与太郎文庫
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1985年07月29日(月)  失われた日々の顧展

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19850729
 
 aedlib10 失われた日々の顧展
 
 ことしの夏は、岡山に赴いてから満十年、はじめて活字になった作文
を処女作とすれば以来四十年目になります。記憶にある多くはさまざま
の事情で散逸しましたが、手もとに残った作品のほとんどを、失敗作も
あわせて並べてみることにしました。整然たる作品展ではなく、雑然と
したアトリエの一隅を再現することになりそうです。今日までに知遇を
得たすべての方々に御高覧いただきたい反面限られた人だけに見せたい
気もします。
 貴重な機会を与えて下さった画廊主・中村忠司氏と、リサーチ協同・
鳥越忠氏の配慮に感謝し、あらたな意欲で次期作品群に取組みたいと存
じます。
 
             昭和六十年七月吉日
                           阿波 之男 
 
19850729〜0811 (月〜日) 07:00〜20:00
                 (まろ〜)
700 岡山市奥田本町10-20 画廊喫茶・摩爐扇
                0862-26-0831
 
 ▼ 目録(19390120〜19850929)
 
(1950〜52)
 
19460900△京都児童文学会:優良文集《ぼくのいなか》
1951〜52 ミケランジェロ《ダビデ像頭部》(コンテ1091×788)
19520800△精密描写《昆虫と植物》各十枚(鉛筆画 B4× 20)
19540427 同志社中学校修学旅行委員会《旅のしおり》A5×64
19550600 同志社高校文芸部:山脈9《諌争》11〜16(パステル)
19550714 自画像《オレノカオ》油彩F8号(450×380)
19570316 同志社高校三年F組31年度卒業記念誌《Σ》 (孔版)
19581003△同志社高等学校新聞《予算会議の反省》
19600400〜武蔵野美術学校《文様史》広川教授講義禄
 
(1954〜69)
 
19540900〜《五木の子守唄/わがなやみ知り給う/You You You》
19580328 シベリウス《トゥネラの白鳥》/ショパン《前奏曲》
19590825 バッハ《アリオーソ》/ショスタコビッチ《ノクターン》
19600818 同志社高校管弦楽団ポピュラーコンサート△《年表音楽史》
19641110 同志社交響楽団定期演奏会《プログラム》△《ポスター》
19641008 有賀 のゆり《チエンバロ・リサイタル》△《ポスター》他
19691003 石崎 宏男独唱会“Canti d'Italiani”《プログラム》他

(1964〜67)NHK

19640628 親しまれる青年の家(内藤敏男PD)
19640000 アイバンク(宇治市・小林氏/竹内康PD)
19640000 聖ヨセフ整肢園(内藤敏男PD/山下アナ)
19641100 建設進む国際会館(内藤敏男PD)
19641230 年の暮の施設の子ら(平安徳義会)
19650000 夜間保育園:一郎くんの一日(竹内康PD)
19650000 長岡京の遺跡(岡崎雅男PD)
 
(1963〜72)AWA Library
 
19641210 同人・点展:《冬の夜は寒い/日常について》
19671112 ミニブック《AT》
 
(1967〜1970)Jujiya
 
1967   ミニブック《ネオバロック運動について》
19680801 創業七十周年記念誌《音楽百年表/十字屋十話》B5×64
19690401《月刊アルペジオ 1〜10》一聴一席/楽中楽外/編集帖:A5×16
 
(1971〜)Awa Library Report 1〜7
 
19701220《看板教授》中日新聞・私との対話
19710217《いそがしい指/あまちゅあ・かっぽれ》関西モーツァルト協会
19710401《弓弦十話/レコードサロン/有人総目録》
19680801 Jujiya 70(ロゴタイプ)
19690727 Charm(シンボルマーク)
197205〜 森口邦彦・亀田博之・阿波雅敏《Thirty Visual Creators》
197201〜 Office'S(パース)
 
