
ミキさん…私らしく
めぐっぴ。さん
妄想アウトローさん
望月君…Wonderful World
桃香さん…ももいろきろく
もりたまさん
もんぺちゃん
Yasさん…Simple-憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向日記-
やっしさん
ゆかさん…monchi
ユキちゃん
ゆきやなちゃん…白いシーツと赤い包帯。
ゆちこさん…Jack In the Box
ようこさん…ようこりんご
ヨシミさん…バーチャルネットストーカー・ヨシミ22歳
よしみさん…キミノテノヌクモリ
yossyさん…hakomeshi
りこ…りこの出来事。
ルチアーノ・パヴァロッティさん

以下日記↓


仕事中、携帯に嫁から驚くべき画像メールが送られて来た。

緑色に光るベッドに横たわる息子・タク(生後5日)の姿が
そこにあった。まるで宇宙人によってUFOの中に攫われたかの
ようではないか。体の中に変な物体を埋め込むインプラントを
されてしまったりして。そしてそのせいで将来インポテンツに
なりお家断絶。そして追い討ちとばかりに矢追純一が取材に
来たりして…何故うちの息子がそんな目に!とオカルティックな
方面に混乱したが、メールをよく読むと違っていた。

タクは黄疸になってしまったのである。助産師が家に診察に
やって来て、数値が少し高めなので光線療法を採ることになり、
この特殊なベッドを置いて行ったのであった。

新生児の黄疸はよくあることで、1週間ほどで治ることが多い。
長女・R(2才)もそうだった。だからそれほど心配すること
でもないと思う。いや正直言って心配だけれども、こういう時は
努めて明るく振舞うのである。何かあればすぐ助産師も来てくれる
から、だ、だいじょうぶだよ…。嫁のメールは

「タクが黄疸になっちゃった…でもこのベッド、ちょっと
 カッコいいかも?」

などと心配してるんだか浮かれてるんだか理解に苦しむ文面で
あった。

家に帰ってみるとなるほど、タクは蛍が沢山集まったような緑色の
ぼうっとした光に包まれて寝ていた。顔や目がやや黄色い。

「嫁、大丈夫なのか?」

「うーん。若干ビリルビン値が高いから…ってことらしいんだけど。
 でもおっぱいも沢山飲んでるし」

「確かにサイバーな感じでカッコいいな、コレ」

「でしょう?」

新生児の黄疸には陽の光を当てると良いという。

「ということは、これって日焼けサロンといっしょ?」

「そうかもねアハハ」

「アハハハ」

タクが黄疸で苦しんでいるかもしれないのに呑気な僕ら。そんな親は

言語黄疸、と怒られたりして。

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■嫁の退院とツンデレ娘。
2005年10月07日(金)
嫁が息子・タクを産んで3日目にしてとっとと退院してきた。
勿論一緒に泊り込んでいた娘・R(2才)もである。

しかし家に帰ってからのRは冷たかった。

「R〜お父さんだよ〜」

と抱こうとしても遊んでやろうとしても

「め!めーよ!」

ものすごい拒絶反応をして取り合ってくれない。

「きっと昨日お見舞いに来てくれなかったいじけてるのよ」

嫁が苦笑いしながら言う。そうなのである。昨日は嫁から

「Rが『パパどこかなー。パパまだかなー』ってずーっと
 言ってるよ」

というメールを貰い、思わず泣き出してしまいそうになったが、
仕事が終わらず病室に行けなかったのである。

しかし僕が色々Rにちょっかいを出している内に、Rはしかめっ面を
しながらも徐々に僕との間合いを詰めて来て、僕の横にちょこんと
座り、隣の床をポンポンと叩いた。僕にそこに座れ、ということ
らしい。

