スタンドから眺める木漏れ日
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2020年09月04日(金) カウンセラーの資質が問われている

今朝は、相談者さんのご家族と対面で話をした。

相談者さんご本人は現在入院中。

ネット・ゲーム依存による課金が問題であったのだが、

突然希死念慮が強くなって入院設備のある病院に保護してもらった形だ。

 

「今朝、本人に会ってきました」

と報告があった。今は落ち着いていて、表情も明るかったという。

友人からお見舞いでもらった塗り絵を完成させていたと見せてもらった。

…上手い。私よりよっぽどセンスのある塗り方をしているぞ。

 

塗り絵の裏にはご家族に宛てて手紙が書かれていた。

 

実は先日、このコロナ禍で病院に面会もままならないと聞いて

ご家族には手紙を書いて渡すことを勧めていた。

入院中に会えない、話せないと入院患者さんの不安や孤独はどんどん増していく。

「自分は家族や周りの人間から見捨てられたのではないか」

そんなふうな思考に陥っても不思議ではない。

 

「決してあなたのことを見捨てていないよ」

「あなたのことを思っているよ」

そんなメッセージを手紙に託して伝えれば、入院患者さんの孤独感は薄らぐ。

会話と違って手紙は形として残るから、読み返すことで

あらためて家族と自身の結びつきを考える機会にもなる。

 

ご家族から渡された手紙を読み返し、相談者さんは3回ほど泣いたという。

そして、自身の手紙を通じてご家族への感謝と謝罪、

これから外泊を経て退院に至ることへの希望が綴られていた。

 

しかし、まだまだ課題は山積みだ。

入院中は強制的にネットやゲームから隔絶した生活を送っているが、

退院すればそれらを相談者さんの周りからすべて排除するというわけにもいかない。

 

例えば、ご家族の方が仕事やプライベートでスマホやPCを使っているときに

相談者さんがゲームをする自身の姿を重ねて情緒が不安定になる

…というような状況も想定される。

 

『ネットやゲームと上手につきあう』には、

まずリアル社会(実生活)がある程度充実していることが前提となる。

ネット・ゲームの世界はあくまでも『仮想現実』(バーチャル)だ。

いってみれば、実生活の“おまけ”くらいの立ち位置にある。

決してバーチャルが主でリアルがおまけであってはならない。

 

バーチャルな世界にリアルな金銭を過剰に投じることは、

バーチャルとリアルとの境界線が歪めることなる。

ただ、金銭を投じるといっても実際の操作はワンクリックだったり

数字の羅列を入力することで決済が完了してしまう。

『多額の金銭を支払っている』という事実とはかけ離れた、

あまりにも簡単な操作で金銭の授受が成立してしまうのだ。

 

このコロナ禍で、ネット・ゲーム依存に陥るケースは増えている。

それは、ステイホーム期間中にゲームにはまって…というよりも

それ以前からゲームに費やす時間や金銭が増えつつあって様子見してたのが

このタイミングで一気に爆発した、というパターンがよく見られる。

 

さて、この問題に心理カウンセラーはどう関わっていくべきだろうか。

 

大切なのは、相談者さん本人が今どのような思いでいるかということ。

どんなときにもその人なりの理由があり、それに沿って行為がなされる。

もちろん、それが良いか悪いかは別として。

しかし、相談者さん側にどんな主張があるかは

実際に聞いてみなければわからない。

 

それを聞いたうえで、次に考えるのは

『何がいけない(いけなかった)のか』『今後どうすればよいか』

『周りの人間ができること、考えられることは何か』

ということではないだろうか。

 

相談者さんご本人だけではなく、ご家族をはじめ

周りの人々のメンタルケアも重要となってくる。

今までは『ゲームと上手につきあう生活』を念頭にあったが、

あくまでカウンセラーは【リアル】側の立場であって

【ゲームの世界】への介入はひとまず置いておく。

 

【リアルな世界】には相談者さん本人を長く支え、見守る人たちが存在する。

その人たちと相談者さんが今後どう向き合っていくか、ということについて

カウンセラーは説いていくべきではないだろうか。

 

コロナウイルスの感染拡大によって、心身の不調を訴える人が増えている。

1つ1つのケースにどう向き合い、寄り添っていくのか

カウンセラーとしての資質が今まさに問われている。

 

ちなみに、無課金主義の私はゲーム上のコインはべらぼうに溜まるが

リアル財産は一向に溜まったことがない。

何とか同期できないものだろうか…(T0T)

 

 

 


Shiratama Akkey |MAILHomePage

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