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2012年01月03日(火) 天皇杯再考

元旦の天皇杯決勝(国立)は史上初のJ2同士の対戦となったが、J1昇格を決めているFC東京が、4−2で京都に勝ち、初優勝を飾った。

スポーツでは、強いほうが勝つのではなく勝ったほうが強いのだと言われる。この試合のFC東京はまさにそのとおり、京都を格において上回っているように見えた。

FC東京さん、昇格・天皇杯優勝、おめでとうございます。

2011年シーズンではJ1に昇格した柏が優勝してしまうというサプライズが話題になったが、天皇杯でもJ2クラブの活躍が目を引いた。いい意味でも悪い意味でも、J2が注目されるシーズンだった。

さて、FC東京の優勝を貶めるつもりはまったくないのだが、天皇杯のあり方については議論が絶えない。元旦、天皇杯決勝というのは、風物詩のような意味において、長らく人々に親しまれてきた。正月休み、ゆっくり自宅でくつろぎながら決勝を見るという「鑑賞」の仕方が、日本人にフィットしているのだろう。だが、プロサッカーの発展という視点では、天皇杯はいろいろな問題を抱えた大会でもある。

問題の本質として、プロスポーツにおいて、主力選手及び指導者の契約期間が満了した時期に行われる大会に意義を見出しにくいという点を無視できない。この問題は、日本の春夏開催シーズン制度に起因する。北半球の世界標準では、暑い夏にサッカーは不向きだという認識で一致している。

本大会において、J2の京都が決勝進出できた要因の1つとして、選手の動きの良さが挙げられる。京都は早いパス回しでポゼッションをしながら、後方の選手が長い距離を走りゴール前に迫る戦術を得意とするチーム。それを可能にしているのが、選手の若さに担保された豊富な運動量だ。一発勝負のノック・ダウン方式のカップ戦の場合、京都のような若いチームが波に乗り、勝ち進むことも大いにあり得る。京都に限らず、走るサッカーを得意とするチームにとって、気温の低い秋冬制の世界標準の試合開催は適している。

つまるところ何が言いたいのかと言えば、冬場=サッカーに適したシーズンに天皇杯をやっているのはもったいないということなのだ。日本のサッカーをJリーグ中心に考えるならば、その開催時期は、現状の春夏制から北半球の世界標準である秋冬制に移行したほうが観客に密度の高い試合を見せられる。にもかかわらず、元旦決勝の天皇杯というドグマにとらわれているため、リーグ開催時期の移行が決断できないでいる。

天皇杯決勝=元旦という日程を固定したまま、リーグ戦開催期間を秋冬に移行することは不可能だ。Jリーグを暑い夏場に開催して、コンディションのよくない選手の試合を観客に見せ、サッカーに適したシーズンに、アマチュアやカテゴリーの低いクラブが混合した低レベルのトーナメント方式の試合を観客に見せるという倒錯がまかり通っているのが、日本のプロサッカーというわけだ。

天皇杯にはもちろん、サッカー全般の普及、底辺拡大、低カテゴリークラブの底上げ等の効果を否定しない。日本では長らく、プロサッカーリーグが存在せず、競技人口も少なく、認知度の低い期間が続いた。そんな時代においては、天皇杯こそがその名称が示す通り、晴れの舞台だった。しかし、その役割は今日終わったものと筆者は考える。

ところで、優勝したFC東京について簡単に触れておこう。FC東京は、何度も当該コラムで書いてきたけれど、首都をホームとするクラブ。首都東京1200万人余りの大都市に立地(ホームと)する、日本、否、世界で最も恵まれたクラブの1つだといえる。世界では、首都に強いクラブが存在しないリーグというのは、聞いたことがない。

東京ダービー、東京vs.大阪の「クラシコ」など、盛り上がる余地のあるマッチメークがいくらでも考えられる。FC東京はまちがっても、J2降格などしてはならない。FC東京の降格は、スペインリーグで、レアルマドリードが降格したようなものだ。東京をホームとするヴェルディ東京はJ2が定位置になってしまったが、もともと筆者は、同クラブには期待していない。

東京在住の筆者にしてみれば、この先も、FC東京にJ1制覇を期待せざるを得ない。ぜひとも、期待に応えてもらいたいものだ。


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