与太郎文庫
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2003年10月23日(木)  比例より非礼へ

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20031023
 
 続・老兵は消えず
 
 中曽根元首相の発言は、いつも戦争に由来するが、歴史年代は順不同。


 19510419 マッカーサー「老兵は死なず」米両院合同会議で引退講演。
 19821127〜19871106 内閣総理大臣
 19831108 「日本はアメリカの不沈空母だ」米紙幹部の朝食会で発言。
 19831111 レーガン大統領を日の出山荘に招く(ロン&ヤス会談)。
 19961020 比例名簿終身一位=北関東ブロック比例区(旧群馬3区より転出)
 19970429 大勲位菊花大綬章=吉田茂、佐藤栄作に次ぐ戦後三人目(生前叙勲)
 20030529 85歳と三日目「まだやるのか」と問われて「老兵は死なず」
      と答える(マッカーサーは71歳で引退、84歳で死んだ)。
 20031023 小泉首相の(引退要請)会談前「天気晴朗なれども波高し」

 はたして会談後のテレビ出演では、一転して「非礼だ」と激昂する。
「突然やって来て、爆弾を投げつけるみたいな、政治的テロのようだ」
 七年前の“終身契約書”とかを見せびらかすが、そんなものは、当時
の自民党執行部と元総裁が交わした内部取引にすぎない。
 日本国の元総理大臣としての功績は、すでに最高位の勲章を生前授与
されたことで、存分に評価されているのである。
 
 かたや宮沢元総理は「現総理に“お恥”をかかせるわけにいかない」
と考えなおして、おとなしく退場することになった。
 毎朝、ラジオ英語ニュースを聞きながら英字新聞に目を通すほどの、
政界きっての“英語通”だという。このエリート意識がわざわいして、
ときにもらす“丁寧すぎる日本語”が不気味だった。
 たとえば、総裁選出馬にあたって、当時の小沢幹事長が年下なのに、
“大幹事長”などと持ちあげた。
 扇千景建設大臣が、さっそうと防災服ルックで登場するのをながめ、
「何を“お着になっても”似合いますなぁ」とつぶやく。そのこころは、
彼女が就任式の写真撮影で選んだドレスが“宝塚調”と揶揄されたこと
をなぞっているのである。
 こんどの“お恥”は、最後の“いんぎん非礼”になるのだろうか。
 
 終身称号と神授儀式
 
 相撲の大関が負けこして、平幕になっても土俵に上ることはできるが、
土俵入りの儀式を神前奉納した横綱は、すでに神格化しているために、
還俗(降格)できない。プロレスやタレントに転職するには、相撲協会
から追放されるか、脱退するのが条件である。
(相撲協会から派遣され、テレビなどの解説者をつとめることはある)
 
 総理大臣も、ほんらい横綱のような終身職だったはずだ。
 末席の大臣にいたるまで“天皇に親授”されたのだから、平議員には
もどれない。さらに衆議院と参議院の議長は、皇室会議にも列席して、
おそれおおくも皇位継承に関わるのである。
 参議院議長から、軽々しく埼玉県知事に転じて、身内の不祥事で辞任
するなど(宮内庁にとって)もっとも懸念すべき事態だったのだ。
 
 大臣の任命権者は首相だが、儀式上(書面上)は天皇である。だから
といって、天皇でなければクビにできないかというと、さにあらず。
 天皇は(そしらぬ顔で)つぎの新大臣に「認証状」を手渡せばよい。
 かくて、クビになることを耳うちされた大臣は、さっさと辞表を書く。
 知らずに、大臣室に入ろうとすれば、さきに別人が座っているはずだ。
(遺言状と同じで、日付のあたらしい書面が有効となる)
 
 究極の終身職は天皇だが、かつては譲位して引退後“院政”をしいた
こともある。剃髪出家していながら、なにかと例外をもうけたために、
行政機能が衰微していく。
 
 ちなみに公団総裁は、誰が任命権者なのか。事務次官なら大臣だが、
その事務次官の再就職も、大臣が黙認したのだろう。よって道路公団は、
国土建設省の監督下にあるために、ヒモつきの「天下り」である。
 役人の「天下り」こそは、種族保存の本能なのである。
 
