与太郎文庫
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2010年05月05日(水)  眠れぬ森の男たち 〜 Raptus at Laputa 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20100505
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
http://www.enpitu.ne.jp/tool/edit.html
 
 Ex libris Awa Library;1965 正之日記
 
── 眠れる森の美女(仏 La Belle au bois dormant)は、ヨーロッパ
の古い民話・童話。AT分類では、410に分類されている。ペロー童話集
にも取り上げられ、グリム童話集では、『茨姫』として類話が取り上げ
られている(KHM 50)(略)dormant は男性系の形容詞なので、眠って
いるのは美女でなく森である。── (Wikipedia)
 
 亡父は、還暦前の二年間に「日記」を書いている。
 あらためて読みかえしてみると、随所に「眠むい」という記述が繰り
かえされている(下記は、その初出三日間)。
 
── 5月5日 今日は宮越家の23回忌 早朝より家の出入が激しい
(略)午後7時 姫路より電話にて 末長家の奥様死去の通知あり。
── 5月6日 午後10時 姫路着 末長家に伺ふ 家族全員が出迎
えて呉れた 通夜をする 眠むいが仕方がない。
── 5月7日 午前11時 とても眠むいが 我慢をする 午後1時
15分 住職の読経始まる 口を開くのも嫌やになる位ひ疲れる(略)
午後6時 京都着 帰宅後 服を脱ぐのも もどかしく横になる 約2
時間程とたって 寿美さんが立てゝおいた風呂に這入る 少し気分が落
着く 午後9時 夕食にビールを飲み 雅敏帰宅直後床に這入る。
── 《正之日記 19650101-19661228 阿波文庫》
 
 その前夜、眠れなかった形跡もあるが、やがて寝不足だけが原因とは
みられない記述が頻出する。ムーミン村の冬眠や、ラピュタの思索も、
もとは老人特有の症状をヒントにしているのではないか。
 
── ベートーヴェンが考え事をしている時、夫人が話しかけても返事
をしないことがしばしばあり、そんな時夫人は、
「また、ラプトゥスが始まった」とつぶやきながら、そっとしておいた
といいます。ラプトゥスとはラテン語で「発狂、熱中」の意味です。
http://q.hatena.ne.jp/1166335912#a652389
 第三の自己 〜 忘我の自覚 〜
 
── 人間は、皆それぞれのラプトゥス(日記註: 一種の狂気状態)を
持っていると簡単明瞭に考えているだけである。[7-3]
http://homepage1.nifty.com/kazuf/renewal_2007_11.html
── 小林 秀雄《言葉と物 LXXXVI - 「モオツァルト」読解 第7節》
 
── この国の人間というのは、始終なにか深い思索に熱中していて、
なにか外からそれぞれの器官に刺激を与えてでもやらなげれば、物も言
えなければ、他人の話に耳を傾けることも出来ないらしい。そこで金に
余裕のある人は、こうやってたたき役(言語はクリメノールだ)を一人、
召使として常傭して置き、外出、訪問といえばむろん同伴を忘れること
は決してない。つまり彼らの役目というのは、二人以上の人間が寄ると、
この肪胱でもって、訴し手の口と、それから聞き手側、それは時には聴
衆という場合もあるが、その右の耳とを静かにたたくのである(P191)。
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4102021019
── スウィフト/中野 好夫・訳《ガリヴァ旅行記 19520730-19820930 新潮文庫》
 
── 【ラピュタの男たちは、いつも抽象的な思索にふけって現実に対
応できない究極の「頭でっかち」である。】ところどころに召使らしい
服装をした男がだいぶいた、それらはみんな手に、膀胱[ぼうこう]を
ふくらませたのを……短い棒の先につけて持っている。……彼らはこの
膀胱でもって、しきりに傍[そば]に立っている男の口や耳をたたくの
だ。……思うに、この国の人間というのは、始終なにか深い思索に熱中
していて、なにか外からそれぞれの器官に刺激を与えてでもやらなけれ
ば、物も言えなければ、他人の話に耳を傾けることもできないらしい。
(スウィフト『ガリヴァ旅行記』pp.203-4)
http://www1.gifu-u.ac.jp/~masaru/05/gulliver.html
 翻訳で読む18世紀イギリス小説:スウィフトの『ガリヴァ旅行記』
 
── ただひとり冬眠しない男も登場している。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20010627
 眠れる村の少女 〜 ヤンソン家の人々 〜
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19670120
 退屈論
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C2%E0%B6%FE%CF%C0
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20090602
 拒眠考 〜 今週のお題:眠りについて 〜
 
(20100506)
 


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