風邪もだいぶ治って、声も気にならなくなった。
この頃心配な友達から連絡がない。 いよいよ嫌われたか(笑) 恋に悩んで傷ついて、のめり込んでいる彼女に 優しい言葉をかけてあげられない私。
彼女も分かり切ってるだろうお小言しか言えない私。
「それはわかるの…でもね」
何度その言葉を聞いただろう。 そうして、それに懲りずに何度お小言を繰り返しただろう。
大好きな貴女だから繰り返しているんだ。 届かない声だと思っても。 今の私がやっていることは 自分の身体を切り取って、そこの見えない井戸に その肉片を放り込んでいるようなもの。 せめて水の音でもしてくれれば そこに水はあるんだと安心できるのに。 水音もしなければ、肉片が底に当たる音もない。
それでも私は投げ続ける。 身体を切り取る痛みには少し麻痺してしまったけれど 私は「忘却」という薬を持っているから。
いつか届くと良い。 私の気持ちも、貴女の気持ちも。 貴女の心に何かが満ちたら 肉片を投げ込んだ私の耳に、貴女の水音が聞こえると思うから。
|