時給100円アップ

「時給100円上げるって言ったら残る?」と、もうじき辞めますパチンコ屋に転職します宣言をしていたあたしに店長が言った。ボス(地区の責任者/エリアマネージャー)があたしをひどく気に入り、時給上げて交渉しろと言ったらしい。


何でこんな事になったのかというと、つい最近ベテラン勢が一気に辞めていき、苦し紛れに雇った新人ばかりになってしまったのだが、夜番の社員がやる気の無い働かない使えない放任主義の社員で(肝心の店長は朝番ばっかり)、何も指示しないから新人は全く育たず、殆どあたし一人で新人の教育から仕事までしなくてはならず、しかし一人で何人も同時に見ていられるわけがなく、接客もひっきりなしにしなくちゃいけないし、結局なかなか教えられず、新人が使えないせいで仕事が終わらず無駄な残業が続き、苛々する毎日だった。そこで、一人一人教えるのは無理だからと、取りあえず仕事を早く片付け早く帰れるようにする事だけに重点を置き、手書きでマニュアルを作成し、皆に読ませるようにした。そのマニュアルを店長が、ボスが店に来た時に「そういえばバイトがこんなの作ったんですよ」と軽い気持ちで見せた所、異常なくらいくいついてきたらしく、全ページコピーをとらされ、ボスはそのコピーを、課長、次長、そして自分の統括エリア内の全店舗に配り散らしたらしい。まさかそんな大事になっているとは知らず、次の出勤時にいきなりその話を店長からされ驚き、更にボスから直々に電話でべた褒めされて気持ち悪いわと、そんな事があったわけだ…。


勤務期間9ヵ月(一度辞める前を足してもおよそ一年)なのに時給100円アップはあの会社的には、スゴイ。一年以上勤めても20円くらいしか上げてもらえない会社だ。それ以上はなかなか上がらないらしい。100円上がると、責任も普通のアルバイトより重くなるらしい。役職名『シフトリーダー』になるそうだ。朝番に確かその『シフトリーダー』というのがいるが、しっかりした人で、仕事もできるし統率力もかなりのもの。仕事も何でも任されているように見える。あんなデキル人と同じ給料もらうのはなんて恐れ多い事か…。ボスはあたしを過大評価しすぎだと痛切に感じる。

けど100円アップしても850円…。月1万くらいしかかわらない。パチンコ屋の方が断然稼げるのが悲しい。かなり奮発したのはよくわかるけど。パチンコ屋一本にするか、今のバイトと他にもう一つかけ持ちするか、…どうしようか考え中。もうじき免許取るから車を買おうと思って…生活も苦しいし。実家には…まだ帰らないと思う。
2004年05月19日(水)

モザ無し

バイト中、「借りたAVでパッケージに『丸見え、モザイク無し』と書いてあったのにモザイクが入っていたんですが」というクレームの電話を受け付けた。んなまさか?!と驚きながら、「えーと…モザイク無し…。うーーーん…そうですねえ…、レンタルビデオでモザイクのない物は無いはずなんですが…」と苦悩しつつ返答した。御不満であれば返金・交換致しますがと次に言うつもりだったが、相手が「そうですか」とあっさり折れてしまったので言うタイミングを逃した。相手はあたしの返答を待たず話を変え、今度は「あのー、フェ●チオしてくれるビデオってありますか?」と聞いてきた。あたしは答える。「フェ●チオですか?あー、確か『フェ●チオコレクション』とかいうのがあったかと思いますが。」相手は言う。「聞けば教えてもらえますか?」「そうですね、詳しい者がいればすぐにご案内いたしますが。」とあたし。

そこまでは何の疑いもなく真面目にに対応していたのだが…今振り返ればなぜ気付かなかったのだろうか。

相手は急に、「フェ●チオしてほしいんですけど」と言い出した。最初は早口でわかりづらく、思わず「は?」と聞き返してしまった。もう一度今度はわかるように、「フェ●チオしてほしいんですけど、してくれませんか?」「……………私がですか?!」しまった冷やかしか!とやっとで気付いた。が予想外の展開に頭は混乱。取り乱してはいけないとやっとの思いで搾り出した返答が、「んーーー、業務に関係ないのでちょっとできないですねぇー。」あくまで冷静。けどもう内心冷や冷や。心臓バクバク。「フェ●チオしてほしいんですけど、ダメですか?」「フェ●チオしてくれないんですか?」と相手。「んーええ、業務に関係ないのでできないですねえー、はいー。」もうそれ以外思い付かない。「そうですか」とやっとで開放され、どっと疲れを覚えた。手元のメモに目をやると『丸見えモザイク無し』『フェ●チオ』とキーワードがきちんと書いてあり、何でこんな言葉書いてんだ…と悲しくなった。

その日の帰り(深夜3時)、店を出たらあるはずのマイ自転車が無かった。パクられたかなと半ば諦めながら店周辺を仕事仲間と一回りすると、別ルートを探してた人達が見つけてくれたのはいいが、あったのは胸の高さまであるサクの向こうのかなり低い位置にある田んぼに不自然に落ちている自転車。数台あるのにあたしのだけ…。その日は他全員男だったから降りて引き上げてくれた。

心辺りはないこともない。ちょうど前日のバイト帰りにバイパスの向こう側の歩道から狂ったように「おねーさん、おねーさん!」と何回も叫んでいた男がいた。頭がおかしいんじゃないかと無視して帰った。それに道を聞いてきた男もいた。最後結局ナンパになり、今から何か奢らせて→疲れてるから帰りたい、番号教えて→携帯忘れたからわからない、それでそいつの番号を紙に書いて渡されたはいいが、電話しなかった。この土地には知り合いも少なくあまり深く関わってもいないし、ナンパ無視したり断りきれなくて教えたけど電話出ない事以外、怨まれる覚えがない。サクより上に持ち上げるのに力いるから女とは考えにくい。自転車はオレンジ色で目立つっちゃあ目立つが、よく見かけるし悪戯したくなるほど珍しくはないただのママチャリ。お手頃な中国製。
2004年05月05日(水)

にきにっき / にきーた