 このたびの“道路のドン”の抵抗には、高級官僚の面目と特権がかか
っている。マスコミや世間が(一時的に)何と云おうが、彼らの論理は
守るべき価値があるのだ。総裁の進退は、総裁ひとりのものではない、
組織集団を死守すればこそ“ドン”たりうるのである。
 
 どこかの球団の“人事異動”みたいに、監督から名誉顧問へ、さらに
終身名誉監督のような、出まかせの肩書を乱発して、退職金も出さない
システムとは、迫力がちがうのだ。
 
 終身称号に人間国宝があり、たいがい高齢の長寿者である。
 たとえば、初代が六十歳で国宝となって、百歳まで現役をつづけると、
七十歳をすぎた二代目には出番がないことになる。
 世間は「親の七光」と思っても、当事者ならではの苦労もあるらしい。
 まれに父子二代つづいた例もあるが、高名な父のかげで、子の評価が
高まらないケースもあるのではないか。
 歌舞伎役者の世界では、うまいシステムが確立されている。ひとりで
何度も“襲名”をかさねて、最後には一代かぎりの“翁名”を名乗る。
 ただし封建的かつ閉鎖的な、梨園ならではの“遺伝の手法”であって、
近代民主主義の現代社会には、とても応用できない。
 
 入学式や卒業式の「合格証書」と「卒業証書」を思いだしてみよう。
 もともと新入社員は、入社式で「辞令」を渡されて身分が確定する。
 労働基準法の解釈では、口頭で「きみはクビだ」と云えば解雇できる。
ただし本人が納得していないのに「辞表」を強要することはできない。
むしろ本人が、正式の「解雇辞令」を請求することになる。
 つまり、本人にとって「入社辞令」の発行者(社長または人事管理者)
から「解雇辞令」を下されたら納得せざるを得ない、というものだ。
 
 過去の歴史的教訓に学ぶならば、終身職をつとめた者は、すみやかに
引退すべきである。個別の能力や、例外的な規則をふりかざすよりも、
きよらかな晩節を全うする義務があるのではないか。 
 俗世間に身を置けば、いつなんどき手を汚すとも限らないからだ。
 
 ロン&ヤスの再会(架空再現)
 
 もしアメリカ大統領に終身制を認めると、ややこしいことになる。
 ラシュモア山に刻まれた4人の大統領は、ワシントン、ジェファソン、
ルーズベルトとリンカーンである。これくらいならいいが、日本の総理
経験者など、もはや誰がどの党にいるのか分からない。
 
 引退したヤスが、記憶を失ったロンを、再び奥多摩の山荘に招く。
 いまや二人ともSPやボディガードを必要としなくなった。
 
「ここなら安心だ。なにしろ日本は、アメリカの不沈空母だからね」と
云ってから、ヤスは本物の法螺を吹いてみせた。
 ロンは、またしても東洋の神秘的な旋律を耳にした。かつての大統領
は、同時多発テロは知らないが、はるか昔のメロディを思いだした。
 前に聴いたメロディと違うのは、どちらかがウソだからであろう。
「ほら吹き」とは、二度と同じメロディが吹けないからではないか?
 東洋音楽が神秘的なのは、楽譜のような証拠を残さないためである。
(あるとしても、直伝口伝のメモのごとき記譜であって、門外不出だ)
 
 ロンの後妻ナンシーは、もっぱら女占師のジーンと話している。
 
「この囲炉裏、なんだか汚らしいわね」
「入口に“日の出山荘”の看板がかかっていたわよ」
「ここは、ミュージカル劇団の別荘で、ヤスのものじゃないのよ」
「まるで“日没山荘”ね」
「いつかまた、日は昇るわよ」
「まさか!」
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http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20030530
2003年05月30日(金) 老兵は消えず?
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20031008
2003年10月08日(水) 俗物街道 〜 おいどんは、ドンでごわす 〜
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20030928
2003年09月28日(日) 泣くな!タツノリ

 MacArthur 1,Douglas   元帥 18800126 America 19640405/84
 中曽根 康弘    首相71-73 19180527 群馬
♀ジーン・ディクソン 占星術師 1918・・ America 19970125 79
(?=ジョーン・クイグリー/キグリー)

 


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