OH GREAT RABI RABI

抗生物質でぼくたちは育った
2004年04月19日(月)







きりんはあんまりに身に近いから




首長竜の輪切りにしたよ。




ぼくたちはかすめるくらいに切なく思って、




すこし泣いた。




竜の捕らえられた日の朝焼けは




菫色がかっていたと云うよ。




背びれはさざなみのようだった。




数人の子供が押しながされていったよ。




そして長く、霧笛が鳴った。




世界さいごの竜が死んだ知らせだ。




ぼくたちはめいめいに割りふられたじょうぎで




竜の首を切ってゆき





子供たちを救いだした。





子供たちの犬歯はやさしい牙に変化していた。




それはそうときりんの話だ。




きりんはあんまり身に近く、




そのくせけして目があわない。




きりんは遠くを見ている、




高くでなく遠く、




いつも。




ぼくたちは肩を抜きながら餌を投げあげ、




きりんは餌に食われる。




あとにはペレットで出来たきりんが残る。




ぼくたちはそうしたきりんを食べて育った。




ぼくたちはくしゃみをしない。




吐いたりもしない。




あくびはときどきする。




















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