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2003年10月23日(木) ☆読書ニッキ☆ 黒曜堂★藤沢 周




実は、あちら側にいっちゃってる人のお話。


主人公の他にもうひとりあちら側に完全にいっちゃっているように見える不思議な女性が核となって進行してゆき、事件がらみのサイドストーリー的なものも用意されているが、展開という展開はない。



物語の後半でやっと明かされる主人公小野沢の特別な能力。そして彼はそれによ
って翻弄されまくっているのだけれども、未来と現在の境界線がどこにあるのか
読者も作者に最後まで翻弄される。



妙子との最初の???は予知能力のなせる技だっとは…。それも克明に描写され
妙子の言葉も一言一句洩れはないのだろうと思われる。



どこでいつそういったあちら側へのスイッチが入るのかはよくわからないのだけれど、地下鉄の階段を上るときとかに何万ヘルツだかの高い音が聞こえるなど異様な
違和感を顕著に感じるといい、狂気への伏線は冒頭に既に顕されていたわけである。



そこにもうひとり、常に自分ではない誰かになりたがっているミステリアスな女性
が絡んできて、小野沢の狂気を狂気で以て隠匿するような役目を担っているよう
である。



しかし、実は彼女は病んではいるけれども正気を保っているようであり、それは
退職前の刑事の弁からも窺われる。



問題のエンディングだが繰り返し素晴らしい記憶力とか小野沢が彼女に対して述
べていることからどうやら、エンディングに展開されている光景は小野沢の予知
の影像だということがわかる。



というのは、誤りであって実は前回の彼女とのやりとりこそが未来での彼女との
やりとりを先取りした白日の予知夢だったのかも知れない。



もうそこらへんは現実なのか予知なのか杳としてまったくわからない混沌の世界
である。



というわけだから、ミステリアスな女性とのHも実は、これからおこるであろう未来での出来事なのだろう。



最後の自分自身の顔が窓から覗きこんでいたというのは、小野沢の狂気を端的に
顕したともとれるし、この光景自体が小野沢の予知夢であることの証左であるの
かもしれない。



いや、もしかしたなら彼こそが別人格になりたいと願ってやまない張本人なのかもしれず、となると彼の未来を予知する能力すら自分の都合のいい解釈にすぎないのかもしれない。つまり、ただの願望を夢見るという狂気なのやもしれないのだ。



語り部は彼自身なのであるから、すべてが狂気なのかもしれない。





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