声の音

2002年04月16日(火) 井戸の底の音

風邪もだいぶ治って、声も気にならなくなった。

この頃心配な友達から連絡がない。
いよいよ嫌われたか(笑)
恋に悩んで傷ついて、のめり込んでいる彼女に
優しい言葉をかけてあげられない私。

彼女も分かり切ってるだろうお小言しか言えない私。

「それはわかるの…でもね」

何度その言葉を聞いただろう。
そうして、それに懲りずに何度お小言を繰り返しただろう。

大好きな貴女だから繰り返しているんだ。
届かない声だと思っても。
今の私がやっていることは
自分の身体を切り取って、そこの見えない井戸に
その肉片を放り込んでいるようなもの。
せめて水の音でもしてくれれば
そこに水はあるんだと安心できるのに。
水音もしなければ、肉片が底に当たる音もない。

それでも私は投げ続ける。
身体を切り取る痛みには少し麻痺してしまったけれど
私は「忘却」という薬を持っているから。

いつか届くと良い。
私の気持ちも、貴女の気持ちも。
貴女の心に何かが満ちたら
肉片を投げ込んだ私の耳に、貴女の水音が聞こえると思うから。


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水井ちな [MAIL]