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2005年04月08日(金) |
「フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの世界」 ラッパは、大きな音を出すだけではないのです。 |
◆フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル
日本では、中学や高校の吹奏楽団のことを「ブラス・バンド」といいますが、これは、正確な名称ではない。
ブラスとは真鍮のこと。つまり、本当のブラスバンドは、金管楽器だけで編成した合奏体のことをいいます。
弦楽器では、古くから、弦楽四重奏という確立された分野があります。こういう小編成の合奏を室内楽と言いますが、金管楽器による室内楽を確立したのが、フィリップジョーンズブラスアンサンブルというイギリスの団体です。
このアンサンブル(合奏体)を組織したトランペット奏者がフィリップ・ジョーンズという名前なのです。
普段はロンドンのオーケストラで演奏しているトランペット、トロンボーン、ホルン、テューバ奏者があつまって、金管楽器だけの音楽をやります。
ラッパだけの音楽というと、さぞやうるさいだろうと思われるかもしれませんが、絶対にそんなことはありません。
勿論、音楽的にff(フォルティッシモ)が必要な場面では、それなりに強い音を出していますが、こういう本当のプロは全体のバランスを考えて吹くのです。
他の人の音がきこえなくなるほど大きな音を出すようでは、音楽家とは言えません。野球の応援とは違うのです。
フィリップ・ジョーンズ氏や、何人かのメンバーは既に他界されましたが、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルは今でも伝説的な存在で、CDもよく売れています。
最初の頃は、中学生や高校生のブラスバンドの坊やたちばかりが買っていましたが、次第に、その演奏内容が芸術的に非常に秀でていることが、知られるようになり、それまでは、金管楽器など興味がない、と言っていた人たちも、好んで聴くようになりました。
◆さわやかなハーモニーと「合奏のテクニック」をお楽しみ下さい。
楽器が上手い、というと、普通は「ソロが上手い」、つまり、速い曲を曲芸的に弾ける(吹ける)という技術を連想しますが、音楽家にはもう一つ、大切な能力が要求されます。
それは、「合奏能力」ということです。
「オレが、オレが」と、自分が目立つのではなく、むしろ一人一人は目立たず、全体として、豊かな響きを出せるかどうか、ということです。
オーケストラのメンバーも勿論同じですが、これはとても難しい。
何故かというと、全体の響きが上手く解け合うかどうかの大きな要素は、各人の音量のバランスなのですが、バランスが取れているかどうか、最も良く分かるのは、客席にいる人々なのです。つまり、ある程度距離がある場所から聴かなければ、合奏のバランスは分からない。
しかし、自分は演奏しているわけです。客席でどのように聞こえているかということは、永久に分からない。
忍者の「分身の術」が本当に可能になったら、一番試したいのは、音楽家だと思います。ちなみにオーケストラの指揮者も同様です。 指揮台というのは、決して、理想的な位置ではない。 たとえて言うなら、ステレオの左右のスピーカーの中間に立っているような物なのです。 本当は、もっと後ろに下がらなければ、バランスは分からない。
では、どうするか?
勘です。長年の勘です。
勘だけを頼りに見事に解け合った音を出すことが出来る。これがプロの音楽家のアンサンブル(合奏)です。
また、室内楽では、指揮者がいません。音の始まりは、フィリップジョーンズ氏がわずかに身振りで示すだけです(自分もラッパを吹いているのですから、大きな身振りは出来ません)。それでも、テンポが狂ったりせずに、音楽の縦の線がピタリとそろうのは、繰り返しの練習と、高度な集中力によるものなのです。
と、堅苦しい話になってしまいましたが、いつも申し上げているように、聴くときには、理屈は要りません。
フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの世界は、大サービスですね。
勇壮な曲。爽やかな曲。もの悲しい曲。楽しい曲。全部入っている。それに、一曲ずつが長くないのがいいです。
最初の「トランペット・ヴォランタリー」というのは、「This is brass sound!」と言いたくなる、輝かしい曲です。
次の「シバの女王の入城」。これ、演奏、難しいです。でもこれほど爽やかな音楽はあまり無いです。休日の朝などにぴったりです。
ダマされたと思って、聴いてみてください。得した気分になると思います。
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