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JIROの独断的日記
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2005年11月12日(土) 「インフルエンザ薬:タミフルで異常行動死 少年2人」どの薬にも「重大な副作用」がある。(追加あり)

◆記事:インフルエンザ薬:タミフルで異常行動死 少年2人

 

 インフルエンザ治療薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)を飲んだ患者2人が、飲んで間もなく行動に異常をきたし、1人は車道に走り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から転落死していたことが11日、分かった。

 薬の添付文書には副作用として「異常行動」(自分の意思とは思えない行動)や「幻覚」などが起きる場合があると書かれているが、死亡につながったケースの判明は初めて。

 厚生労働省安全対策課も死亡例の一つを副作用として把握しており「異常行動の結果、事故死する可能性もある」としている。

 NPO法人「医薬ビジランスセンター」(大阪市)理事長の浜六郎医師が12日、津市で開催中の日本小児感染症学会で発表する。2人の遺族が浜医師に相談した。

 岐阜県の男子高校生(当時17歳)は昨年2月にインフルエンザと診断され、正午過ぎにタミフルの通常量、1カプセルを自宅で飲んだ。

 その後、家族が不在の間にパジャマ姿で素足のまま外出し、雪の中を自宅のフェンスを乗り越えて走るなどした。

 午後3時45分ごろ自宅近くでガードレールを乗り越え大型トラックに飛び込み死亡した。



 タミフルの輸入販売元の中外製薬は同年7月、「薬との因果関係が否定できない例」として厚生労働省に報告した。



 愛知県の男子中学生(当時14歳)は今年2月5日にインフルエンザと診断された。

 午後4時ごろに1カプセルを飲み、午後5時半ごろ自室に戻った。午後6時ごろ、自宅マンションの前で全身を打って倒れているのが見つかり、そのまま死亡した。

 警察によると9階の手すりに指紋が残り、手すりにぶら下がった後に落ちたとみられる。

 2人とも、薬を飲む前に精神的な異常は全くなかったという。



 この他にも10代の女性が服用後2日目に窓から飛び降りようとして母親に止められた例があり

、厚労省は昨年6月に「医薬品・医療用具等安全性情報」を出し注意を呼びかけた。添付文書に副作用として異常行動を盛り込むことも指示した。

 同省関連の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」には、00〜04年度に、服用後の幻覚や異常行動などが延べ64件報告されている。



 奥西秀樹・島根大医学部教授(薬理学)は「脳内には興奮を抑える仕組みがあるが、タミフルはこの仕組みをさらに抑え異常な興奮などを起こすのではないか」と推定する。

 未成年者や乳幼児は化学物質から脳を守る機構が弱く、特にこうした副作用を受けやすい。

 他に幼児6人が服用後に突然死しており、同様の副作用と疑われるという。

 タミフルはスイス・ロシュ社が開発した。ウイルスの増殖を妨げ熱がある期間を1日程度縮める効果がある。

 国立感染症研究所の医師によると日本での年間販売量は1500万人分で、世界の8割以上を占める。 

 毎日新聞 2005年11月12日 3時00分


◆コメント:毎日新聞は、結局どうしろというのだ?

 

 鳥インフルエンザの世界的流行の可能性があるという。

 何故、大騒ぎをしているかというと、感染した場合、死亡率が高いからである。

 中国や、東南アジアは大騒ぎだ。ベトナムでは既に42人が鳥インフルエンザで死亡している。

 今までのところは、鳥から感染した例(鳥そのものとの接触や、排泄物の処理を通じて。食べて感染という話はまだ無いはず)ばかりだが、

 WHOは「現在のウィルスが変異してヒトからヒトへ感染するような事態になれば、世界中で数百万人が死亡するだろう」とかなり深刻な警告を発している。

 あるWHOの高官は悲観的で、新型ウィルスは必ず発生するだろうという。



 渡り鳥がウィルスを運んで来るのであるが、「渡り鳥が移動する主要な八経路のうち三経路が、世界の20%あまりの家禽を養う中国の上を通っている。

 その60%が放し飼いであり、防疫難度は高い」としており、感染を完全に防ぐのは極めて難しいのだそうだ。

 その渡り鳥は日本にもくるわけだから、日本政府も珍しく早めに厚生労働省が対策本部を設置している。

 新型のウィルスが発生したときのことは、ひとまず留保する。

 現在のH5N1型ウィルスによって発症するインフルエンザには、スイスの大手製薬会社ロシュが製造する「タミフル」という薬が有効だとされている。

 発症から48時間以内に服用すれば、体内でウィルスが増殖するのを抑制する働きがあるそうだ。

 他にも同様の効果が期待出来る薬が何種類もあればいいのだが、ない。

 このため、世界中の政府からロシュ社にタミフルの注文が殺到していて、ロシュ社は薬の製造が注文に追いつかず、大変らしい。


 ◆どの薬にも副作用はあるんだから、あまり神経質になっても仕方がない。

 

