OH GREAT RABI RABI

夏にはじかれたアジサシのこと
2003年10月22日(水)



夏にはじかれたアジサシのこと




アジサシのなきごえは
ぼくの使命に変換される。
たちおくれた一羽のアジサシのために
ぼくは夏を引きもどす。

その過程。

ホウセンカのパラシュート。
空はしろい。
飛ぶではなく
含まれているように思う。
ぼくたちは冬に含まれている。
ひこうきぐものあとから刀が出現する。

セータをうらかえしに着た少年は
夏を象徴する。
さむざむしいと発音するときに
うまれる風はとてもささくれ、
少年のくちびるはひびわれる。
それでも少年は冬を否定する。
少年の静脈は夏のいろをしている。

ぼくは刀で冬将軍をころす。
風が死に、次の風はクラウチングであたらしい発声をまつ。
もしくは蝶のはばたき、

冬将軍をころしました。
ぼくは報告する。
あなたはいつでももどることが可能です。
夏はくちごもる。
わたしを迎える場所はあっても、含まれるものはない。
彼がいます、とぼくは云う。

やがて夏はむせびはじめる。
すぼめた口からもれる息にあわせ
アジサシはゆっくりと翼を上下させる。
夏のいちばん最初のことばで
アジサシはたつ。あるいは発射される。
しかし彼は含まれそこねる。
彼は群れを追いぬき、まえの冬へたどりつく。
そこで再びなきはじめる。
ぼくはまえの冬将軍をころす。
くりかえされる発射。
冬の到来。
アジサシはなく。
ぼくは冬将軍をころしにいく、


この世界には冬はながいこと来ていない。
一羽のアジサシのために。

















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