しばしRと足が触れ合うくらいピッタリ寄り添って座っていた。

「R、ごめんね。絵本読んでやろうか。ボールで遊ぼうか」

「えへへー」

うーん。なんという典型的なツンデレ娘であることよ。ツンデレとは、
普段はツンツンしているけれども2人きりになるとデレデレと甘えて
くるという女の子の状態を指すアキバ系用語である。

「ほぎゃー。ほぎゃー」

タクが泣き始めたので、生まれたての泣き声と泣き顔をビデオに撮って
おこうと思い、カメラを回し始めたのだが

「めーよ!パパ!めーよ!あっくん@*\@@#$%&!」

Rがタクの泣き声をかき消すぐらいの大声でめちゃくちゃ騒ぎ出し、
撮影を妨害してしまった!

「ダメよ。Rはパパと一緒にいたいのよ。女心が分からないパパで
 ごめんね、R」

と嫁に怒られてしまった。あーすまん。僕ももう少しツンデレ娘の
取り扱いを心得ていればもっとモテていたものを。

子供2人作ったから別にモテなくてもいいか。

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■嫁が息子の名前をつけた。
2005年10月06日(木)
「さて、名前をどうするかだけど…」

3日に生まれた息子のことである。娘・R(2才)の名前は僕が
とっとと決めてしまったので今回は嫁に命名権がある。そろそろ
決め時ではないかと思い、嫁がどんな名前を出してくるかとても
怖いものがあったが聞いてみたのであった。すると

「実はこんな感じで考えてるんだけどね…」

嫁はメモ書きを差し出した。そこにはいくつかの候補名と画数が
書かれていた。遂に来た。ドキドキしながらしばし熟読してみる。

…。
…。

よかった。特に奇抜な名前はない。飛偉楼(ひいろう)とか光宙
(ぴかちゅう)とか楽瑠琥(らるく)とか詩慧瑠(しえる)とか
間池留(マイケル)とかピヨ彦とかジュン市とか変な名前がなくて
本当に良かった。最近は「絶対読めないような名前にしてやる」と
いう意図があるとしか思えない馬鹿な名前が多いが、嫁が考えた
名前はわりとまともであった。

しかし嫁の最有力候補は僕が大方予想したとおり、某ジャニーズ系で
「ぶっちゃけ」とかよく言う人の名前であった。嫁が大好きなのだ。

しかししかしこの人にあやかって命名するというのは、旬を過ぎた
今更感が大いにある。今時「チョベリグー」とか言っているに等しい。

「嫁〜。やっぱりこの名前にするのか?」

「この名前にするとニックネームは『たっくん』になるでしょう?
 もうRは何故かこの子のこと『あっくん』って読んでるのよ」

本当なのだろうか。「たっくん」とは言えずに舌足らずに「あっくん」
よし、Rに聞いてみよう。

「R、この子はだあれ?」

息子を指して聞いてみると

「あっくん!」

ちゃんと答えたではないか。おのれ嫁、さては仕込んだのではある
まいか…と勘ぐったりもしたが、この子の命名については僕は何の
口出しも出来ないので、これも息子の運命だと思い、嫁の希望通りの
名でOKすることにした。

「君はたっくんだってさ」

息子に改めて呼びかけてみた。ジャニーズ系な名前を付けたからと
いって、顔もそうなることは遺伝子レベルから有り得ない話だが、
少しでもあやかってくれるかしら。

でも息子のしわしわ顔を見ると、キムタクというよりも魚拓の方が
近いのであった。

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■産まれて2日目。息子の息子と対面。
2005年10月05日(水)
息子(名前はまだない)が産まれた翌日、会社を少し早くあがって
助産院に入院している嫁を見舞った。

一緒に泊り込んでいる娘・R(2才)は、僕と一緒に出産に立ち会い
興奮したせいか明け方まで起きていたため、ぐっすり眠っていた。

そして産まれたばかりの息子も嫁の隣で寝ていた。ちょっと触れて
みると、細い目を開けてフニャフニャと泣く。折りしも若い女性
助産師が「失礼します」とおむつを替えに来てくれた。

