妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2003年09月28日(日) 『魔界医師メフィスト 怪屋敷』(小)

【菊地秀行 講談社文庫】

久しぶりの単独メフィスト。
私、いまだこの人以上の美形キャラを知りません。九十九十九もなんのその。
せつらも美貌は美貌なんですが。

いつか出るだろうと思っていた、ファウストはメフィストの師でありました。
にしても、メフィストが無免許だったとはね…。カリスマ美容師、実は無免許、みたいな驚きです。
魔界医師、実は無免。スキャンダラスです。
せつらあたりが知ったらなんと言うのか。

免許皆伝のための、最後の試験が今回の話だったわけですが、合格しないと、医師免許剥奪(もともとないんだけれど)そのうえ、今まで診た患者が元の状態に戻るというのだから、それはそれは。
さすが、魔界都市です。
「メフィスト、大ピンチ!」というより、魔界都市大ピンチです。
しかも試験に合格しなかったメフィスト…。大丈夫なのか、魔界医師。
今後、新たな試験を受ける時はちゃんと合格して頂きたい。新宿の為にも。

単独の先生は、「魔界都市ブルース」とか、つまりせつら君が主役の時に出てくる先生よりも、お茶目です。
やはり、惚れた相手の前では…なのですか。先生。
「この羊羹を煎餅に替えていただけると助かる」
と、さりげに宣伝もしてあげる先生。けなげ(そうなのか)。
「御用だ」と一人つぶやいている先生には笑った。
せんせー、時代劇お好きなんですか?

ピンチピンチと毎回言いますが、全く切羽詰らないメフィスト。
ひょっとしたら、今回焦っていたのかもしれませんが、泰然自若としたものです。

久しぶりに朽葉刑事がいて、嬉しかったです。
朽葉さんは、メフィストシリーズにしか出てこないんだよなぁ。
最初の頃はちょくちょく出ていたのですが、最近めっきりで寂しかったのです。
どうせなら、先生とのやり取りもみたかったんですがねー。


2003年09月27日(土) 『ヨリックの饗宴』(小)

【五條瑛 文藝春秋】

出版社を股にかける五條瑛。今回は文藝春秋だからなのか、渋い表紙。かっこいいです。
帯「長年にわたって隠しつづけてきた日本政府の機密とは何か?」
読み終わっても機密の内容はわかりませんよ。
ま、それは重要なことじゃないですからいいのですが。

五條瑛にしては、歯切れが悪かったかもしれません。
兄・栄一と息子の裕之の間の確執がいまいち納得できなかったせいでしょうかねぇ。
それは酷いよ、兄さん…と言う感じです。愛といわれましても…。

五條氏は確かにハードボイルド系の作家ですけれど、テーマはいつも一貫して家族です。
その辺、誰か言及してくれれば読者層も広がるんじゃないかしら、と思うのですが、私が言ってもね。
五條小説は「ハードボイルドにおける男の美学」にうんざりしている読者にお薦めしたい。

今回の主人公は、それほどへたれてません。そのせいか、印象が薄いです。
じゃあ、その兄はどうかと言いますと、完璧な男前はすでに五條氏にはエディにサーシャという二枚岩があるので、こちらもあまり印象がなく。
兄がもう少し、家族への愛を示してくれればよかったのでしょうが、いまいち説得力が無い兄。
それに素直に言いくるめられる、和久田さん。
結局、どうしようもないブラコン兄弟だった、というオチらしい。

キャラの動きがばらばらで収束していかなかったなぁ、という印象。
伏線が生かされてないのかな。

ちょっと今回は精彩を欠く出来栄えでした。


2003年09月18日(木) 『死者の奢り・飼育』(小)

【大江健三郎 新潮文庫】

困ったなぁ、と。
どう感想を言ったものか。
大江を読むのは初めてなのですが、はっきり言って難しい。
難解な内容でも文章でもないのですが、いやむしろわかりやすい話なのですが、高度な読解力を求められているような。
考えなしな感想は言えないなぁという感じです。

文章に慣れるのに時間がかかりました。というより最後まで慣れなかったかもしれない。
英文みたい、とでも言いますか。意味がわからん、ということじゃなくて、言い回しですよ。
村上春樹よりもそういう感じがしました。
若かりし頃の作品集だからなのか、それとも今もそういう文体なのか。

「死者の奢り」

生きている人間と話すのは、なぜこんなに困難で、思いがけない方向にしか発展しないで、しかも徒労な感じがつきまとうのだろう

吐き出された言葉の一切が無駄なような気分になることが、一日に何度かある。
そんなことを思って嫌な気分になる話。

「他人の足」

残酷な話。
題名からして“他人の”だから。

「飼育」

さらに残酷な話。
なんともなんとも・・・感想はパス。

「人間の羊」

「傍観者への嫌悪と侮蔑」ということなのですが、もっと当事者的な感情があるような。じゃあ何って言うと、上手い言葉が見つかりませんが。
この話に限ったことじゃないのですが、不吉な感じのする比喩が多いです。
「兔のセクスのような、桃色の優しく女らしい吹出物」「欠伸をして甲虫の体液のように白い涙を流した」・・
これらが出てくるたびにどんどん嫌な気分になっていくわけです。
怖い話だな。

「不意の唖」

再びパス。

「戦いの今日」

「飼育」といい、これといいどうして兄弟なんでしょうね。
あぁ、読解力が追いついてません。はい。

もう少し近年の作品に再挑戦してみようかと。いつになるかわかりませんが。
今日の感想は惨敗って感じだな・・・惨憺。


2003年09月13日(土) 『創竜伝12竜王風雲録』(小)

