ジョージ北峰の日記
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9) 話を戻します。(これからの大部分は、兄が話したことですが、かなり私なりの翻訳が入っています) 私によく似た環境に育った人には何等かの役に立つかもしれません。思い出しながら話してみましょう。 兄の話す、(全くその通りだと思うのですが)勉強の極意は、まず勉強は自分探しの「旅」だと知ること。これが大前提だと。誰も私がどんな能力の持ち主かは知らない。自分の能力を見極めるのは自分自身でしかない。他人はアドバイス出来るが、人が(親でさえ)私と入れ替わることは出来ない。生きて行動しているのは自分自身だと明確に知ること、---つまり「自己存在の意味」について充分自覚することが大事だ。最近よく自己責任という言葉が使われますが自分を知るということはまさに自己責任なのだ。 次に勉強には、(1)本を読んで学ぶことと同時に、(2)自分自身で自分の考えを創り出すことの2つの過程が必要になる。 つまり勉強には既知の知識を学ぶ部分(知識を深める)と自分が新たに知識を作り出す(創造の)部分があると知ること。そして、最初のうちは勉強するに際して、どちらの部分をやろうとしているか意識することが大事だ。 まず本を読んで正しく知ること、これが最も大切な部分で、知るプロセスは「精密且つ正確」でなければならない。多くの人がこの部分をおろそかにするから、勉強が勉強だけに終わってしまう。面白さが分からないで、投げ出してしまう。スポーツでも芸術でもがむしゃらに練習しても上達しない。過去の人達が築いた方法を学んで、それを理解したうえで練習すれば、かなりの成果が期待される。勉強も同じで、「正しい勉強法を」学んで始めて成果を挙げることが出来る。この「正しい勉強法」を知る能力にはそれぞれ差があるかも知れない。 しかし自分にあった「正しい勉強法を」知れば、それだけで得た知識を自分でどう使いこなすかが分かるようになる(この部分が、人の創造力を養う訓練にもなる)。分かりやすい例を挙げると、算数なら、教科書には色々説明されている部分があるが、それを「正しく読み、正しく理解する」ことが最も大切な第1の過程である。 この部分に大半の時間を割いても、無駄になることは決してない。そうすれば、第2の過程、創造力に依存する練習問題や応用問題が簡単に解けるようになるだろう。もしこの第2過程で困難に感じるならそれは第1の過程「知識の理解」が不十分だと知ること。その時は、知識の部分を何度も読んで自分の物になるまで徹底理解に勤めること。その本で駄目なら、他の参考書を使ってみる。 参考書にも色々あるが、分からない部分を上手に説明している自分に適した本を選ぶこと。自分にとってわかりやすく解説した本は必ず何処かにある、と。新しい本ばかりでなく、古本も探すこと。古本中に「目から鱗」が落ちるような解説を見つけることもある。 ところで、人の話や、本から得る知識を(第1の過程)であるが、人の話を聞いたり、あるいは本から理解したりすることの最も大事なポイントは、話者や著者が何を説明しようとしているのかを“読みとる”ことだ。 この“読み取る”能力が、勉強が出来るようになるか否かの重要な分かれ道になる。
もし話者や著者が、話そうとしているテーマについて知識が曖昧であれば、聞くほうも、読むほうは、混乱することになるだろう。 それは同様に話者や著者の話のレベルが高すぎると、知識へ取り付くことが出来ず、それも又理解できないことになる。だから、自分に最も適した良い本や先生を見つけ出すことが能力を高める上で最も大切なことだ、と言う。 今話した内容を理解する為には、自分で何かのテーマについて、文章にしてみる。それを他人に読んでもらって、自分の言いたいことが正しく伝わるかどうか試してみる。そうすれば、自分の考えていることを、正確に他人に伝えることがいかに難しいかわかるだろう。 つまり、他人によって書かれた文章が、どんな工夫がされていて何を伝えようとしているのか?の苦労が少しは分かるようなるだろう。
人に正しい知識を伝えることが如何に難しいかが分かれば、逆に人の知識を正しく理解する自分なりの方法が見つけられる可能性が高くなる。 いずれ数学を習うようになれば、ややこしい記号が一杯出てくる。記号を見てアレルギーを起こす人もあるが、実は複雑な知識を正確に伝える為には、厳密に定義された記号を使うことが如何に必要不可欠なことか分かるようになる。
結局勉強対する能力を高める為には、知識の起源にまでさかのぼって、徹底的に理解するように勤めることが最も大切なことだ。しかしそれには根気が要るのだ。その根気を養うことが日々の生活の中で最も重要ことなのだ、と。勉強は、徹底的な精読から始めるのが原則だ。
生まれつき根気のある人は努力する必要がないだろう。根気は強い意志から生まれるのだ。 お前は、小さい頃から、甘やかされてきたから、本当の意味での根気の部分が欠落していると思う。その部分をまず根本から鍛えなおさなければならない、親父がお前に厳しいのは「その為なのだ」と言うのでした。
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