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2005年01月04日(火) |
ラデツキー・マーチの無い、ウィーン・フィルニューイヤーコンサート |
◆被災者配慮、行進曲なし ウィーンの新年コンサート
【ウィーン1日共同】初春のウィーンの恒例行事、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートが一日行われ、スマトラ沖地震の被災者への配慮からクライマックスの「ラデツキー行進曲」を演奏しないなど、例年よりも祝賀色を抑えた演奏会となった。
ラデツキー行進曲はヨハン・シュトラウスの作品。軽快で楽しい曲のため、コンサートでは毎回最後に演奏され、聴衆が手拍子で新年を祝う。しかし今年は指揮者のロリン・マゼール氏らから「被災者が苦しんでいる中でそぐわない」との声が出たため、ワルツ「美しく青きドナウ」でしめくくった。(共同通信) - 1月2日6時45分更新
◆ウィーン・フィルがWHOに1600万円寄付
世界保健機関(WHO)は1日、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から11万5000ユーロ(約1610万円)の寄付を受けたと発表した。スマトラ沖地震の津波被害救援費用に充てられる。
WHOによると、毎年1月1日の「ニューイヤーコンサート」で知られるウィーン・フィルは、毎年元日に人道支援機関への寄付を実施している。今年はWHOを寄付対象機関とすることが数カ月前から決まっていたが、年末にスマトラ沖地震が発生したため、目的を津波被害の救済に絞ることになった。(産経新聞)[2005/1/2/12:01]
◆コメント:多分、ニューイヤーコンサートで初めての出来事ではないか(未確認)。
本来ならば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート、などという楽しい話題は、直ぐにでも書きたいところであったが、何せ、大災害が起きた後なので、暫くは、そういう気分にならなかった。
毎年、ニューイヤーコンサートはウィーン現地時間の昼間に始まる。そのおかげで、日本では丁度夜に生中継を見ることができる。
ウィーンフィルは、独立したシンフォニーオーケストラではない。
普段はオペラの伴奏をしている、「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」である。その中から、有志がいわば趣味で自主運営しているオーケストラであり、「テクニックバリバリのベルリンフィル」とも一線を画す、地上に唯一無二、独特の響きを醸し出す、人類の宝である。
そのウィーンフィルの人々が、スマトラ島沖地震に配慮していることに、感動した。
本当はニューイヤーコンサートは、正規のプログラムが終わり、アンコールで「美しく青きドナウ」という、ヨハン・シュトラウスの楽しいワルツを演奏し、それでも観客の拍手が何時までも鳴りやまず、その年の指揮者が一言新年の祝辞を述べる。
そして、ラデツキー行進曲を演奏し、そのときには、観客も手拍子を合わせて、大変楽しい雰囲気で終わる。
今年の指揮者はロリーンマゼールという人だった。
1930年、パリ生まれの米国人2世で、9歳で指揮法を習い始め、12歳でアメリカの最も古いオーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックを指揮して、15歳までに、アメリカの殆どのメジャーオーケストラを指揮してしまった。 日本人の想像の域を超えた大天才である。
そのマゼール氏が大変神妙に、災害で苦しんでいる人々の為に、この演奏会の収入を寄付したい(勿論、ウィーンフィルの人々の同意の下で)、更に、被害者が苦しんでいる中、あまり華やかなことも控えたいということで、ラデツキー行進曲の演奏は止めておきたい、といった。
皆、正直言って驚いたが、ヨーロッパ人も大勢、津波で亡くなっているので、他人事ではない、と思ったのであろう。何の抵抗もなく受け入れられた。このようなことは、ニューイヤーコンサート史上、初めての出来事ではないだろうか(確認はしていない)。寂しかったが、やむを得まい。
ただ、嬉しいこともあった。コンサートの映像を見ていたら、かつて、この日記でも取り上げたが、日本人として初めてウィーンフィルのメンバーとなった、テューバの杉山康人氏が、この晴れ舞台で立派に演奏していた。
ヘタクソと評価されていたら、ニューイヤーコンサートに出してもらえるわけはない。杉山氏の技術と音楽性が天下のウィーンフィルで認められていると云うことは、大変に誇らしい。
もう一つ。3年前、小澤征爾氏が日本人、いや、東洋人として初めてニューイヤーコンサートで棒を振ったのは記憶に新しいが、2年後、2007年、再び同コンサートの指揮をする可能性がかなり濃厚であるという話が伝わってきている。
小沢氏は好き嫌いはあろうが、ウィーン国立歌劇場の音楽監督である。そして、ニューイヤーコンサートを2度も振らせてもらえるとは、人種とは関係なく、西洋音楽の本当に完成された音楽家として評価されていることを意味するのであり、その偉大さを日本国は一層認識するべきである。
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