(1977〜78)PRAD
 
19740601 Ash,De-Trey & Bremer《価格表》B5×16
19750401 Ash,De-Trey & Bego《価格表》B5×161974〜75
1974〜75 Ash,De-Trey & Bego《取扱説明書》他
19760921 カワイ音楽教室・岡山センター・ポスターB3
1977〜79 吉藤建一郎対談録《ふルフる》
1977〜79 ふじやロゴシリーズ《わかむらさき》他
1977   IF/ELEPATIO
19810915《ラ・ジャポネーズ/ロム・ジャポン》
 
(1976〜85)aedlib
 
19771225《Night in Okayama '78》
1977〜79 PRAD《印刷入門》《販促紳士録》ふじや
19781101《月刊山陽1》B5×32
1979〜80 山陽きもの振興会社友報《きぬえにし》
19800915 土井工芸社《Do ! Series》B5×121977〜81
 
(1979〜81)国鉄岡山
 
19790912 岡山鉄道管理局《ダイヤは眠らない!》B全ポスター
19801022 岡山鉄道管理局《サービスに明日はない!》A全ポスター
19810301 福塩線《さよなら70型》記念入場券60×150四枚組
19810801《倉敷橋上駅完成記念入場券》60×150三枚組
19830901〜19850901山陽観光協議会《山陽路》第一版〜第三版
 
(1979〜81)Data Mook Series
 
19840401 KSB《医薬104》岡山県第一版岡山
19840401《Discover Okayama 1985》
19850101《中学生諸君 ! Basic 5》
19850901《観光104/飲食104》岡山県第一版
1985  《誕生366》
 
 ◆
 
 奇妙な個展になった。小学二年生の作文、中学以来の写譜、高校時代
の自画像、美術学校のノートなど、まるで追悼展である。ついでに未完
のメモや、B全判ポスターができあがるまでのスケッチなども思いつい
て並べた。中学一年夏の精密画《昆虫と植物,195208‥ 》二十枚を想い
だしたが、北村北洋三郎先生は数年前に亡くなられたそうである。当時
「同志社で永久保管する」という話だったが、三十三年も前のことで、
かわりに、同窓会費の請求書が舞いこんできた。(Day'19870929)
 
 案内状(地図)裏面の目録は原寸、ほぼ原型のまま。細部は、次頁の
総目録(制作年月日順)に修正した。
 しかしまだ、1960年代の作品は未整理で、とりわけ数万点の写真画像
について、デジタル変換に問題がおおく、逡巡もある。
 1977夏以来、署名がわりのロゴ・マーク“aedlib”を用いたが、1985
年末に導入したワープロ専用機 Canoword 80 の外字用にデザインを
変えた。アイ・キャッチャーとして発音記号をとりいれているが、本来
の発音どおりではない。
 ラテン語の ad-libitum から派生した音楽用語としての愛着があった
が、1997年末、すべてのファイルを Excel 95 に変換するにあたって、
すべての外字凡例を廃棄した。パソコンのメカニズムは汎用性・互換性
にあって、パーソナルな感傷や感性を許容しないのである。
 ほぼ十年間にわたる“aedlib”作品群を分冊《Pax Adlib》にまとめ、
1997年初以後“Awa Library”を復活、漢字表記として“阿波文庫”
を併用している。(Day'20000803)
 
── さてしかし、こんなに苦心した揚句の、このうず高い水彩画の山
は何になるだろう。勿論、家のものが暫くの間は、形見としてとってお
くだろう。けれども遅かれ早かれ、邪魔になって、棚から棚に置き換え
られ、納屋から納屋に移され、鼠のお見舞いを受け、汚点でよごされて、
甥の子供の手に移り、この子供は折紙を作るために、四角に切りきざむ
だろう。世の中はそういったものなのだ。我々の幻想が最大の愛情でい
としんで来たものも、現実の爪牙に裂かれて、惨澹たる最期を遂げるの
である。                   ── ファーブル/
山田 吉彦・林 達夫 訳《昆虫記(十) 199931018 岩波文庫》P322
 
(20061120)


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