JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:入試問題投稿 予備校生を逮捕(NHK 3月3日 16時10) 大学入試の問題が試験中にインターネットの質問サイトに投稿された事件で、 ◆コメント:偽計業務妨害罪適用は拡大解釈だが、とにかくカンニングは悪い。 この「事件」については、日曜日に書いた。 2011年02月27日(日) 「入試投稿で被害届提出へ=不正判明に合格取り消しも―京都大」←「真理」に関わる問題なのです。(ココログ) この記事は、エンピツの「時事・社会ジャンル」で、筆者が思ったほど 得票できず、「あれ?」という印象であった。 今日の逮捕理由は、「偽計業務妨害罪容疑」ということである。 或る行為を犯罪として定める場合、それによって守ろうとする国民(個人・法人など)の 利益があり、これを「保護法益」という。 例えば、殺人罪の保護法益は、国民の生命であり、 窃盗罪の保護法益は国民の財産・財産権である。 「偽計業務妨害罪」の保護法益は「人の業務の平穏」だそうだ。刑法第233条。 第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 「偽計を用いる」とは、判例によると 「人の業務を妨害するために他人の不知又は錯誤を利用する意図をもって錯誤を生じさせる手段を施すこと」(大阪高裁昭和29年11月12日判決) であり、入試事務は大学という国立大学法人(みなし公務員)の「非権力的公務」 で、偽計業務妨害罪における「業務」に該当するそうだ(京都地裁昭和44年8月30日判決)。 ここまで調べると「うーん」と考え込む。この受験生に「偽計を用いて大学の業務の平穏を妨害する故意」が あった、と言えるのか。刑法では「拡大解釈の禁止」という原則がある。 罪刑法定主義の一要素である。 携帯電話を用いたカンニングが「偽計業務妨害」なら、古典的なカンニングペーパーを しようしたり、他人の答案を盗み見した者(過去に大勢いるであろう)は何故同罪に問われないのか。 社会的影響(話題になったということ)は、違法性を高める理由になるのか。 と考えると、疑問が残る。 その点を指摘する意見には同感だが、ネットで目立つのは、何だか妙に 「カンニング」という行為に対して寛容な世論の傾向である。 偽計業務妨害罪を適用するのは、大袈裟ではないか、ということは、 「カンニングくらい、大した事ではないではないか」という話とは別である。 犯罪に問われなくとも、前回書いた通り、不正に受験して合格しようという魂胆が よろしくない。犯罪者と見なしてこの受験生を起訴するか否かは、専門家でも意見が分かれる だろうが、不正を働いて大学に合格しようとした人間は、その記録が永久に残るような システムにして欲しい。例えば企業が人を採用するときに、こういう人間は信用出来ないから 採用しないはずである。平気で採用するようでは、その企業自体、信用出来ない。 それぐらい、倫理的には重大な「真理に対する罪」であると思料する。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2010年03月03日(水) 【音楽】カツァリスによる「子犬のワルツ」のレッスン。/リスト編曲:ベートーヴェン交響曲第3番 第4楽章演奏。 お薦めCD。
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