外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2005年06月05日(日) お奨めCD 「ショパン:12の練習曲」(マウリツィオ・ポリーニ)

◆「ベストクラシック100」とかいうCDが売れています。

 

 最初に断っておきますが、わたしは、「人間に生まれたからには、音楽、クラシック音楽が好きである『べき』だ」、などというアホなことは考えておりません。

 嫌いな人がいて、当たり前。「嫌いだ」という自由があってこそ、こちらも心おきなく「好きだ」といえるんです。

 ところが、どうも、最近は、レコード会社の戦略が、とにかく売らなくてはいけないので、「クラシック音楽を聴くというとカッコいい。」とか、「ハイソ(ハイ・ソサエティー=上流階級)っぽい」という、一部の人のとんでもない勘違いに目をつけているようですね。

 クラシックを聴くのがハイソ?

 ヘソが茶を沸かしてしまいます。

 クラシック聴くのは、普通のことです。聴きたい人が聴けばいいんです。前もって「お勉強」なんて、全く必要ない。

 芸術はそういうものではありません。聴くのは普通に聴けばいいのです。

 ベートーベンなんて、あんなにおっかない顔した肖像画ばかり残っているけど、「私の音楽は皆(大衆)のものだ。皆に聴いてもらいたい」と言っていました。

 本心だと思います。



 ただし、聴くのだったら、折角だから良い演奏を聴いてもらいたいと思います。

 レコード会社は、「何でも良いから、沢山曲を詰め込んで、安く売る」という趣旨のクラシックのCDを盛んに売っているようです。

 まあ、それが、きっかけで好きになる人もいるはずだから、悪いとは言わないけれど、最初は、やはり、評価が定まった、名盤というのを聞くのがいいですね。

 最初に、上手い人の演奏を聴くと、下手なのを聞いたときに、すぐ分かります。

 ところが下手な方を基点にして物差しが出来てしまうと、上手い下手が分からない。それではつまらんです。


◆「演奏が上手い」、ということ。

 演奏が上手い、という場合に分かりやすいのは、例えば、「子犬のワルツ」(というショパンの曲があるのです)をやたら早く弾いてみせるというようなのがあります。こういうのは、「指がよく回る」といいます。

 しかし、指が回るだけでは感動しないです。ところが、テクニックがなかったら、もっとダメです。

 表現手段として、高度なテクニックはどうしても必要なのです。

 ココが難しいところなのです。テクニックを追求するあまり、音楽が軽くなってしまう、という現象がよく、あるのです。



 しかし、本格的に上手い人というのは、こちらがため息をつきたくなるぐらい、テクニックがあるのですが、同時に音楽的なのです。

 その上、さらに「個性」というのが加わって、姿を見なくても音を聴けば、「あ、これは、あの人の演奏だ!」というような独自のスタイルを持った人が稀に現れます。こういうのが、本当に「上手い」人です。歴史に名を残すような演奏家は、皆、例外なく、そのような「個性」を持っています。

 今日、御紹介するピアニストも、間違いなく、歴史に名を残す人です。


◆マウリツィオ・ポリーニという人のショパンのエチュード(練習曲)集を聴いてください。

  ショパン:12の練習曲をお奨めします。

 

 損をした気持ちには、決して、ならないでしょう。

 これは、もう、聴いていただくしかないです。

 ポリーニという人はイタリア人です。イタリア人というのは、ヨーロッパのなかでは、どちらかというとバカなんですが(大昔のローマ帝国の頃に能力を使ってしまったのでしょうか・・・)、ポリーニは18歳の時に、世界一由緒正しい、権威のあるコンクール、ショパンコンクールで優勝しました。1960年です。

 普通なら、ここからもう、ソリストとして活躍していいのですが、ポリーニは真面目な人で、その後10年間は演奏会は開かず、練習をつづけたのです。

 そうして、音楽と技術が熟成しきったところで、この、アルバムが発売されました。

 この演奏を聴いて、世界中のクラシック聴きは、全員椅子から転げ落ちました。



 なんという、完璧なテクニック。すさまじいパワーと息が詰まりそうなほどの繊細さとの共存、あふれ出る音楽性。

 テクニックだけに絞って言いますと、この曲集はエチュード(練習曲)という名前ですが、歴とした演奏会用の曲。しかも、全てがもの凄く難しく書かれています。

 1曲目から聞いてください。

 厚い低音に支えられて、すさまじい早さで分散和音を弾き続ける右手のテクニックが、最早、文句のつけようがない。

 一つも「曖昧な音」がないのです。完全に鳴っているのです。

 私は、このCD、何度聞いたか分からないんです。すごいことは分かっているのですが、それでも、聴いてみるとまた唖然としてしまうんです。

 これこそ「本当に上手い」演奏なのです。


2004年06月05日(土) 年金掛け金を5.6兆円流用しておいて、年金改革法もへったくれもないだろう
2003年06月05日(木) 「大量破壊兵器に関して、アメリカで政治問題化」 だから、前から言っているだろう。

JIRO |HomePage

My追加