うたをうたえぬうたうたい
夜を騒いで暮らすだけ
空がまた落ちてきて
地上160センチのところで漂っているので
私はまた うつむいて笑うしかない
ことばは結局いつもあのひとの得手ではなく私の得手でもなく
くすぶる思いは 心臓からずっと細く白い煙を上げている
どこへでも、行けるのは身体だけ ことばだけで
私はうつむきながら笑うだけ
わらわれるだけ
なんにもないものになれたらいい、
矛盾するのは言葉でありこころであり
何度 自分を裏返したかはもう忘れた
真実はいつも
ここにだけはない
指摘する朝に否定が降ってくる
現在はすなわち過去で どこにも未来なんかない
夢を見る、それは少しだけ現実と異なる
たとえば昨日が今日だとか
この世にあなたがいないとか
足どりは夜へ
闇の色を知っているかと問う声、
問われれば 見えないものにも目を凝らす愚か者
見えねば知らぬと答えることを知らず
ないものをないとあらわすこともできず
愚かなこととわらうこえ、
ただうつくしくうたうだけの愚か者
ここにひとがいないをないといい
あいたいをあえないといい
恋を気の迷いといって
あえて静かな目をする
そしていつかの日の天罰を待っている
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