【田中芳樹 講談社文庫】

お久しぶりの創竜伝はまた番外編。もう本編忘れたよ。
なんで、余くんが表紙なのか。嫌だと言う訳ではなく、あまり出ていなかったのになぁ。

竜王編というのかなんというのかなのですが、キャラの呼び方は、始、続、終、余でいきます。
青、赤、白、黒ではなんだかぴんとこないのです。字にいたってはさっぱり覚えてません。

宋時代を書きたかっただけなんじゃないか・・・そんな疑惑が頭をもたげますが、田中が楽しそうだったのでいいんじゃないでしょうか。
私は今年三国志ブームだったのですが、この期に他の中国史も読んでみたいものだと思っているのです。
田中の中国歴史小説はあまり評判上々という気がしないのですが、どうなんでしょ。

で、中身ですが。
うまく史実と絡めているのだろうけれど、それだけという気もしますなぁ・・・。
自分が覚えていないからと、終君に呪文を覚えさせようと思っていた始さんが、意外でした。
そんな方でしたか・・・・?
ちょっと見ぬ間にルーズになっちゃって。可愛いです。

全く関係ないですが、始さんはトリビアいっぱい知ってそうです。
あと、これも全く関係ないですが、続さんは長男が結婚するまで、絶対に自分の幸せを探さなさそうなので、始さんは早く幸せになってあげたがよいと思います。
まあ、始さんが結婚しても自分の幸せ探さなさそうですが。続さんは。
続さんと茉理ちゃんはいまいち仲が良さそうではない、と思うのは気のせいでしょうか。

久しぶりに竜堂兄弟の座談会を読むと、辛辣だわーと思います。
昔はそうも思わなかったのは、今ほど世情を知らなかったせいなのかも。


2003年09月12日(金) 『輝夜姫22』(漫)

今まで出一番間が開きましたなぁ。
漫画は読んでいたのですが、感想はサボってました。はい。言い訳も何も無いです。

【清水玲子 白泉社花とゆめコミックス】

碧ちゃんは確かに嫌な子だったのですが、こうなってしまうと悲しい。
なんだか、下の4分の1スペースが追悼ムードだったので、何かあるのかなあと思っていたら、こういうことに。
死んだわけではないけれど、とは言え。
まゆちゃんがまた、追い込まれてます。自分のせいなのですがそれにしても、辛いなぁ。
由もこの後どうするのか。

清水作品はなんだかんだと不幸ですよね。そういや。
ハッピーエンド…?みたいな終わり方をする。
『月の子』をはるかに越えた今、これがどんなラストになるのか全く分りません。

柱で楓がエレナに似ているかも、と描かれていたせいなのか、簡略された楓の顔はまんま、エレナに見えて懐かしい。
ジャックとエレナシリーズはもう出ないの?


2003年09月02日(火) 『Heaven?6』(漫)

【佐々木倫子 小学館ビッグスピリッツコミックス】

完 結

終わっちゃったよ〜。
寂しいなぁ。
うっかりしんみりしちゃいました。佐々木倫子なのに。
でも、時々しんみりさせますよね。佐々木倫子は。ぼうっと読んでいると気が付かないようなところで。

佐々木倫子の漫画って、大きな山があるわけでもなし、どこまでも続きそうなのに、それでもちゃんとした完結を用意してあるのが凄いと思います。

ロワンデイシー、流れ流れて楽園に流れ着くとは。
しかも、40年後・・・その間が気になる。そして他の従業員がどうなったのかも。
でも、山懸さんは・・・言うまい。
伊賀くん、結・・・・・・それも言うまい。
オーナーが最後に素敵でした。
「あなたが立派なサービスマンになったかどうか見に来たのよ」
って。

今回の佐々木倫子もまた素敵でした。ご苦労様です。
次の舞台がどこになるのか楽しみにしつつ、そろそろ『おたんこナース』を読もうと思います。
どうしたわけか、佐々木漫画、これだけ読んでない。後で後でととっといたら、こんなことに。
一体、どのサイズで読んだものか悩みます。


2003年09月01日(月) 『合法ドラッグ3』『死神探偵シリーズ2死神探偵と幽霊学園1』(漫)

【CLAMP 角川アスカコミックスDX】

『HOLIC』に出張中のお二人ですが、ようやく出ましたなぁ。
毎回思いますが、「衝撃のサスペンス」は嘘です。嘘はいけません。
全寮制の男子校に潜入という、CLAMPにしてはベタなネタでいまいち面白味がなく。
陸王のメガネが見所でしょうか。

風疾と陸王が、葉山と坂下に見えてしまう今日この頃です。

+++++++++++
【斎藤岬 幻冬舎BIRZコミックス】

つ づ い て る ー !

こんな次出るのがいつかも定かではない本が、しかもまがりなりにもミステリーが続いているだなんて。
読みきり収録するくらいなら、一本にまとめてー。
華族探偵の方も好きではありますが、本当に次に出るのがいつか分らないからなぁ。

死神探偵、時を遡り、高校生編。
大人の方が好きかなー。

気にはなるけれど、犯人は、まあ、あの辺でしょうなあ。

素成さまと、怪盗の3時間に渡る格闘に思わず笑いました。じたじた・・・。



蒼子 |MAILHomePage

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