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誤字脱字やら単語が中途半端に途中だとか色々あるけど気にしない。

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誰が為に君は歌を歌うか
2002年08月27日(火)

歌を歌う。
誰かのために、
君のために、
僕のために。


聞きなれないフレーズが耳に微かに残る。
歌を歌ったのは亜久津。
歌は微かで歌詞もよく聞き取れはしなかったのだが。

「なぁに、その歌」
「…は?」
「いや、だから今の歌、よ」
「………あー……忘れた」
「何それ」
「……どうでもいいだろ、」
「………うーん……じゃあ何で歌ったの?」
「…………なんでも、ねぇよ…」

気温はもう暑くなりはじめている。
…夏が来る頃。

彼は屋上のフェンスによりかかってグラウンドを見ていた。
彼の指に挟まっている煙草の煙が微かに空へのぼり、消えて行っていた。
僕は彼の隣に座り込んで彼を見てた。
見上げて見た彼の顔はどことなく、寂しいとでも言いたそうな顔をしていたが、なぜか訳は聞けなかった。
声が出なかった。
暑苦しかった。
肌がべたつく感じがした。
夏が来たと思った。


その日で一学期は終りだった。
いつものように放課後も近くなって勝手に入った屋上は静かだった。
君と僕の声しか聞こえなかった。




ねぇ、誰のために歌ったの、君は、その歌を。






覚えているのはたったワンフレーズ。
「…君が口ずさむ、僕が聞いてる 聞き覚えのないメロディー…」



ここに彼はもう居ない。
それが何の曲だったかなんて僕にはきっと永遠にわかりはしない。
彼が思い出さない限り、そして彼にあわないかぎり。



彼はあの歌を歌っていた次の日、居なくなった。




テニス留学、を。
行かないと行っていたテニス留学へと、旅立ってしまった。



僕一人残して。

お互いに、さよならも何も言える事無く。



おかげで僕はこうして彼の居なくなった屋上で、彼のようにフェンスによりかかり、空をみて、彼を思い出している。


この空のように、この歌が彼に届く事は無いのだ。
この声が、彼に聞かれる事は無いのだ。


多分、永遠に。



あの日君が誰のために歌を歌ったのかも、僕は、知ることも無く。

--
亜久津が歌ったのは誰のためかは御想像に任せる。
それは誰のためでもないかもしれないし、誰かのためかも知れないのだし。
書いてる私はどれだっていい。とりかた一つで話が変わればいいと思う。

ちなみに歌はスガシカオの。…タイトル忘れちゃったけど。
あの、「ブギーポップは笑わない」のオープニングだったやつ。
好きなんだ。

そういえば、タイトルも歌手もわかんないんだけど(たしか青い鳥だった気がするんだけど)、かなり途中の部分(しかもうろ覚え)なんですが
「彷徨う2人残して 空に消えた青い鳥 ちぎれたままでいい 壊れたままでいい 君といられるなら 永遠に 乾いた夢 愛する事の痛み 全て此処に埋めて君と眠り続けよう」とかいうのが入ってる曲。
すっごい好きなんだけど、もー何年も前に一度聞いたきりなんだ…ふ、と適当につけたラジオ番組で聞いたんでメジャーじゃないかもしれない。
気になる……知ってる人いませんかね………。うーCD出てるなら欲しいよー欲しいよー!

どうでもいいけど文章の書き方をすっかり忘れている気がする。




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