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沙夜



 黒い海

夜の海って怖いね。


露天風呂から戻ってきた豆ぞうさんが言う。


なんか出てきそう?
海に引きずり込まれそう?


いや、おばけがどうのっていう怖さじゃなくて。
波とかさ、海自体の怖さっていうか。


ふーん。





私も遅い時間に大浴場へ行ってみた。
他に誰もいなくて、脱衣所の電気も落とされていた。


内湯に身体を沈め、ガラス越しに海を眺める。


どどどどどど。
地の底から響いてくるような音。
深夜になっても海は荒れている。


海が黒い。
墨汁のような海に波飛沫の白さが際立つ。


……本当だ。
海、怖い。


荒波を前にして、心細くなる。
裸だから余計に?


結局、怖くて露天の方には出られなかった。




2004年11月29日(月)



 越前蟹フルコース

夕食前に、ひとっ風呂。
豆ぞうさんは、ふたっ風呂。


ここのお湯はかけ流しで、匂いもなくサラッとしてクセがない。
日本海を眺めながらの露天風呂は気分最高。
お湯が熱めな所為で、あまり長い時間入っていられないのは残念だけど。




仲居さんに、
「お部屋にお菓子がありますけど、召し上がらないでくださいね」
などと言われる。
腹を空かせて蟹に挑め、ということらしい。
よーし、負けないぞー。



18時半。
夕食スタート。
ひたすら蟹蟹蟹なのかと思いきや……。


食前酒に、土地の地酒。
先付、八寸、向付は、普通に懐石のお料理が出される。
予想以上に美味しい。
地元で捕れた鮪のお造りには、モンゴルの塩をつけて。
うーむ、なかなかやるな。


で、蟹。
最初はせいこ蟹といって、雌の小さな茹で蟹。
食べている途中に、蟹の刺身が出され、手を付ける間もなく
仲居さんがテーブルで蟹を焼き始める。


ペースはやいよーーー。


「蟹は繊維質なので、お腹の中で膨れますからね」


膨れる前に、とっとと食べなくてはいけないらしい。
なので、二人、もくもくと食べる。
焼き蟹の味噌がめちゃめちゃ美味しい!!
私、豆ぞうさんと付き合う前は、蟹味噌ダメだったんだけどな。


食べ終わった頃、どでかい茹で蟹登場。
越前蟹の証である、黄色のタグがついている。


でかーーい!


「こちらで25年くらいですね」
へ〜。
蟹って随分長生きするのね。


仲居さんにさばいてもらう前に、写真撮りまくり。
もうお目にかかれないかもしれないので。
私はいつもだけど、豆ぞうさんまで撮るっていうのは珍しい。


湯気の上がるあつあつの蟹をぱくり。
美味しい〜。あま〜い。
でかい甲羅に味噌がたくさん〜。あうあう。


蟹完食。
あれ、なんだか豆ぞうさんの方が苦しそう。


おしのぎで、蟹の茶わん蒸し。
お食事は蟹の釜飯と赤出し。お漬け物。
わざわざ部屋にお釜を持ってきて炊くのだけど……
駅弁みたいな味を想像してたから、食べてびっくり。
薄味で、ゴボウや三つ葉のいい香りが口に広がって。
やわらかな蟹の身たっぷり。
あぁ感激。


あまりにも美味しくて、お腹一杯だったにもかかわらず
釜はからっぽに。


そして、3種のデザートで〆。


あー、食べた食べた。全部食べた。
この宿は、蟹のない季節に訪れてもいいかも。
そう思う程、料理が美味しかった。


だけど、やっぱ秋冬以外はダメ。
……フナムシ怖いから。




それにしても、食欲なかった私はどこに。





2004年11月28日(日)



 日本海!!

2周年記念で福井へ。


豆ぞうさんが一年前から宿に予約を入れていた、待ちに待った越前蟹旅行。
私にとって、初日本海&初越前蟹だ。
ここしばらく、体調いまいちで食も細かったりしたので、
果たして蟹フルコースなんて食べられるのか、ちと不安。


久しぶりに会ったというのに、いきなり「具合悪そう」と言われてしまう。
せっかくの旅行だというのに〜(泣)


が、そのうち少しずつ良くなってきて
お昼にはお蕎麦と胡麻豆腐をしっかりいただき、
その後、永平寺という大きなお寺に立ち寄った。


これで、沙夜ちゃんも蟹が食べられるよ。


私が蟹を全部平らげられますようにってお願いしてくれたの?(笑)






カーナビが最終地点に近いことを示す。
港には小さな漁船がびっしりと停泊している。


元は同じズワイだが、松葉蟹は3〜4日かけて漁をするのに比べ、
越前蟹は日帰り漁なのだそうだ。
だからこんなにも船が小さいのだろうか。








ザバーン。

ザッバーーン。













えーと、あれは、もしかして……


……波がすごいんですけど

なんだあれは〜

日本海って、こんななんだ?

さぁ……


あまりの荒波に、なぜか二人して「わはははは」と笑う。


わーい。
日本海、すごいぞー。(テンション↑)


これが普通というわけでなく、今日は特に時化ているらしい。
岩礁に波がぶつかり、白く大きな飛沫をあげる。


ひゅー。
日本海、かっこいい〜。


部屋に案内された後も、しばし海にカメラを向け続けた二人であった。




2004年11月27日(土)



 2nd Anniversary

豆ぞうさんと付き合うようになって、丸2年。
なんだか2年目はあっという間に過ぎた。



モーニングコール、いつもありがとう。

私に付き合って深夜の電話。
眠いのにごめんね。ありがとう。

私が落ち込んでいたり不機嫌な時も、
いつも通り接してくれて、ありがとう。

もうおねだりしない!とか言いながら、
欲しい物の話ばかりしてごめん。
この1年で何回、豆ぞうさんから荷物が届いただろうね。
たくさんのプレゼント、ありがとう。

あちこち旅行に連れて行ってくれて、ありがとう。
美味しい物をご馳走してくれて、ありがとう。
毎日大好きって言ってくれて、ありがとう。
いつも「うん」だけで、ちゃんと返事しなくてごめんなさい。




最近、私がつまらないことで腹を立てて、
豆ぞうさんに意地悪なことを言ったり、したりしようものなら、
偶然とは思えぬタイミングで私に不運が訪れる。


不運といっても、
トイレのドアにおでこを強打!とか、
大切にしていたガラスのポットを割る!とかだけど。


腫れたおでこや、ガラスが刺さってしまった指の、ズキズキする痛みの中で
『ああ、きっとバチがあたったんだ』って考える。
そして自分の行動を反省する。




こんな私に2年もお付き合いくださって、どうもありがとう。






2004年11月23日(火)
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