「あのう…Rは女の子だから男の子のおむつ換えはやったこと
 ないんで 教えてもらいたいんですけど…」

「じゃあ僕も」

という訳で助産師におむつ換えをレクチャーしてもらう。Rの時と
違うのは、勿論男が男である証明をするモノの扱いである。僕も
息子の息子をまじまじと見るのはこれが初めてであった。

「…小さい」

産まれた直後に助産師は「立派なものがついてますよ」と言って
いたが、赤ちゃんのソレなんてこんなものだろう。

「普通もっと長くない?」

ところが嫁はストレートに言ってしまった。

「いやこんなもんでしょ」

「いえ小さいよ。大丈夫かしら」

いかにも知ったような口を聞いてなかなか納得しない。お前は過去
どんだけの男棒を扱って来たのかと。助産師は困ったような顔をして

「うーん、でも、成長すれば伸びる子もいますから!」

取って付けたようなフォローをした。フォローの裏側にはやはり
「小さい」という事実がある訳で、それは僕の遺伝子のせいであり

「息子よ、ごめん」

とりあえず謝っておいた。

「あら、どういう意味かあえて突っ込まないで起きましょうオホホ」

助産師が僕をからかった。うるさい。突っ込んだろか。

そのうちRがムックリと起き出してキャアキャアと暴れ始めた。昨晩は
出産を目の当たりにして多少ショックと緊張を感じたようだが、もう
いつもどおりである。時々息子の頭を撫でたりしてよいお姉ちゃんに
なりそうな気配。夕飯の後、

「ココ、お風呂を使わせてもらえないからRと銭湯に行ってくれない?」

と嫁が頼むので、先程の助産師に銭湯の場所を教えてもらい、Rと手を
繋いで出発。途中、後ろから歩いてきたおばさんに

「(Rの)チョコチョコ歩いてる後姿が可愛くてねえ」

追い抜かれざまに声を掛けられてる。しかし肝心の銭湯が見つからない。
30分程迷い歩き、そのうちRも疲れて「だっこ…」と言う始末。諦めて
助産院に戻った。道を教えてくれた助産師が迎えてくれたが

「見つかりませんでしたか?おかしいですねえ…あ、すみません!
 逆方向の道を教えてしまいました!キャー」

…ホントに突っ込んだろか。

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■息子誕生記。
2005年10月04日(火)
出産予定日に遅れること2日、ようやく「おしるし」(出血)が
現われて助産院に行くことになった。それが午前0時過ぎ。

眠っている娘・R(2才)を抱き上げると目を覚ました。まだ眠い
はずなのに車に乗せても愚図らず、窓からすれ違う車のライトを
静かに眺めていた。Rなりに何かを察しているのだろうか。

「R、もうすぐトロちゃん(胎児の仮名)が産まれて来るんだよ」

「ぶうぶ(車)、いっぱい!」

やっぱり察していなかった。R、なんて子!

助産院の診察室で横たわった嫁は徐々に陣痛の間隔が短くなり、
唸り声を上げるようになった。男親の無力さを感じさせられる
ひとときである。出産においてはガーゼ1枚の方が役に立つ。
出来ることといえば気力を出して貰うよう励ますしかない。

「嫁、気力出せ。調べたんだけど10月3日の有名人は…えーと、
 大助花子の宮川大助だよ」

「気力出ねー!」

励まし失敗。それどころか助産師達がオオウケしてしまったり
「え、誰?」「夫婦漫才の…」「ああ、あのウマ面の…」等と
混乱してしまったりし、出産作業をも妨げてしまった。

意外だったのがRである。マイペースなので途中で寝るとばかり
思っていたのに、起きたまま僕とじっと出産のさまを見ていた。
ほとんど喋らず僕と一緒に嫁の手を握る。母を心配して真剣に
なっているのだろう。