 あまりにも有名なサイトなのでリンクは貼らないが、「お薬110番」という処方薬の膨大なデータベースサイトがある。

 これを見てみると、全ての薬に「重大な副作用」という項目があるのだ。

 例えば、ずーっと昔から非常に一般的に使われている抗うつ薬でアナフラニールという薬があるが、私も飲んでいたけれど、

 これには、悪性症候群、セロトニン症候群(興奮・混乱状態、もうろう状態、取り乱す、幻覚、発汗、体のぴくつき、ふるえ、けいれん、発熱。)とか、

 幻覚、せん妄、錯乱、けいれん(現実でない人や物が見えたり声が聞こえる、混乱、興奮、取り乱す、けいれん)などという、素人目には怖くなるような言葉がこの後も延々と続いている。

 アナフラニールを取り上げたのは実際に私が3年間ぐらい飲んでいたことがあるからだが、「重大な副作用」はタダの一度も起きなかった。

 また、外来で知り合った患者でそのような経験をした人はひとりもいなかった。

 他の科の薬の添付文書にもやはり、重大な副作用が必ず列挙されている。

 勿論これは、製薬会社が免責の為に載せている。

 たとえ、確率は非常に低くても、過去、実際に起きた副作用は、明記しておかないと、訴えられるからだ。

 現実には、滅多なことでは「重大な副作用」は起きない。


◆伝染病なんだから、飲んで貰わないと、周囲が迷惑だ。

 

 毎日新聞は、不必要に不安を煽っている。

 まず、確認しておかなければいけないのは、少年二人の「異常行動」とタミフルの服用との因果関係は証明されたわけではない、ということである。

 謂わば状況証拠だけなのに、この新聞記事は、既に因果関係は証明済みであるかのような印象を与える。

 ミス・リーディングな記事だ。

 H5N1型ウィルスによるインフルエンザに罹った心配性の患者が、この記事を覚えていて、

 非常に起きる確率が低い副作用を恐れて薬を飲まないことにより、体内でウイルスが増殖し、ある時変異して周囲の人に感染し、

 最悪の場合死亡する。ということになりかねない。

 インフルエンザはれっきとした伝染病であり、自分だけの問題ではないのだ。そして特に今回のウィルスはタチが悪いのである。


◆結論:鳥インフルエンザになったとき、薬の副作用と、病気そのものとどちらがより深刻か

 

 問題はそういうことだ。

 仮に、タミフルに、異常行動を起こさせる副作用があったとしても、 貴方が鳥インフルエンザに罹ったとしたら、

 異常行動で死ぬ可能性と、病気そのものにより死ぬ可能性とでは、どちらの方が大きいか?

 さほど難しい話ではないでしょう。
 とにかく、タミフル以外殆ど選択肢が無い日本人に、この薬で頭がおかしくなって飛び降りて死んでしまった人がいますよ、

 と不必要な心配材料、恐怖を与える毎日新聞の意図が分からない。


◆追加:2003〜2004年、日本でタミフルを服用した人は600万人もいる。(WHO疫学週報)

 

 今、発見したが、<WHO疫学週報 Weekly Epidemiological Report>というページがある。これは小樽市地域感染症ネットワークのサイトの一部であるが、有益な情報が掲載されている。

 さて、<WHO疫学週報 Weekly Epidemiological Report>は長いページなので、Ctrl+Fでページ内を“タミフル”で検索してください。

 すると、「日本では、2003-2004に600万人がタミフル服用。」というセンテンスを見つけるだろう。

 WHOが発表する数字なので、まず信用しても良いと思う。

 冒頭の毎日新聞の記事によれば、2000年から2004年の間に、タミフル服用後の異常行動、幻覚が「延べ」64件報告されているという。

 延べ数だから、複数回の重大な副作用を経験した患者がいるわけで、実際の患者数は64人より少ないことになる。

 WHOのタミフル服用者数カウントと期間が重なっていないので科学的、統計学的につっこまれると困るが、「傾向」は分かるでしょ?

 ものすごく大雑把なことを云うと、一年間に300万人ぐらいの人がタミフルを飲んだわけです。

 一方重大な副作用は4年間で64人。

 統計学的、科学的な主張にはならないだろうが、副作用の出る確率がかなり低いと言うことは、素人なりに分かる。

 だから、あまり気にしなさんな、と言いたいのだ。

 勿論、絶対安全とは云いませんよ。

 いくら確率が低くても、運が悪い人は最初に一錠のんで、異常行動を起こすかもしれない。

 「可能性」と云ったら、それは、ありますよ。しかし、そこまでおどおど気にしても仕方がないでしょう。その時は運が悪かったと諦めるのだ。

 貴方も私も明日、クルマに轢かれて死ぬ「可能性」はゼロではない。

 だからといって、会社や学校を辞めるという人はいないでしょう。
 「可能性」を怖がっていたら、一生、一歩も外に出られない。「タミフル」も、そんなものだよ。


2004年11月12日(金) 「米・イラク軍、ファルージャで600人殺害」 ザルカウィはどこにいるのだ? 大量破壊兵器の時と同じだね。
2003年11月12日(水) <イラク>「かなり戦争状態に近い」 米国務副長官←自衛隊派遣は集団的自衛権の行使に相当すると思う。
2002年11月12日(火)  1989年11月13日。 島根医科大学第二外科の英断 日本初の生体肝移植

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