スカーレットの心のつぶやき
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2005年10月16日(日) 黄色いリンゴ

10月も半ばになり空気もすっかり秋を感じるようになった。

秋と言えば食欲の秋と連想する人も多いだろう。

店先には今が旬の果物が色々と並んでいる。

私の好きな葡萄は大分少なくなり

その代わりにリンゴが並び始めた。

リンゴは夫の大の好物だ。

出始めの頃は津軽という品種のリンゴしかなかったのが

最近は陸奥、王林の姿を見るようになった。

今日初めて黄色い王林を買った。

ライトグリーンにほんのりと紅が注し

甘酸っぱい爽やかさが特徴だ。

皮に茶色の点々がある。

甘味もあり私の好きなリンゴだ。

黄色いリンゴを見ていると

私が小さい頃に母から聞いた話を思い出す。

ある女の子が重い病気になった。

入院先でも治療方法が難しくて

なかなか良くならない。

大学病院へ転院することになった。

女の子の命はもうあまり長くはなかった。

看病する母親に

女の子はリンゴが食べたいと言った。

時期は夏、

リンゴは売られてなかった。

今では四季を問わず果物は売られているが

40年前のことだから

旬の時しか売られてなかった。

女の子の母親は女の子の枕元で

父親が汽車の中で買ったみかんの網を使って

リンゴを作った。

女の子はその網で出来たリンゴを見て

とても喜んだと言う。

ネットの色でリンゴは黄色いリンゴになっていた。

父親はその時の娘の気持ちを思って

題名を「黄色いりんご」という文章を書いた。

きっと心を痛めていただろう。

父親の心情がよく現れていたと思う。

私の母はその文章を読み私に話して聞かせてくれた。

幼かった私はその話を聞いた時泣いたのを覚えている。

そして今もその文章が私の心に残っている。

秋になりリンゴの季節がやってくると

毎年思い出す話だ。

女の子の仏壇にはきっと今もリンゴがお供えされているのだろう。

ちょっと甘酸っぱい想いと共に

黄色いリンゴ「王林」を初めて味わった。


スカーレット