短いのはお好き?
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二日間つづけて人魚が捕れたなんて、ほんとうに奇跡というほかない。
やっぱりばーちゃんの言っていた通りだった。
捕ろうとしちゃだめなんだね。そこがむずかしいところだけれど。
それにしても、きのうの人魚は綺麗だったな。
売らないでお嫁さんにしたいくらいだった。
あ!
もしかして、そういうことなのかもしれない。
人魚をお嫁さんにもらえってことなのかも。
いや、きっとそうだ。だって人魚が二日間つづけて捕れたなんて夢の出来事みたいなもんだし。
よし、明日もしまた人魚が網にかかったていたら、その人魚と結婚しよう。
俺はそう固く心に誓いながら、網の仕掛けてあるシギの群生している浅瀬へと舟を漕ぎ出した。
魚たちは、光合成によってシギの茎から発生する酸素を吸いに集まってくるのだ。
きっと人魚は、満潮時にこの支流へと入り込んでしまったのだろう。
俺はいつものように投げ縄を持ち、小舟の上で脚を広げて踏ん張るようにして立ち、網を投げる。
はじめのうちは、踏ん張って投げれば投げるほど舟は後ろへと流れ、つんのめって転げ落ちないようにするのが精一杯だったことを思い出した。
少し慣れてくると、踏ん張るのがいけないということがわかった。
そこで踏ん張らずに立って、腰で投げずに腕だけで投げた。
でも、その投げ方によって腰をやられてしまうとは思ってもみなかった。
で、結局今の投げ方をあみだしたのだ。
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