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JIROの独断的日記
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2003年09月04日(木) 食わず嫌い、物はためし・・・今日はブルックナーの誕生日。

 例えば、自分が読んで面白いと思った本を知人にも読むように勧め、その人が何日か後に、「あの本、面白かったぁ」と目を輝かせていたら、誰でも嬉しいでしょう。感動なり興味を他人と分かち合う喜び、ということですな。
 
 私が、クラシック音楽のことをときどきこの日記に書く理由の一つに、それと同じような期待があるわけです。
 
 さて、ブルックナー(Anton Bruckner 1824‐96)という人は、19世紀のオーストリアの作曲家です。ずっと協会のオルガニスト(オルガン奏者)を務めていて、作曲を習い始めたのが30代になってから。最初の交響曲を書き始めたのは39歳という遅さ。ちなみに、モーツァルトは8歳の時に最初の交響曲を作曲しています。既に完成された作風でした。
 
 そうして、ブルックナーの交響曲というのはとっつきにくいのです。親しみやすいメロディーが初めにサラーっと流れてくる、なんていうことは絶対にないのです。だから本当に評価されるようになったのは、死の4年前ごろからだったそうです。物凄い大器晩成です。
 
 実をいうと、私はブルックナーってのは苦手なんです。好きな人は神様みたいにいいます。ある音楽評論家は大袈裟にも、「ブルックナーの交響曲は時空を超えた、宇宙の音楽なのだ」なんて言ってます。一方嫌いな人も大勢います。プロの音楽家、しかも超一流の音楽家の中にも。アシュケナージという世界の何本指にはいるというようなピアニストで指揮者もやっている人がいるのですが、この人はブルックナーなんて意味の無い退屈な音の羅列にしか聞こえない、なんて、ブルックナーファンから暗殺されるのではないか、と心配になるようなことを言っています。
 
 私は、これからクラシックを何か聴いてみたいという人がいたら、どうしてもバッハかモーツァルトの作品から選びますが、それが、すべての人にとってベストチョイスとはかぎらないのは勿論です。
 
 日本経済新聞は最終面が文化面になっています。音楽の話も時々載りますが、以前とても印象的な体験談がありました。
 
 書いている人は有名人でも何でもない、東京の某所の商店主。フツーのおじさん。以前は、パチンコとマージャンと競馬が趣味だったそうです。ところがその人がある日近所に新しく出来た図書館に行ってみて、人生が大きくかわりました。ご存知のとおり今の図書館はCDを聴いたり借りたりできるわけですね。で、そのおじさんも、その日、たまたま、何か聴いてみようと思った。どうせなら、聴いた事がないクラシックを聴いてみようと面白半分に考えたそうです。
 
 係員にもいろいろ教えてもらったら、どうやら、ブルックナーってのがかなり本格的にクラシックらしい・・・というわけで、なんと、ブルックナーの中でも一番長い曲の一つ、第8番を借りてきた。クラシックの曲は長いから嫌いだという人がいますが、この曲は長いなんてものじゃない。普通のポップスとかなら、一枚のCDに数十曲入るでしょう? ブルックナーの交響曲第8番は、一曲なのに、一枚のCDに収まりきらないのです。
 
 ところが、世の中面白いもので、このおじさんは一回ブルックナーの交響曲第8番を聴いたら、すっかり気に入ってしまったそうです。それまで全然クラシックなんか聴いた事がなかったのに。それからは、ブルックナーの他の交響曲も次々に聴くようになって、あっという間にブルックナー通になってしまった。
 
 そして、ついにブルックナー同好会までつくってしまって、時々同じようなおじさん達が集まって、ブルックナーを語り合うのだそうです。それでいて、この方々、堅苦しいとか暗いとかいう雰囲気とは無縁なのですね。やたらと楽しそうです。
 
 この記事を読んだときは、驚きました。こんなこともあるんだと思いました。
 
 別にブルックナーじゃなくてもいいのですが、要するに、私たちは食わず嫌いをしていることが多いです。殆どの人はそうだ。しかし、ものはためし、ということで、全然違う芸術に触れてみると、意外に気に入る事があるかもしれませんよ。と、いうお話でした。


2002年09月04日(水) アメリカの馬鹿

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