「ああああああ!」

嫁が一際大きな声を上げた。出産は動物の本能の行為であるから
獣にならなければ産めない、というのをどこかで読んだ。まさに
1キロ四方の全ての生き物を金縛りにさせるぐらいの獣の咆哮。

「うわあああん!だっこ!だっこ!」

とうとうRが耐えかねて泣き、僕に抱きついた。

「大丈夫だよ。ママは頑張っているんだ。トロちゃんと一緒に」

しかし嫁はあまり取り乱すことはなく、助産院院長以下の助産師
達の指示に従い、呼吸する時ときばる時のメリハリがあった。Rの
時はそりゃもう乱れて暴れて、恐ろしい助産師(通称ボブ産婦)に
怒られまくっていたのだが…

「ふやああん、ふやあん」

嫁の体の下から、確かに声がした。

「産まれました!」

「やった…」

「よくやった!R、産まれたぞ!」

「2時45分です!」

皆の声が交錯して、我が子が誕生した。ずっとうつむいていた
嫁が顔を上げた。

「本当によくやったよお前」

嫁は言葉にならぬ笑みを浮かべた。

「模範的なお産でしたよ」

院長も褒めてくれた。これで嫁のボブ産婦への屈辱も晴れた
であろう。僕は白い布にくるまれて泣く我が子を覗く。

「ようこそ。僕がパピーだよーん」

小さくて猿そっくりの愛らしい我が子を抱きしめたかったが、
それはまだ許可が出ないので後のお楽しみである。

「あ、先生、ところで男ですか?女ですか?」

最後の最後まで判明しなかったこの子。院長はにっと笑った。

「そういえば立派なものが付いていたような…見ます?」

「男ですかそうですか!立派ですか!僕に似たんですよ!」

最後の余計なひとことは全ての人に黙殺された。

「R、トロちゃん産まれたよ。弟だよ。分かるかなあ?」

誕生の瞬間まで緊張で固まったまま起きていたRは、ようやく
ニッコリ笑った。トロ…いや、これは胎児名だからその名で
もう呼べない。Rは僕が名付けたので、この子の名は嫁がこれ
から決めるのだ。

「さて、旦那さん」

出産後の処置をこなしていた院長が不意に僕を呼んだ。

「へその緒を切ってもらいましょう」

「えええ!そんなこと僕がするんですか!いや、ちょっと
 びびってますんで、お任せします…」

僕にはとても重要なことに思えるのに、まるでテープカットを
するような軽いノリで言われてしまったので、反射的に腰が
引けてしまった。今思い返すとやっておけば良かったような。

ひとまず嫁がこの子の名前をつけるまで、僕は密かに息子を
ヘソノヲノミコトと呼ぶことにしよう。

photo

もう仲良し。

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■マジで産まれる?時間前。(追記:産まれました)
2005年10月03日(月)
夜中。寝ていた嫁がむっくり起き出してトイレに入った。
ザザザーと水の流れる音がして、便所の扉がギイイ…。

「母ちゃん、紙」

…ではなくて

「おしるしが出た」

とのことでいよいよ第2子・トロ(仮名)が産まれることに
なりそうである。これから病院に行って、嫁の踏ん張りを
見届ける所存である。

あああ。何書いていいか分からないので現場より中継を
終えさせていただきます。

追記:

2:45に息子が誕生しました。母子共元気です。

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■出産予定日ダイジェスト。
2005年10月02日(日)
我が第2子(胎児名:トロ)の出産予定日であったが、トロの
踏ん切りがなかなか付かないようで未だ嫁のお腹の中にいる。

