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2009年05月30日(土) |
【音楽】今日(2009年5月31日)はハイドン(1732~1809)没後200年。メインはオラトリオ「天地創造」(聴きやすいです)。 |
◆今年はフランス・ヨーゼフ・ハイドン没後200年なのですが、正に31日が命日なのです。
私は、音楽記事をしばしば書きます。今までに、「クラシックを30年以上も聴いてきましたが・・・」
と偉そうなことを何度も書いてしまいましたが、最近、このハイドンという大作曲家について、
殆ど何も知らないことに改めて気が付きました。恥ずかしいけど、ホントです(トランペット協奏曲は何百回も聴いていますが)。
「交響曲の父」とか言われているけれども、実際に聴いた曲の数などほんの少しだし、
ハイドンは「弦楽四重奏の父」でもあるのですが、これも殆ど聴いたことがない。
宗教曲など全然聴いたことがなかったので、こりゃいかん、と思いました。
◆ちょっとだけ、能書き。ハイドンの作品番号はホーボーケン番号といいますが、知っていると便利なことがあります。
バッハの作品番号をBWV(ベーヴェーファウ)と言ったり、モーツァルトの作品は、総目録を作った人の名前に因んで、
ケッヘル(K.)を付けますが、ハイドンのそれに相当するのがホーボーケン番号です。
詳しい説明がWikipediaにあります。
これを読むと大変わかりやすくかいてあるとおり、ホーボーケン、Hobの後につくローマ数字(Ⅰ、Ⅷ、Ⅹの類)は音楽のジャンルを表しています。
交響曲はⅠ、弦楽四重奏曲はⅢ、ピアノ協奏曲はXVIII、その他の楽器の協奏曲はVII、オラトリオはXXI、です。
慣れてくると結構便利です。ご参考になれば、と思い、記しました。
◆にわか勉強ですが、色々と取りあげてみました。
ハイドンは交響曲だけで、100曲以上も書いていますが、その他にも色々な分野で傑作を残しています。
まず、室内楽。弦楽四重奏曲で、「ハイドンのセレナーデ」の愛称で知られている曲を聴いて下さい。
弦楽四重奏だから、HobⅢです。CDはハイドン:弦楽四重奏曲 Op. 3, 第3番 - 第6番です。
ハイドン:弦楽四重奏曲 Op.3 第5番 第2楽章。俗に「ハイドンのセレナーデ」などと呼ばれますが、
オーケストラ曲ではありません。
ハイドン:弦楽四重奏曲 Op.3 第5番 第2楽章
全然関係ないのですが、私はこれを聴くと「ボッケリーニのメヌエット」を思い出します。
この楽章だけだと弦楽四重奏っぽく無いので、同じ曲の第四楽章(終楽章)もお聴き下さい。
ハイドン:弦楽四重奏曲 Op.3 第5番 第4楽章です。
ハイドン:弦楽四重奏曲 Op.3 第5番 第4楽章
引き締まった、良い作品だと思います。
◆ピアノ協奏曲とホルン協奏曲。
ハイドン→協奏曲、というと今まで、あまりにもトランペット協奏曲ばかりをお聴かせしましたが、
彼はピアノ協奏曲(当時はチェンバロだったでしょうが)や、ヴァイオリン協奏曲など他の楽器の協奏曲を
色々書いています。ピアノ協奏曲(ジャンル番号XVIII)は躍動的です。ハイドン:ピアノ協奏曲集(Hob XVIII: 3,4,9,11)
CDはハイドン:ピアノ協奏曲集(Hob XVIII: 3,4,9,11)をお薦めします。
最も有名な、ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII:11から第3楽章をお聴き下さい。
ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII:11 終楽章
度々跳躍する音型が非常に印象的で、かつ、可愛らしく感じられます。
気分が軽くなるような音楽です。
次は、殆どの方はご存じないでしょうね。ホルン協奏曲です。
これは、ヘンデル/テレマン/ハイドン/J.S. バッハ:ドイツの管弦楽作品集に収録されています。
ハイドン ホルン協奏曲 第2番 ニ長調 Hob.VIId:4 より第3楽章です。
ハイドン ホルン協奏曲 第2番 ニ長調 第3楽章
難しいと思います。モーツァルトのホルン協奏曲より難しいかも知れません。
◆本日の目玉。オラトリオ「天地創造」から抜萃(一つ一つは短いです)。
オラトリオとは何か?自問自答したら、恥ずかしながら答えられませんでした。
要するに知らなかったのです。
調べても、今ひとつスパッと気持ちの良い定義は見つからないので、辞典をそのまま載せます。
まず、「広辞苑」。
(祈祷所の意) 宗教的音楽劇。通常聖書に取材し、語り手が進行役を務め、独唱・合唱・管弦楽などで演奏される。
原則として演奏会形式で上演される。17世紀にオペラとともに発展し、ヘンデルが大成。聖譚曲。
何となくわかったような気分になりますが、やはりよく分からない。
次。「平凡社世界大百科事典」。
宗教的な題材による歌詞をもち,独唱,重唱,合唱,管弦楽のための総合的で大規模な音楽作品。
オペラと違って所作,衣装,舞台装置を伴わない。この名称は,16世紀後半にローマでフィリッポ・ネリ〔1515-1595〕が
祈祷(きとう)のための場所(オラトリオ)での礼拝にこの種の音楽を用いたことによる。
バロック時代のカリッシミ,J.S.バッハ,ヘンデル,J.ハイドンなどの作品以来,古典派,ロマン派を経て,
