母のタイムスリップ日記
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午後 母の所に出かけた。 母は「やぁ〜」という風に手を上げてた。
荷物を置いて トイレ誘導。 「ワッ」と泣きながら「…助かるぅ〜」と言った。 耳を疑ったが 確かにそう言った。 パンツは小がたっぷりだった。
母がお腹を押えているので お腹をマッサージしたら「大」少量排出。 緩めだが これでよい。
母と居室でゆっくり過ごそうとしたら 入所者のご家族が挨拶に見えたので「良かったらご一緒に...」と誘った。 母の部屋へ車椅子を押して見えた。 最近 体調不良で ベットで寝ている時間が長く まどろんでいる事が多いのだが 今日はすっきりとした表情だった。 「家族効果」とでも言うのだろうか? 「嬉しいわね」と言ったら「うん 嬉しい」とニコニコ。 横になっている事が多いので 手に刺激が行くように柔らかなボールを1個差し上げてた。 居室に見えた時 別のくにゃくにゃボールを両手に握って貰ったら ギュッギュッと握られ その度にボールが動くのが見て取れた。 「あ〜 こういうことなのですね」とご家族は気がついた様子だった。 「それとじゃんけんがお好きな方なので グー チョキ パー を出してみるのもいいかも」と伝えた。 グーが出せたら グーを出そうと考えた結果の動作なのである。 意識が薄いと グーも出せない。 「あ そういうことですね」と受け止めてくださった。
何をしてあげれば良いのか判らなくて ただただ傍で過されるご家族だった。そして 帰路 落ちた能力を嘆いて涙を零して歩くのだそうだ。 そのお話を伺ってから 出来る限りわかる範囲で遊べる手段を伝えるようにしている。 一人子で育ち 何でもお母様がしてくださり お母様にして差し上げる事が出来ないのだそうだ。 ほんとうに いろんな方がおいでである。
でもいろんな事が判ってくると 何をしてあげれば良いのかみえてくるようだったし 気持ちが落ち込むことも少なくなったきたと話された。
「歌が好きだったから...」と歌を唄ってくださった。 ご本人も歌われていた。 「お母様は歌は?」と聴かれた。 この方が入所なさった頃には 母の歌声が消え始めた頃だった。 だから 歌が大好きな母を知らないのだ。 そうそう 母が言葉を発したと驚かれたりもした。
母は 私の隣に座してじっと話に耳を傾け ニコニコしたり 俯いたりだった。
暫くして お部屋に戻られた。
家から和紙の折り紙を持参したので 折り紙を折った。 折り鶴を台紙に貼り 飾りを作った。 それを個々のお部屋の入り口に貼り付けた。 折り鶴は ご家族にも折って戴いた。 職員もお手伝いしてくださった。 「はい 折ってください。先ずは三角に折って」と母に向かって職員さんが話した。 すると折り方も忘れている母の手が僅かに動いた。 作ろうとする意志を感じた。 結局折れはしなかったけれど...。 諦めないで 言葉を掛ける事がやっぱり大事だなぁ〜。
歩行も落ち着いており 施設内歩行をした。
夕刻 母と居室で賛美歌を唄った。 その時「わかった」といった。 賛美歌を口ずさむ事は無かったけれど でも届いているのだと感じた。 母の目には 涙が溜まっていた。 これも母との約束だ。 「自分にとって大切なものを失いたくない」と母は言っていたのだ。
ホールに出て テーブルに着いたところで そうっと施設を後にした。
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