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2012年05月25日(金) 相変わらず本田中心の日本代表

5月23日、国際親善試合、日本vsアゼルバイジャンは、ホームの日本が2−0でまずは順当勝ち。試合内容としては、スコア以上に日本の一方的展開に終始。6月3日、日本ホームで行われるブラジルW杯アジア最終予選・オマーン戦に向けた予行演習として、まずは申し分のない結果を得たように見える。

筆者は、対戦相手のアゼルバイジャンのサッカー事情については全く知らない。ただ、2010年の夏、コーカサス地方に観光旅行に行った際に、首都バクーに1日だか滞在したことがあるので、この響きの良い国名=ア・ゼ・ル・バイ・ジャンを聞くたびに、懐かしい思いがした。

アゼルバイジャンは旧ソ連に属した小国で、ソ連崩壊後の1991年に独立。石油資源に恵まれた豊かな国である。トルコ系民族(イスラム教徒)が大勢を占めるが、旧ソ連に属していたこともあり、スラブ系民族も少数いる。また、かつてオスマントルコ帝国が隣国アルメニア人(キリスト教徒)を大量虐殺したという因縁から、いまなおアルメニアとは戦争状態に近い。

サッカーの世界では、ソ連から独立後、欧州サッカー連盟(Union of European Football Associations)に属し、もちろん、欧州選手権、W杯予選では強豪ぞろいの欧州勢と対戦していることもあり、どちらにも本大会出場の経験はない。

アゼルバイジャンのサッカースタイルについて勝手な想像をすれば、中東(アラブ系)というよりは、トルコ、中央アジア(ウズベキスタン、タジキスタン等)のスタイルに近いのではないか。筆者が対戦前に期待したのは、アゼルバイジャンにしてみればアウエーであるから、下がって守備を固めてカウンターという戦法を否定しようもないが、一対一を重視し、パワーを生かしてくる「激しいサッカー」だった。しかし、残念ながら、筆者が期待したアゼルバイジャンの「良さ」はまったく出てこなかった。親善試合、長旅の疲れもあるだろうし、とにかく彼らは無難な守備的サッカーをして無難な点差で負けた。

そんなわけで、日本はレギュラーでないCB2選手(伊野波・栗原)のミスもなく、日本の心臓・遠藤不在も傷にはならず、普段見られない海外組が顔をそろえ、なかで期待度ナンバーワンの香川が得点をあげ、プレミアで活躍した宮市亮の高速ドリブルを見せ…また、国内組では若き新戦力である右SB酒井宏樹も絶妙の上りとセンタリングを放ち…と、見せ場満載の試合内容となり、代表サポーターを喜ばせた。とりわけ、日本のエース本田が怪我から復帰したことは、代表サポーターをなによりも安心させたように思う。

だが、親善試合、モチベーションの全くないアゼルバイジャンに快勝して、「華」のある海外組を見て喜んでばかりはいられない。W杯予選は真剣勝負、勝ち点1、3を争う厳しい試合ばかりである。

アゼルバイジャン戦を受けて24日、W杯予選に向けての日本代表メンバー25名が発表された。

GK
  川島 永嗣  リールス(ベルギー)
  西川 周作  サンフレッチェ広島
  権田 修一  FC東京

DF
  駒野 友一  ジュビロ磐田
  今野 泰幸  ガンバ大阪
  栗原 勇蔵  横浜F・マリノス
  伊野波雅彦  ヴィッセル神戸
  長友 佑都  インテル(イタリア)
  槙野 智章  浦和レッズ
  内田 篤人  シャルケ04(ドイツ)
  吉田 麻也  VVV(オランダ)
  酒井 宏樹  柏レイソル

MF
  遠藤 保仁  ガンバ大阪
  中村 憲剛  川崎フロンターレ
  長谷部 誠  ボルフスブルク(ドイツ)
  細貝  萌  アウクスブルク(ドイツ)
  本田 圭佑  CSKAモスクワ(ロシア)
  高橋 秀人  FC東京

FW
  前田 遼一  ジュビロ磐田
  岡崎 慎司  シュツットガルト(ドイツ)
  ハーフナー  マイク フィテッセ(オランダ)
  森本 貴幸  ノバラ(イタリア)
  香川 真司  ドルトムント(ドイツ)
  清武 弘嗣  セレッソ大阪
  宮市  亮  ボルトン(イングランド)

25名中、海外組が12名とほぼ半数。GKを除くフィールドプレイヤーについては、現在Jリーグで上位を占める仙台、広島、清水からの選出はない。首位仙台の主力、FW赤嶺真吾、MF関口訓充(故障中)、2位広島のFW佐藤寿人ら、Jリーグで活躍している選手数人は、アゼルバイジャン戦にも召集されなかった。

たとえば、FW森本が悪い選手だとは思わないが、相手の裏をとることができる佐藤やゴール前で勝負強い赤嶺が森本よりも劣っているとは思えない。むしろ、スタミナ、運動量、粘り強い前線からの守備の面では、最終予選というぎりぎりの勝負では有効性があるように思える。いずれにしても、ザッケローニジャパンは、前線でキープ力のある本田が生命線のチーム。なんだかんだで、南アフリカ大会の岡田ジャパンと大差ない。本田がコケレば、ザックジャパンもコケるということか。


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