スカーレットの心のつぶやき
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2016年06月07日(火) 唯一の楽しみ

夫が亡くなってからの私は

以前、できていたことが出来なくなった。

絵手紙が描けない。

文章を書いて投稿出来ない。

ピアノを弾けない。

何のために生きているのかわからない。

そんな状態での唯一の楽しみは

食べることだ。

元々食べることには特別の関心があった。

それは若い頃に拒食症になり

食べる行為が普通ではなく

私にとって特別なものになってから

この年になるまで

私の中では意味のある行為となってしまったからだ。

だから決してグルメではないが

美味しいものを食べたい

吐くことなくおなかに収めたい

そう思うようになった。

そして、家で一人で食べるのがむなしくなり

夜のごはんは何でもいいから

せめてお昼ご飯をまともに食べようと決心した。

食事というものは

誰か食べてくれる人が居て

初めて作る気になる。

自分のために食事を用意はするけれど

手抜きしたものになってしまう。

一緒に食べてくれる人が居ることが

そんなにも幸せなことだったことに

夫が亡くなって痛切に感じている。

夫が入院していた時も

家で一人で食べてはいたが

また帰って来てくれるという安心感があった。

それが無くなった。

永久に、未来永劫、私は一人で食べることになったのだ。

楽だけれど淋しい。

そこで、お昼、だれかと一緒に美味しいものを食べるのが

私の今の一番の楽しみとなってしまった。

昨日は私にとってはとても贅沢なランチを食べに行った。

「梅の花」というお豆腐料理のお店だ。

¥2480円はランチにしてはちょっと高いと感じる。

でも、店の雰囲気、お料理すべてが

その値段にマッチしたものだった。

二時間、友人としゃべりながら味わう時間は

至福の時間だった。

行って本当に良かった。

ひと月毎にメニューが変わるとのこと。

ひと月に一回行くのが難しいなら

せめて一年に四回

春夏秋冬の味を楽しみに行きたいと思う。

ちょっとおめかしして何処か京都の料理屋さんにでも行ったような

日常から離れた気持ちで過ごすお昼の時間。

私にとってのささやかなぜいたくな時間。

今度は娘たちを連れて行ってやりたいと思う。

ごちそうさまでした。


スカーレット