短いのはお好き?
DiaryINDEX|past|will
「さようなら、リクオくん」
ゆうべサワは、そう囁くようにいいながら静かに息をひきとったのだという。
そのことを知ったぼくは、なんでもっと早くサワに告白しなかったんだろうと自分を責めつづけた。
告白しようしようと思いつつ、結局怖くてできなかった自分が恨めしかった。
しかし、憧れのマドンナだったサワがぼくのことを好きだったなんて! 俄かに信じ難いことだけれども、死の間際に嘘なんてつける余裕がある筈もないんだから、サワの最期のメッセージはぼくへの告白 に違いない。
カヲルにユリ、マリ、ケイコにマミ、ユミ、サヤカにミナ、カナ、メグミ…ぼくの周りには結構可愛い女の子がうじゃうじゃいたけれども、いちばん好きなのはずっとサワだった。
もしかしたならば、サワも両想いだったってことに今ごろ気付いているかもしれない。そんな気がするのだった。
サワは和歌山の出身で、関東を離れたことのないぼくには、サワの関西弁がとても好ましく思えた。
憧れのマドンナだったサワがぼくのことを好きだったなんて!
ぼくはいま、猛烈に感動している。
たった一度でいいからサワと手をつないでデートしたかったなぁ。
ぼくはいま…
ぼくはいま…
「ハルオ〜、ごはんよ〜」
「はーい」
という、いい返事をしながら、リクオとは全然関係ない、ハルオは階下に降りていった…。
|