与太郎文庫
DiaryINDEX|past|will
1983年10月11日(火) |
母猫物語 〜 ミミの身辺 〜 |
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19831011 ミミは、ちょうど向いあったアオナシ家から家出してきて、わが家に 住みついた。家出の原因は、産んだばかりの仔猫を捨てられたからだと いう。捨てられるさまを、じっと見ていたそうだ。 数日は野宿して(あるいは熟慮して)もとの家が見える位置を選んで、 たいした手続きもなしに、ミミは新しい居住権を得た。 一二度出産しているらしいので、三十後家というところか。 実家(アオナシさん家のことである)を恨んでいて、まったく寄りつ かないかというと、かならずしもそうではないらしい。 気が向けば戻ってみるが、一宿一飯は辞退するという。 三毛とは、三色の毛並がそろっていていうらしいが、つめたい瞳と、 優雅な身のこなしで、ナイス・ミディである。 発情期ごとに相手が代るらしく、毎回ちがった毛色の仔猫を出産する。 わが家でも、はじめ色とりどりに四匹産んだ。保健所に持っていくよ う準備していると、実家の了解が要るでしょう、と妻がいう。わが家は 居候を置いているのであって、飼っているわけではないからだ。 しかし、数ヶ月にわたって(猫の寿命からすれば、数年に相当する) 寝食を共にしていれば、居候にしても永すぎるのではないか──よって、 できればアオナシ家で善処してもらいたい。 アオナシ家の意向は、保健所へ連れていけば、まちがいなく殺されて しまうので、できれば人の通る路傍に捨ておけば、通りすがりの愛猫家 に、たとえ一匹でもひろわれる可能性があるという。 すると残りはどうなるか──野良猫として自立していくのではないか、 こういう人たちと議論してもきりがない。 そこで、アオナシ家で善処してもらうことにした。 アオナシ氏が、車で、遠すぎず近すぎない某所に仔猫たちを運ぶこと になった──すると、その中でいちばん、はしこい茶色が、いちはやく 姿をくらませてしまった。 アオナシ氏が戻ってくると、当然のようにあらわれたという。 その機転と俊敏さを高く評価され、近くの愛猫家にめでたく所望され たらしい。 母親のミミは、もうすっかり分っているとみえて、数日もしないうち に平常にもどった。数ヶ月もたてば、つぎの発情期がめぐってくる。 こんどは、白いのばかり四匹産んだ。 ふたたびアオナシ家に相談すると、やはり前回のとおり運ぶという。 まもなくするうち、だんだん仔猫が大きくなって気がつくと、黒いの が一匹増えている。 あとから産れたはずはないので、よそから紛れてきたらしい。 大小六匹、まるで何事もなかったように毎日じゃれあって、まことに にぎやかである。 わたしは、猫の美しさは認めるが、感情移入したり、手に触れるのは 好まない。アオナシ家の夫婦が、あまり優柔不断なら、保健所へ連れて いくつもりだが、ミミだけは残す。 たとえば不妊手術は人間なみに高いから、その出費はひかえたい。 アオナシさん夫婦の猫かわいがりにも疑問がある。 人は、もともと愛玩用に猫を飼育する資格を、神に与えられたのだろ うか。ミミは悠然として起居し、わたしや妻や息子たちの出入りを利用 して、合計六匹がいっせいに出たり入ったりしている。 (19831011初稿) わが家での最初の出産のとき、妻が腹をさすってやったところ、つぎ の出産時まで覚えていたらしく、妻の手をとって催促したという。 どの猫も、このような高い知能を具えているのだろうか。 ── わが家の飼猫は、二度目の出産後、誇らしげに家人を呼びにきま した。ところが、あるときプイと家出してしまい、路上で会っても知ら ん顔なのです。出産のときの人なつっこさは、いったい何だったのか? http://q.hatena.ne.jp/1127311932#a409436 犬は自分の存在を知っているのでしょうか? ┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ↓=Non-display><↑=Non-display └┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘ その名はミミ ── ♪ みなは私をミミと呼びます、なぜだか知りませんけど。私は たった一人で自分の食事の用意をします。── 《私の名はミミ》 ── Puccini《La Boheme 〜 Mi chiamano Mimi 〜 18960201 初演》 ── 彼が学校に通ったバスは72系統であり、おばのミミのために購 入した家はパノラマ・ロードの126番地、これも足すと9になるのである。 http://d.hatena.ne.jp/adlib/20021208 ── ジョン・レノンのおばの愛称“ミミ”
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20050430 子猫物語 〜 猫小屋ができたわけ 〜 (20060824-20070126)
|