タイミングの悪いことに僕は仕事が入ってしまったが、嫁は
助産師に診てもらいに行っていた。

「一応現状を伝えておくね」

夜、家に帰って来てから嫁が診断結果を教えてくれた。

「子宮口が4センチ開いてて、遅くても後2〜3日には産まれる
 でしょうって。ひょっとしたら今晩かもしれないよ」

「いよいよだな〜」

「先生が言うには、『今晩は旦那さんと仲良く過ごして、明朝
 おいで、だって」

「『仲良く』っていうのは当然アレだよね…」

「そう、アレ」

何ヶ月か前「妊娠中でもどんどんセックスしてください」と
真顔で言っていた先生のことであるから、出産直前の最後の
まぐわいを楽しみなさい、と言っているのである。

しかしいくらテポドン並みの節操のないミサイルを持つ僕で
あっても、出産直前の今はさすがに躊躇する。どうせ産道が
開いていてガバガバ…もとい、水風船に針を刺すような恐ろ
しさがあり、とてもまぐわえない。

しかも出産後1ヶ月はまぐわってはいけないので、今やらない
ことはそのまま1ヶ月間我慢汁地獄に突入することを意味する。
しかしそれが分かっていても怖くて出来ない。

平常心平常心。怖れを押さえるため、話題を変えた。

「トロの様子はどうかな?」

「しきりに動いてるよ。あと、お腹がやたらと張るわあ」

嫁の腹に手を当ててみると、トロが大きな動きをしていた。
いよいよ出てくる体勢を整えているように思えた。

「そろそろなんだなあ。ああ、何だか不安になって来た」

「あなたが不安にならないでよ!産むのは私なのよ!」

確かに産むのは嫁だが、僕が不安なのは産んだ後のことである。
この僕に嫁と長女R、そしてトロの4人家族を養っていけるか?
このことである。将来への不安を感じて仕方がないのである。

いかん。嫁を不安がらせてはいけない。夫である僕は悠然と構え、
ひとまず産まれるまで嫁の心の拠り所となっていなければ…。

平常心平常心。嫁には余裕があるところを見せなければなるまい。
冷静沈着な態を装い、嫁の色素沈着の乳首をつまんで語り掛けた。

「嫁。あのさあ」

「何よ」

「…やっとく?」

「やだ」

嫁は寝てしまった。ちぇ。ひとり残された僕はもう一度

「平常心平常心…」

と心の中で繰り返し唱えてみた。少し落ち着いて来た。すると勝手
なもので、いつの間にか唱えてる言葉が

「正常位正常位…」

になってしまったので今では後悔している。

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■出産予定日到来!産ま産まイエイ!
2005年10月01日(土)
嫁の第2子(胎児名:トロ)の出産予定日は10月1日である。
すなわち今日でありトゥデイ。

しかし嫁は出産なのに僕は決算で、仕事の忙しさのピークが
思い切りやって来てしまい、夜中

「ああ〜。予定日になってしまったあああ」

日付が変わるまで会社に居残っている有様である。

午前様になってようやく家に帰って来ると、真っ暗な家の中で
トイレの中から明かりがこぼれていた。嫁が入っている模様。
すわ、もしや産気付いたのではと色めき立ったが

「最近この時間必ず目が覚めてトイレ行くんだよね」

単なる定期的放尿であったようだ。

「どうよ。兆候はあるか?」

「至って平穏」

「トロちゃん、いつ産まれてくるのかな〜?」

嫁の腹に手を当てて様子を探ってみる。固い。眠っているようだ。

「明日かな?あさってかな?」

ゆるりとした胎動を感じたがいまいちハッキリとした反応がない。

「まだねんねしていたいのかな〜?」

正直少なくともこの先2週間ぐらい死ぬほど忙しいけれども、出来る
限り出産に立ち会いたい。修羅場の真っ最中に産気付いた連絡を
受けるかもしれない。しかしそれはその時になってみないと
分からないので、なるようになると考えるしかない。

まさに子宮から出たとこ勝負。いや、出るとこ勝負と言うべきか。

先を思うと不安になるから、今日のところは寝るしかないね…と
飯をかっ込んでとっとと眠りに付いた。

我が子は我が家の宝である。

すなわち、家宝は寝て待て、ということで。

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