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2014年11月26日(水) |
【訃報】「国弘正雄氏が死去 元参院議員、同時通訳者」←「只管朗読」を推奨した方です。 |
◆記事:国弘正雄氏が死去 元参院議員、同時通訳者(日経電子版)(2014/11/26 1:31)
国弘 正雄氏(くにひろ・まさお=元参院議員、同時通訳者)25日、老衰のため死去、84歳。
自宅は東京都世田谷区南烏山3の4の10。偲ぶ会を行うが日取りなどは未定。喪主は弟、正彦氏。
英語同時通訳の草分けで、1969年のアポロ11号による月面着陸のテレビ中継を通訳した。
三木武夫外相秘書官、ニュースキャスターなどを経て、89年、旧社会党から出馬し初当選、1期務めた。
◆コメント:「同時通訳の神様」の基礎は中学の英語の教科書を1,000回音読したこと、でした。
記事はまちがっていないのですが、本当は「國弘正雄」先生です。1970年にサイマル出版会から出版した、
英語の話しかた―同時通訳者の提言 (1970年)
で、曹洞宗の道元が「悟りを開くためにはただ、ひたすら座禅をせよ」とい意味で作った只管打坐(しかんたざ)
から「只管朗読」という方法を、國弘先生が提案しました。
ご自身が、中学の教科書を1,000回も音読したのが、後の英語力の基礎になったという経験に基づいたものでした。
もちろん、通訳者になるためには、それ相応の専門的な訓練を必要としますが、大前提として高度な語学力を既に持っていなければなりません。
國弘先生は
「自分は、音読が全てだった。意味の一通り分かった英文(易しいものでいい)を繰り返し音読し、書き写すのが。英語習得に、最も効果的だ」
という趣旨のことを、繰り返し主張なさいました。今でも英語の指導者とか英語が得意な人で「反復音読」を主張する人は多いですが、
要するに直接的に、或いは間接的に國弘先生の主張を受け継いでいるのです。後年
國弘流英語の話しかた
で再び、同じ主張をなさいました。
英会話・ぜったい・音読
は、編者の千田氏が國弘先生の影響を強く受けた方でテキストを編集して下さったものです。
◆ライシャワー教授がライフワークの邦訳にあたり、國弘先生を指名したほどです。
日本史、及び日本学の大家で駐日アメリカ大使を経験し、ハーバード大学教授を務めた、
エドウィン・O・ライシャワー博士のライフワーク、
The Japanese
の邦訳にあたり、ライシャワー先生が翻訳者として指名したのが國弘先生でした。
ザ・ジャパニーズ―日本人 (1979年)
です。昔毎日放送していた、文化放送の「100万人の英語」の水曜日は原書講読で、
贅沢なことに、The Japaneseの一節をライシャワー教授自身が音読した録音を聴いてから、翻訳者の國弘先生の解説を聞く
という企画でした。懐かしいです。
◆「英語の話しかた―同時通訳者の提言 」には、國弘先生の住所が印刷されていました。
今では信じがたいというか、危なすぎますが、1970年出版の「英語の話し方」の巻末には、
質問があったら、必ず答えるから手紙をくれ、という意味のことが書かれていて、先生の烏山(からすやま)のご住所が載っていました。
私は、大学生になってからこの本を読み、いくつか音読の方法で質問があり、恐る恐る、封書で質問したら、
なんと、たったの3日で、当時國弘先生が夕方のニュース番組のキャスターをなさっていた、日本テレビの便箋に
丁寧にお返事が書かれていて、恐縮かつ感激して、お礼のハガキを送ったところ、
再び、驚いたことに、先生はそれに対してもまた、直ぐにお返事を下さいました。
私は「只管朗読」を実行し、ヘタクソですが少しは英語が話せるようになり、ロンドン駐在員に慣れました。
國弘先生の「英語のはなしかた」を拝読しなかったら、どうなっていたか、わかりません。
直接お会いしたことのない、色々な方からの学恩を痛感します。
國弘先生のご冥福をお祈り申しあげます。
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