職業婦人通信
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ツワリのせいなのか感情の起伏が激しく、 つまらないことでハラが立ってたまらない。
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先日書いたとおり、 ハラの赤子は順調に落花生からE.Tへと生育中。
ダンナ君が今回の件を大変喜んでいるので 私は病院に行くとすぐに 診察結果をメールで報告している。
ダンナ君はそのメールを大変心待ちにしているらしく 朝、病院に行く前から 「今日も昼にはメールくれるよね」と念を押す有様であった。
そんな先週末。
ダンナ君の実家を訪問した私は とある異変に気づいた。
ダンナ君の実家の人々(舅、姑、義妹、義妹の夫)が みな、私のハラの中の赤子を 「赤さん」と呼ぶのである。 そして、なぜかみんな「赤さん」というたびに 心なしか、クスリと笑うのであった。
赤さん・・・?
そこで私はハタとある事実に思い至った。
先日、私がダンナ君に送った診察経過報告メールで 赤子の様子を「本日の赤さん」と称して送った、ということを。
(新米妊婦の私は ちょっと「赤ちゃん」っていう言葉が気恥ずかしくて ダンナ君に送ったメールに「赤さん」なんて書いたのであった。 別に面白くもなんともないと思うのだが・・・)
その事実を勘案すれば答えは簡単。
ダンナ君は、私が彼に送っていた 「本日の赤さんについての報告」メールを 自分の実家に転送しており それを読んだ実家の舅や姑たちが 「赤さん」というキーワードを使うようになったのだ、 ということであった。
当のメール発信者である私は そのことを何も知らず、ダンナだけが相手だと思って この日記以上の駄文をメールにして 絵文字まで多用したあげく せっせと送っていたのだ。
妻のメールを自分の実家に転送する、という行為は 果たして「アリ」なのか。 私としては「ナシ」だと思うのだが・・・・
激しく憤った私はダンナ君を問い詰めたのだが ダンナ君の言い分はこんな感じ↓であった。
○ダンナ君の実家には今、重篤な病人がおり、今回の妊娠は数少ないグッドニュースである ○実家の面々はみな、私のメールを大喜びで読んでいる ○「微笑ましく、かつ面白いメール」との評判で、「赤さん」はいまや、実家の流行語に ○実家の人々は、単に嬉しく楽しく読んでいるだけで、ヨメをバカにするつもりは一切ない ○むしろ一連のメールで、「面白いヨメ」との評判が高まり、夫としてハナが高いくらいだ ○勝手にメールを転送したのは悪かったが、皆を喜ばせたのに、なぜそんなに怒るのか、よくわからない
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たしかにダンナ君の実家は、病状の思わしくない人がおり 非常に暗く悲しい状況ではある。
それに多少、明るさを齎せたのであれば 本来、ヨメとして喜ぶべきなのかもしれない。
でも、私はそんな道化役になるのはまっぴらゴメンなんである。 そのために、自分が夫だけに読ませるつもりで書いたメール (自分の身体の状況などもけっこうセキララに書いていた)を 実家で共有されるのは、やっぱり笑いものにされてるような気がして どうにも我慢がならない。
それはやはり、心の狭い、自意識過剰なヨメの考え方なんだろーか。
妊娠4ヶ月となった。ただいま13週ナリ。
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1ヶ月前の妊婦検診では 落花生のようなシルエットだった ハラの中の赤子は
久しぶりに見たら E.T.(古い)になっていた。
今回は2頭身のくびれがハッキリして 完全に手足が。
しかも動いてた。 にょろりにょろりと激しく。
怠惰で運動嫌い、何より睡眠を愛する 自分たちの子だから きっとハラの中でもじっとしているであろう、
うっかりすると 寝たまま出てくるかもしれないし 三年寝太郎みたいになったらどうしよう、
・・・という大方の予想を裏切り 赤子はなかなか元気であった。 激しすぎて身長が測れないくらい。
