少しずつ目減りしていく給料の明細を見て思う。これとさして変らぬ額を、10年以上前にもらっていたなと。そして、7、8年から10年前にはもっともらっていたのだと。独身時代の終りで、欲しいものは一通り揃っていた。似たような境遇の友人がいみじくも言っていたものだった。「ワシの欲しいもんはなぁ、もう金では買われへんのや」。渦中にいるとき、その実感はまるでなかった。しかし、今にして思う。バブルの恩恵を自分も受けていたのだと。