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JIROの独断的日記
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2003年11月23日(日) 小泉君が平然としている理由=100人の専門家から成る「警視庁総理大臣官邸警備隊」の存在など。

◆警視庁のサイト:「警察のテロ対策」より

米国の同時多発テロ事件発生以降、警察においては、日々生起する警察事象に対応しながら、情報収集及び重要施設の警戒強化をはじめとするテロ対策に全力で取り組んでいるところです。

テロは一度実行に移されると途中で阻止することは極めて困難であり、テロ対策上、未然防止を図ることが最も重要です。

そのため警察では、関係機関と連携して、テロ関連情報の収集に努めるとともに、国際テロリストの潜入防止を図るための水際対策、ハイジャック防止対策及び全国の重要施設に対する警戒強化等総合的な対策を講じて、テロ等不法事案の未然防止を図っているところです。

特に原子力関連施設に関しては、機動隊銃器対策部隊により「原子力関連施設警戒隊」を編成するなどして警戒強化を図っているほか、昨年4月に使用が開始された新総理大臣官邸に関しては、専門的知識・技能を有する官邸警備の専門部隊として約100人体制の「警視庁総理大臣官邸警備隊」を新設し、警備の万全を期しています。

◆所感:要するに民間人は犠牲になっても仕方が無い、という考え方である。

上の資料は、警視庁のサイトから拾ってきたのですが、警察のテロ対策という項目はPDFファイルにして1ページ分しか書かれていない。そして、読めば分かるとおり、原子力発電所(これは確かに警備しなければならないですが)、と首相官邸のことばかり重要視していて、民間の施設が襲われるのを防ぐことについては何も書かれていないのです。

また、テロに対抗できる組織としては、警察と並んで当然自衛隊があります。国内の治安を維持する責任はまず、警察にあるけれども、警察力じゃ足りないときには、自衛隊が「治安出動」といって、いわば、警察官の臨時増員のような形で出動できるのです。

以前は、自衛隊の任務は「防衛出動」(外国に攻めてこられたときに、日本を守ること)、治安出動(上述)、災害出動(台風や地震のときに自衛隊が出動するのはニュースでしばしば見ますね)の三つだったのです。

しかし、2年前、2001年にテロ対策特別措置法を成立させるときに、自衛隊法も改正されました。その結果、「警護出動」というのもできるようになりました。

警護出動とは、
 (自衛隊の施設等の警護出動)
第八一条の二
首相は、本邦内にある次に掲げる施設または施設および区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家もしくは他人にこれを強要し、または社会に不安もしくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、または重要な施設その他の物を破壊する行為が行われる恐れがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設または施設および区域の警護のため部隊等の出動を命ずることができる。
一 自衛隊の施設
二 日米安全保障条約第六条に基づく施設および区域ならびに日米地位協定第二条第一項の施設および区域(以下略)

要するに、怪しい奴がいて、多くの人を殺傷しそうなときに、内閣総理大臣はこれを防ぐために自衛隊の出動を命令する事ができるのです。と、いうと、頼もしく聞こえますが、守る対象が、上の規定を読めば分かるとおり、自衛隊の施設か、米軍基地やその関連施設に限られているのです。

新宿の高層ビルに飛行機で突っ込む、というテロリストの通信を傍受して、物凄い被害が出ることが分かっていても、今の法律ではどうにもならないのです。

小泉君が「テロに屈しない」を繰り返す理由の一つが良く分かりますね。新しい首相官邸は、地下に核シェルターがあって、核攻撃にも耐えられる。そのうえ、セキュリティのエキスパートを集めて官邸を守らせている。東京の中心部でテロが実行されても、自分が死ぬ事はないのです。民間人が死んでも、選挙は終わったばかり、絶対安定多数は確保。とりあえず、構わないというのがこの人の本音でしょう。

911テロの後は、航空関係の警備は強化されているけれども、やろうと思えば、テロリストは東南アジアで簡単にパスポートを偽造できる上に、四方を海に囲まれている日本へは、船を使って簡単に入ってくることができるのは、不法滞在者の多さを見ればよくわかるでしょう。公安警察は、某県にあるモスク(イスラム教の寺院)に出入りするイスラム教徒などの行動を監視しているというけれども、その程度で大丈夫なのかな。もちろん、公安警察がいちいち活動状況を公表するわけはない、というか、したら、馬鹿ですからね。本当の実態はわからない。

しかし、冒頭の警察の資料や、改正自衛隊法などをみるかぎり、日本国政府は民間の被害というものをあまり心配していないように思われます。

以前、小泉内閣メールマガジンに、作家の曽野綾子さんが「総理と官邸」という一文を書きました。総理は自ら命をかけているという覚悟を持ち、国民にそれを示すべきだ、という内容です。↓に引用しておきます。

● 総理と官邸(教育改革国民会議委員 曾野綾子)

日本人があまり考えたこともなく、マスコミもあまり言わないが、新しくできた、と言われる総理官邸ほど不思議なものはない。理由は、一般の国民は誰も見たことがない、ということである。

確かに幾つかの週刊誌で、その一部の写真は公開された。しかし私は東京に住み、私の職場は総理官邸のごく近くにあるのだが、官邸の前の道路は一般の車に対しては封鎖されているので、総理官邸の建物の一部さえ、ちらとも見る機会がないのである。裏側からちらと見える角度はあるそうだが・・


もちろんこれは総理の責任ではない。それだけの建物ができるまでには、長い年月がかかっている筈だから、最初の企画者たちが案を練り発注したのである。しかし一般の国民は、建物がだめならせめてその前を自然に通りかかることがあって門だけでも見ることができることは必要だろう。皮肉を言えば、総理官邸というものは多分あるのだろうが、実証的な小説家である私は、見たことがない以上その存在を信じないことにしようと思っている。

世界中の首相官邸とか大統領府とかいうものは、直接関係のない人でも一部は見ることができるものである。ダウニング街十番地という名で通る英国の首相官邸は、写真で見る限り普通の家のようである。アメリカの大統領官邸はよく知っている。近づいたことさえないのだが、アメリカ映画でさんざんあの楕円形の執務室が出て来るから、知っているような気分になれるのである。

皇居も自然林の中だが、二重橋という抽象的な姿で国民の眼にふれる。しかし総理官邸だけは全くわからない。つまり顔がないのである。

安全を考えたのかもしれないが、それなら広大な地下壕でよかったのではないか。去年の9月11日のテロ以来、確かに要人警護は困難な仕事になった。しかし、一国の総理のいる場所を国民が全く見られない、ということは異常であるし、政治の基本姿勢と関係があるだろう。

警護に当る警察には申し訳ないことだが、一国を指揮する人のいる場所は、いかなる危険に遭おうとも、毅然として人の眼にふれていなければならない。
そこに国旗がはためき、観光バスが停まり、人々がその前で記念写真を撮れるようになっていなければならない。それでこそ、総理という人は多分生命を賭して国家を担っているのだろう、と実感できるのである。

 ヒットラーの最期は、ベルリンの地下壕の中であった。

◆所感2:
いいことをいっていますね。


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