帰ってからその旨を ダンナ君に報告したところ 彼は 「それはもしかすると、 鳶が鷹を産むかもしれぬ。 将来は立派なアスリートに育ててはどうか」 という仰天育児プランを声高く表明した。
ちなみに我が夫婦、 どちらも高校時の体育の成績は 10段階評価で2とか3とかであり そして何より運動嫌い。
ダンナ君は 最近、ハラが出てきたことを非常に悩んではいるが 「スポーツクラブに通うくらいなら絶食を選ぶ」 と公言して憚らない男であり
その子がアスリートになることなど まず、あるまい。
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・・・というより、 エコーの動きぐらいで その子の未来に夢を託すあたり、 すでにバカだ。私たちは。
かれこれ1年ほど前に 職場で、ひとつ年上の先輩が妊娠した。
まだ私は結婚したてで 「子供は欲しいけど、もうちょっと先かなぁ」 ぐらいに思っていた頃の話である。
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この妊婦先輩、ツワリがキツいとのことで 妊娠2ヶ月にして上司に妊娠をカミングアウトし、 交渉して時短勤務を勝ち取った。
毎日、10時ぐらいに出勤し、 16時ぐらいには帰る。
で、この妊婦先輩は、 職場ではじめての妊婦さんであると同時に 他の女子たちからえらい嫌われていた。
理由はまぁ色々あるが 本筋とは関係ないので割愛。
特に先鋭的に妊婦先輩を嫌っていた人が一人。 この人は職場の特攻隊長と(陰で)呼ばれており
嫌いとなったら大嫌い、 地の果てまでも嫌いぬく、 誰がなんと言おうと私ゃコイツを許さないもんね、
というタイプの人。 こういう突っ走るタイプの人っているよね。学校にも職場にも。
この人が 妊婦先輩が帰った後に 職場中に響き渡る大声で 毎日毎日、徹底的に文句をつけるのであった。
いわく ○妊娠は病気ではない ○ツワリは病気ではない ○私の友達も、ツワリでキツくても会社を休んだことはなかったわよ ○時短なんて甘えでしかない、言語道断
だそうで、
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、 妊婦憎けりゃ赤子まで憎い、
という勢いである。
たとえば、妊婦先輩が、この特攻さん(仮称)に 時短にしたことで迷惑かけてるならともかく、 何の迷惑もかかってない。
にも関わらず、好悪の情だけで そういうことを平気で言える特攻さんが 私にはオニに見えた。
妊婦に理解がない人は、なにも男性ばかりではない。
そんなある日。
やはり妊婦先輩は16時に帰り、 また、特攻さんがいつもの文句を並べ立てると あるおじさんが一言だけ、ぽつりと言った。
「あのさ、そういうことばっかり言ってると 自分の番になったとき、自分にそっくり帰ってくるけど それでもいいの?」
私はまだ妊娠していない頃だったけど、 心の底からそのおじさんに拍手を送った。 (特攻さんが怖かったから、心の中でだけだけど)
でも特攻さんは 「私のお母さんはツワリなかったから 私は絶対大丈夫なんですっ」 と言い切り、 おじさんを睨みすえたのであった。
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その後、私は妊娠したけど ツワリがきつくても会社を休まないし、 時短なんて考えたこともない。
特攻さんに嫌われてはいないと思うけど やっぱり、自分のいない間に もし非難されたら、って思うと 小心者の私にはまずムリ。 幸い、私のツワリは軽かったからまだ良いのだけど。
個人差のある、他人のツラさを 一括りに非難し、職場で声高に言い募ることが 結果的に他の女性の首も絞めているということを 特攻さんは知っているのだろうか。
そして妊婦となった今、私は 将来、特攻さん本人が妊娠し、 ツワリが結構大変になることを 心の底から願ってやまない。
考えなしに他人を非難すると 自分の番になって、それが返ってくるのだということを ぜひ思い知っていただきたいものである。
・・・と、まぁ、 そういうことを考えている私も じゅうぶんオニなんだろうけどさ。
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