外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2003年08月26日(火) 「弔事は全てに優先する」、ということぐらいは知っていてほしい。「村八分」は何故「八分」なのか。

 若い人はパソコンやネットのことは詳しいけど、冠婚葬祭のことなどはあまり知らないだろう。年寄りの方がこういう事に詳しいのは当たり前だ。しかし、子供なら「まあ、仕方が無い」で済まされるけれども、ハイティーンから20代ぐらいになったら、最低限の事は知っておいた方が良いですね。

 弔事(ちょうじ)は、もちろんお葬式のこと(狭義にはね)。反対語は?慶事ですな。その代表的なものは結婚式。

 弔事は全てに優先されます。仮に何ヶ月も前から、明日友人の結婚式に出席する事が決まっていたのだが、今日、身内や親友に不幸があった。という場合、結婚式は欠席して、お通夜へ行くのは構わない、というか、そうするべきなのです。何故って、そう決まってるの。嬉しい人は放っておいてもいいんだよ。1人ぐらい居なくても関係ない。不幸があった家というのは、悲しいことに耐えて、客をもてなしたり、いろんな手続をしなくてはいけない。だから、なるべく手伝ってやらねばならない。勿論、それほど親しくない場合は無理に介入する事はないけれどもね。

 それから、弔事の席で仕事の話などをしてはいけない。当事者が、取引先だったら当たり前。自分の会社の人間だとしても、ちょっと急いで相談したい事がある、という場合でも、してはいけない。これは私に嫌な記憶があるのだ。

 もう、だいぶ以前のことになるが、私がロンドン駐在中に父親が死に、急遽帰国した。会社の人間が大勢葬儀に参列してくれたので、翌日だったか、翌々日だったか、喪主代理の兄と挨拶に行った。そこで、ある事件が起きた。

 いつも、東京-ロンドン間で連絡を取り合っている私の仕事関係の部署の女の子が、お客さんのことで相談がある、といってきたのだ。東京経由でロンドンに廻っているお客さんの指値注文のことで、トラブっているらしい。血相を変えている。しかし、こういうとき、この女の子は、私にそういう相談をしてはいけないのである。

 私は怒って云った。
 「私は、親の葬式のために一時帰国している。仕事どころではない。」

 これが、正しいのである。本音を書くならば、この時、当の女の子が女でなければ、ぶん殴るところであった。本当に情なかった。

 だから、若い人にはとにかく「弔事は全てに優先するのだ」ということぐらいは覚えていて欲しいのである。

 「村八分」という言葉がある。広辞苑第五版には「江戸時代以降、村民に規約違反などの行為があった時、全村が申合せにより、その家との交際や取引などを断つ私的制裁。」とある。

 しかし、何故「八分」なのか知っていますか?

 答えを書いてしまうと、「弔事と火事の場合は除く」ということなのである。つまり、その家とは原則として、絶交するのだが、人が死んだとき、火事になったときは気の毒だから、例外的に絶交を一事解除して、助けてやる、という意味なのである。 制裁の中にも温かみがあるね。

 要するに、ことほどさように、「弔事」は全てに優先するものなのだ、という日本社会の常識を、この例は端的に示している。おしまい。


JIRO |HomePage

My追加