忘れたわけじゃない。 今も、直視できない。 それどころか、顔も上げられない。 すっと体が白く冷えていく気がする。
考える前に行動したので 気持ちがその時のままで止まっているのだ。 ドラマに、授業中に、友達の言葉に、 何気ない物事でわたしはひどく揺さぶられる。 そうぐらぐらとするたびに動き出しそうになるので 必死でほかの事を考える。 わたしにはけして多くは無いけれど、とてもとても優しい友達がいて、 勉強は思っていたよりずっと大変だけどやりがいがあって、 一人暮らしもしていて、 嫌なことは沢山あるけれど、うれしいこともちゃんとある。 それでいいじゃないか。 それで十分満足じゃないかと思う。
思うのだけれど…、やっぱり無理なのだ。 諦めたり、認めたりするのは、辛く、苦しい。 身を切られるような痛み、溢れる鮮血のようなショック、 それがもうずっと続いている。 どうすれば楽になるのだろう。 何を憎めばいいのだろう。
誰にも言わなくてよかった。 あの時、わたしが一人でよかった。
けれど今、誰かに一緒に悲しんでほしいのだ。 こんなものが欲しかったわけじゃない。
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