20世紀ではストラビンスキー,コダイ,マルタン,オネゲルらの作品が知られる。
最後に、本来最も詳しく、分かり易い説明が載っているはずの、
音楽之友社「「新編音楽中辞典」
宗教的,道徳的題材を劇的に扱った大規模声楽曲。演奏会形式で上演されることと,
合唱に比較的高い比重がおかれていることを除けば,内容的にはほとんどオペラと変らない。
聖句をそのまま使用せず,劇場で演奏される点において,ミサ曲,レクイエム,受難曲などと異なる。
困ったことに、音楽辞典が一番不正確な気がします。
内容的にはほとんどオペラと変らない。
そうかなあ。実際に聴いてご判断頂きたい。ハイドンのオラトリオ、「天地創造」
CDは、ヘルムート・リリング指揮、シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムがお薦めです。
「天地創造」に関しては、私も知らないので、ウィキペディアにリンクを貼ります。
これは、CDを見るとトラックが分かれていますが、実際には続けて演奏されます。
第1部の2曲目から4曲目まで続けてどうぞ。
第2曲 アリアと合唱 いまや聖なる光の前に、暗黒の闇の灰色の影は消えうせ (3分47秒)
第2日 第3曲 レチタティーヴォ 神は大空を造り (2分8秒)
第4曲 ソプラノ独唱付き合唱 喜ばしき天使たちの群れは驚きをもって (1分59秒)
DieSchopfungFrom2to4
第13曲(第一部の終曲) 独唱付き合唱 もろもろの天は神の栄光をあらわし (3分55秒)
TrioDieHimmelerzahlendieEhreGottes
全曲の最後。第34曲。終結合唱 全ての声よ、主に向かって歌え! (3分35秒)
SingtdemHerrenalleStimmen
宗教曲というと、何だか抹香臭いのでは、というのはあまりにも短絡的な発想で、特にオラトリオなんてのは、神や
救世主(イエス・キリスト)の栄光を賛美しているから、景気のいい終わり方をするのです。本当に理解しようと思ったら、
「天地創造」ならば旧約聖書をドイツ語で読めなければいけないことになりますが、そこまでする「必要」は全くなくて、
信仰など無くても音楽としてその素晴らしさに感銘を受けます。
◆【おまけ】J.S.バッハの「クリスマス・オラトリオ」全64曲の一番最後の曲。
私事で恐縮ながら、今年の一月、JIROの独断的日記ココログ版で相互リンクを貼らせて頂いている、
プロのヴィオラ奏者、ふっこ様が、杉並公会堂での「クリスマス・オラトリオ」のステージに乗られる、
ということで、聴かせて頂きました。3時間を超える大作ですが、全然飽きなかったですね。
曲もオーケストラも合唱も素晴らしい。コーラスは東京J.S.バッハ合唱団というアマチュアなのですが、
この時代の宗教曲のコーラスやソリストには必ず求められる、高度な、器楽的な音型を見事に歌っておられました。
アレグロの16分音符を人間が歌う、ということは、一音ずつ、横隔膜で息を切っているわけです。
そうしないと、段階的に音程が変化せず、ただのグリッサンド(というか、うめき声というか、サイレンというか)になってしまいます。
私にはオペラより、宗教曲が好みに合います。
オペラは嫌いなんです。私が愛する「オーケストラ」を、オーケストラ・ピットという
「穴蔵」に入れてしまって、喝采を浴びるのは歌手ばかりだから。
それはさておき、クリスマス・オラトリオでは、トランペットが活躍する箇所がいくつもありますが、
特に、この一番最後、第64曲のトランペットの輝かしい音が今でも忘れられません。
バッハ「クリスマス・オラトリオ」終曲です。
クリスマス・オラトリオ
私が生で聴いた演奏では、ふっこ様の学校時代の同級生でいらっしゃる、
神代修さんがピッコロトランペットを吹いておられましたが、驚嘆するほど素晴らしい演奏でした。
その輝かしい音色、見事なテクニック、音楽が、今だに忘れられません。
私は、あのコンサートがきっかけで、オラトリオその他宗教曲に、俄然興味が湧いたのです。
ふっこ様にはこの場をお借りして、あのコンサートを教えて下さったことに御礼申し上げます。
ありがとうございました。
宗教曲を聴くからと言って、テキスト(聖書の言葉が書いてあるわけですな)と睨めっこしながら
聴かなければいけない訳では全くありませんから、たまにはこういう曲を部屋に流してみては如何でしょう。
何だか、空間の雰囲気が変わりますよ。
それでは。
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2008年05月30日(金) 「ディスカバリー:31日打ち上げへ 星出さんが搭乗」←ネットで打ち上げライブ(じゃなくてもいいけど)を見てみませんか?
2007年05月30日(水) 「<党首討論>年金支給漏れ、社保庁改革法案で攻防戦」←安倍首相は自分の立場をわきまえていないことが良く分かった。
2006年05月30日(火) 「PTAがおにぎり/乳製品で朝の給食」←意味、分かります?母親が朝ご飯を作らないからなのですよ。
2005年05月30日(月) 社会保険庁の予算流用。一度もイベントを行っていないのに、6億円の予算を獲得、流用。←相変わらずだな。
2003年05月30日(金) 「<副作用>市販用かぜ薬で間質性肺炎 厚生労働省」 大袈裟に騒ぐほどではない。
2002年05月30日(木) ワールドカップもいいけどさ・・・・