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JIROの独断的日記
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2003年04月29日(火) 【中国】北京邦人に帰国勧める、SARSで政府・・・それでも駐在員を帰国させない企業は何を考えているのか。

◆記事
外務省は29日、北京市の在留邦人に対し、一時帰国を勧めるコメントを発表した。新型肺炎SARSのまん延に伴う措置。北京市の危険情報は22日に出した「渡航の是非を検討して下さい」のままだが、これに「一時的に北京市を離れることが可能な方は、帰国の可能性を含め検討されることをおすすめします」と在留邦人向けの注意を追加した。在北京日本大使館は「勧告とは言えないが実質的に帰国を勧めるもの」としている。外務省は同時に、危険地域の範囲を中国全土に拡大、全地域を「十分注意して下さい」に指定した。

◆所感:
 最近数十年で、これほど世界を震撼させた感染症はない。AIDSも恐ろしいけれども、あの病気は主として性行為で感染する。

 これに対して、SARSは空気感染、飛沫感染する。まるで現代のペストだ。ヒトゲノムの解読を完了した現代科学をもってしても、いまだに治療法が確立されない。人類が初めて出遭った病である。

 外務省の勧告も遅すぎるぐらいだが、私があきれるのは、商社などが、駐在員の家族は帰国させても、駐在員本人の帰国をさほど真剣に検討していないという事実である。もともと商社は危険を承知で、世界の果てまで物を売って歩く商人であり、その執念はすさまじいものがある。彼らのおかげで、made in Japan が世界に名をとどろかせたわけである。

 しかし、物事の軽重を見誤ってはいけない。生命は尊貴である。これほど危険な感染症が蔓延している国に自社の社員を置きっぱなしにしておくということは、その生命よりも金儲けの方が大切なものなのだ、と公言しているに等しい。

 どんなに、気を張り詰めていても、ウィルスが体内に侵入すれば、発病する確率は非常に高い。根性で何とかなると考えているのならば、「大和魂」さえあれば、アメリカとの戦争に勝てる、と考えていた、60年前の人々から進歩していないといってよい。

 物事を合理的に考える、という習慣を身につけないと、とんでもない事が起きる。


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