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2004年09月29日(水) |
「名付けて郵政民営化実現内閣」首相が発足会見 国民に説明しない総理大臣 |
◆記事:「名付けて郵政民営化実現内閣」首相が発足会見
小泉首相は27日夜、第2次小泉改造内閣の発足にあたって首相官邸で記者会見し、郵政民営化について、「今まで進めてきた改革を実現する段階に入った。(改造内閣は)郵政民営化実現内閣、改革実現内閣と名付けていい」と述べ、改革断行への強い意欲を表明した。
さらに、「改革をさらに進めるための内閣改造と役員改選だ」と指摘した上で、自民党幹事長に武部氏を起用した理由について「郵政民営化はもちろん、改革路線を後戻りさせてはならないという強い使命感を持っている方だ」と語った。
自民党内になお反対論が強いことに関しては、「現在は民営化に反対の人も、結論を出す段階では賛成してくれると確信している」と強調した。
◆コメント:郵政民営化実現内閣というぐらいなら、どういうメリット・デメリットがあるのか、首相は国民に説明するべきだ。
先週、小泉純一郎内閣総理大臣は国連で演説して、日本が常任理事国になりたい、と訴えましたが、そのような大事なことを、国民に何の説明もなしに決めるとは、とんでもないことだと思いました。
この首相は大事なことを、何一つ国民に説明しません。
このたびの内閣改造に関しても、然り。「郵政民営化実現内閣だ」という。そんな馬鹿なことがありますか。郵政民営化は、関係閣僚と官庁が計画して、自分が監督すればいい。厚生労働省や文部科学省や、環境省が、どうして郵政民営化と関係があるのでしょう?
小泉さんは、そこまで言うのであれば、郵政民営化が何故、それほど大切なのかを、国民に説明するべきなのです。しないのは、出来ないか、都合の悪いことが有るからだと陰口をたたかれても、仕方がありません。
郵政民営化によって、国民にどのようなメリットデメリットが得られるのか、よくわかりません。郵政事業にしても、今なら、日本の中では封書は一律に80円です。コスト的にマイナスになっていると思うのですが、それは、国の後ろ盾があって吸収していたのでしょう。
しかし、民間企業になったら、遠隔地への郵便輸送のコストを補填するために、都会に住む人が比較的近くに出す郵便料金が高くなる可能性が、当然、あります。そういうことを全然、説明しないまま、ただ「民営化」「改革」の一点張りでは困ります。
困るだけでは、すまないのです。郵政事業のうち、郵貯・簡保は民間会社、民間金融機関として機能します。民営化されると、郵貯と、簡保はどうなるのでしょう?
◆自己資本比率
会社の財務内容を見るときにどうしても見なければならないものの一つに、貸借対照表(バランスシート)があります。
バランスシートの左側には、資金の使い道が書かれています。
バランスシートの右側には、その資金をどのように調達したか、が書かれています。
調達は、負債(つまり、借金)と、自己資本からなります。借金とは、銀行から借りたものや、社債を発行して手に入れたお金です。つまり、いつかは返さなければならない資金です。
これに対して、自己資本は、株式を発行して得たお金や、商売の利益の残りを積み立てたお金で、将来にわたって返す必要がないものです。
だから、自己資本の割合が高いほど、企業にとっては、返さなければならないおカネが少ない、ということなので、このましいのです。教科書風に云うと、財務体質が健全だ、というわけです。
自己資本の割合とは、総資産(負債と自己資本)のうち、自己資本が占める割合です。
自己資本比率=自己資本÷総資産(負債+自己資本)です。
普通の事業会社ならば、自己資本比率が50%以上あれば安全だといわれています(例えばトヨタ自動車は60%ぐらいです)が、金融機関の場合は、世界共通の基準があるのです。
◆日本の民間金融機関は少なくとも、4%の自己資本比率を要求される。
スイスの国際決済銀行(Bank for International Settlement 略してBIS、日本ではBISの決めた規制を「ビス(BIS)規制などと呼んでいます)のバーゼル銀行監督委員会という機関があります。
このバーゼル銀行監督委員会が決めた規則によると、どこの国の銀行も、国際業務を営むためには、自己資本比率が8%以上、国内業務だけ営むのであれば、4%以上なければならないのです。
8%と4%に格別の根拠があるとは思えません。バブルの頃にアメリカの不動産を買いまくっていた日本の銀行を見て、アメリカの銀行は、日本の銀行の自己資本比率がアメリカに比べて低いことに気がついたのです。日本は融資の際、不動産担保を取っているし、その価値が高かったので、自己資本比率はさほど気にしなくて良かったのです。
アメリカは、ああいうだだっ広い国ですから、不動産価値が低く、不動産担保をつけてもあまり担保価値がない。だから、自己資本比率を高めておくしかなかったのです。そもそも、業務を行う土壌・文化が違うのです。
にも関わらず、アメリカの銀行は、日本の銀行が世界に台頭してきて面白くないので、なんとか国際業務の継続を困難にしようと、当局に働きかけ、アメリカ政府は例のごり押しで、バーゼル委員会に基準を設けることを提案しました。日本は猛反対しましたが、決められてしまったのです。
そのような経緯はあるものの、とにかく、日本もこの「バーゼル合意」に加わっています。だから、去年、りそなは自己資本比率が4%に足りなくて、預金保険法102条というのを発動されて、国有化されたのです。
さて、この度、郵政事業を民営化すると、郵便貯金・簡易保険は民間金融機関になるのですから、金融庁が検査をしなければなりません。民間企業になる、とは、そういうことです。
◆郵貯・簡保の自己資本比率は?
郵貯・簡保の自己資本比率はどれぐらいでしょう?
なんと、0.3%しかないことが、明らかになりました。
そして、郵貯・簡保が国民から預かった資金は、道路公団や国民金融公庫などの特殊法人、第3セクターなどに、貸し出されていますが、ご存じのとおり、道路公団は大赤字で、これだけでも40兆円もの不良債権です。
全貌を明らかにしたら、気の遠くなるような、「不良債権の塊」でしょう。恐らく、天文学的な金額になる、といわれているのです。
さて、自己資本0.3%。去年国有化されたりそなですら、4%をわずかに下回っただけなのに、郵貯・簡保はその10分の1もありません。
自己資本が足りなければ、どうなるのでしたっけ?
国有化されるのではなかったのですか?
小泉首相、どうするのですか?民営化された、郵貯・簡保に公的資金を注入して、国有化するのですか?
元に戻ってしまいますね。「すごろく」ですか。「ふりだしに戻る」・・・・。
まさか、まさか、旧長期信用銀行の時のように、国有化、自己資本充実のために、税金を7兆円も使って起きながら、外資系ファンドに10億円で売り払う、というようなことを目論んでいるのではないでしょうね。ブッシュ氏からはそのような圧力がかかっているという噂も、丸の内、霞ヶ関、永田町ではちらほら・・・。
今の状態で、郵政事業を民営化すると、そのように勘ぐられてもしかたがないのですよ。
2003年09月29日(月) 「<北極圏>温暖化で最大の氷床崩壊」環境問題は想像以上に深刻なのです。