2016年01月10日(日) |
西加奈子『サラバ!(下)』★★★☆☆ |
西加奈子『サラバ!(下)]』
登場人物がとても生き生きしていて、それぞれに感情移入しながら読むことができました。 理解しがたい人物に対しても、どうなっていくんだろうと気になりながら読み進めていきました。
「『なんでもどうでもよくなるんよ。』 それこそが大切だった。りっぱなものであってはいけない。こちらを畏怖させるものであってはならない。この世で起こっている様々な出来事を、『どうでもよくなる』と、思わせるもの。」(p120)
「あの子には、自分で、自分の信じるものを見つけなあかん、て言うたんや。」(p121)
「いつまで、そうやってるつもりなの?」(p239)
読者自身にも突きつけられる問い。
「僕には分かっていた。僕だって、そう思っていた。自分はいつまでそうしているつもりなのだろうか。自ら為すことなく、人間関係を常に相手のせいにし、じっと何かを待つだけの、この生活を、いつまで続けるつもりなのだろうか。 でもそれを突きつけられると、苦しくなるのは分かっていた。苦しくなるのを分かっているから、僕はその質問から全力で逃げていた。」(p239)
「あなたも、信じるものを見つけなさい。あなただけが信じられるものを。他の誰かと比べてはだめ。もちろん私とも、家族とも、友達ともよ。あなたはあなたなの。あなたは、あなたでしかないのよ。」(p250)
「あなたは、あなたの信じるものを見つけてほしい。 そしてこの物語に、信じるものを見つけることができなかったのであれば、他の物語を読んでほしい。この世界には、数え切れないほどの素晴らしい物語が存在している。何を信じるのかは、いつだって、あなたに委ねられているのだ。」(p357)
わたしの信じるもの。
西加奈子『サラバ!(下)]』
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