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JIROの独断的日記
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2005年04月21日(木) 「戦時の歴史を『決める』のは、常に勝者である」(BBCのサイトへの一般人の投書)

◆緒論:市井の一般人は何を言っているか。BBCの投書欄を読んでみた。

  世界中の殆どの国では、英字新聞が発行されており、ウェブサイトを持っている。

これらのサイトには、読者の投稿欄(インターネットだからBBSであるが)が設置されていて、これがインターネットの興味深いところというか、当然のことながら、どこの国のサイトにも世界中から書き込める訳である。

英語のネイティブばかりではないから、随分と変てこな英語もあるが、まあ、何とか意味は分かる。

その中で、新聞ではないが、イギリスのBBCのサイトは、今回の反日デモについてどう思うか?という特設ページを設置している。

BBC NEWS | Have Your Say | China Japan tension: Your views

http://news.bbc.co.uk/2/hi/talking_point/4436425.stm

である。

正確に数えたわけではないが、やはり、最も多く書き込んでいるのは中国人であることに間違いはなさそうだ。

 彼らの言い分はほぼ同じで、要するに、「過去を反省しない日本国は、許せない」ということのようである。

だが、中国人はどうもかなり感情的になっていて、本当は中国人で、日本にも留学したことがあるような人がどのように考えているかを知りたいのだが、中国はインターネットも検閲がなされているとのことなので、うっかり親日的なことを書こうものなら、たちまち、「売国奴」として血祭りに上げられかねず、書けないのだろう。

こういうところが、先日、ワシントンポストの論説委員が、「中国では一つの歴史(観)しか許されない」と書いた所以だろう。

そこで、日本人と中国人は当事者なので、これは除いて、第3国の人々の意見、その中でも知性を感じさせるものを拾ってみた。


◆引用: "China Japan tension: Your views"より

中国はまず、自国の政府が行っていることに目を向けるべきだろう。第2次大戦は終わっているのだ。

私にとって、中国こそが基本的人権に対する脅威である。

中国政府はチベット民族は、イスラム教徒、そして、自国民自身にたいする抑圧・弾圧を辞めるべきだ。

その後に初めて日本の教科書問題に関して注文を付ける資格が生ずる。

中国政府こそ自らの汚点について、何も認めないのだから。(キム:英国、サセックス)



 歴史は、勝者によって記述される。アメリカ国民のうちどれほどの人間が、祖国がかつて、メキシコ人の領土(テキサス、カリフォルニア、ニューメキシコ)に侵略して、これを略奪したことを認めようとするだろう?

 ハワイも然り。原住民の土地を奪ったのだが、その歴史的事実すら知らないアメリカ人も多い。

勿論、日本人は彼らの虐殺行為について認識するべきだが、中国は自国の失政についてより一層自覚するべきだ。(リチャード・オーウェン、東京)



 どの国民も祖国にはある程度の愛着を持っている。

しかし、どのような起源をもつ国民も、自分たちの先祖が行ったことを深く調べれば、かならず、何らかの汚点を見いだすであろう。

戦時において、何の罪も犯さなかった、と主張できる国は殆ど存在しない。

 子孫が、先祖の過ちについて謝罪した国もあれば、しない国もある。

 このような状態はこれからも続き、数十年後、自分たちは適切な謝罪を受けていないといって、憤慨する国も出てくるだろう。

全ての国は過去の過ちを反省するべきだ。しかし、暴動を起こしても、何も解決しない。歴史を変えることは出来ないのだ。

 我々が出来るのは、歴史から学ぶことである。 (ジェス・バンフ、カナダ)


◆コメント:欧米の一般人も冷静ですね。

 

 念のため書き添えるが、BBCの投書欄には、上に引用したような冷静な意見よりも多い、中国人による、「日本人は、謝れ!」式の書き込みがある。

 それをここに載せないのは、要するに、その一言で要約される発言が殆どであって、どれも同じことを言っているに等しいからである。


◆BBCは日本を好意的に扱っているように思われる。

 

 何故、そう思うのかというと、BBCの東京特派員が、日本の一般人10人にインタビューしたページがあるのだが、皆、冷静で、ニコニコした顔で映っているのである。

 マスコミはこういうところで、どのようにも読者の印象を変えることが出来る。

仮に、怖い、怒った顔をした日本人の写真と、「中国人は出て行け!」みたいなコメントを添えれば、簡単に日本のイメージを悪化させることができる。

しかし、BBCはその正反対をやっている。次のリンク上のページをご覧頂きたい。

日本人の中国人に対する見方と題する特集は、このような、お嬢さん達の明るい笑顔で始まるのだ。

そして、日本人のコメントは、皆、冷静なものばかりなのだ。これらは英語に翻訳されているので、逆に日本語に戻してみる。



喫茶店店主のナガイさん。

「中国の人たちは、どうしてそんなに過去にこだわるのかなあ。未来に向けて前向きに考えるべきじゃないかと思うんですけど。暴動を起こした中国の人たちが、中国人全体の気持ちを反映しているかどうかもわかりませんよね」



建設作業員のチンさん

「私は中国人と問題が起きたことなんてありませんよ。でもテレビを見ると、やはり問題があるのかな、と思いますね。日本人と中国人の違いを言う人がいるけれど、私たちは一緒にやっていくべきですよ。西洋の人たちとくらべたら、お互いずっと似ているじゃないですか」



OLのジュンコさん

「日本と中国の間には歴史問題という複雑な壁がありますよね。南京大虐殺とか。中国の人がデモをするのは、構わないと思います。言論の自由が認められるべきだと思うんです。でも、暴力はいけないと思います」



学生のウダガワ君

「中国で起きた暴動は間違っていますよ。中国政府が国民を洗脳して、日本人が全て悪いことにしているのが問題だと思います。中国の歴史の教科書には、日本が中国に対して正式に謝罪したことなど書いてないから、いけないのですよ」



主婦のハラさん

「去年、上海に旅行に行ったのですけど、皆さんとても親切でしたよ。お隣の国とは仲良くしなければいけませんよね。私が子供の頃は現代史って教わらなかったので、比較的最近になって、戦争中の日本軍の行為を知って、恥ずかしいとおもいました。歴史はよく知らなければいけませんね」


◆ムキになっている、中国人と、冷静・寛容な日本人。

 

 そのような言葉は、書かれていないのだが、BBCのこのインタビューを読むと、そういうイメージを醸成しようとしている意図がはっきりと見える。

無作為に一般人から抽出した意見にしては、穏やかすぎるからである。

つまり、BBCは意図的に、落ち着いて冷静に事態を見守っている日本人、というイメージの人ばかり(全部で10人にインタビューしていて、最後の人だけは、「中国人、大嫌い」という趣旨の発言をしているが、一人ぐらいそういう人が混じると、余計に現実感が増すのだ)を取り上げている。

 日本人に好意的であるといって、差し支えないだろう。

日本は、我々が想像するほど孤立していないのである。


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