http://d.hatena.ne.jp/adlib/19790525
　Ex libris Web Library；《駅 STATION 19790525 東映》
http://sandletter.hatenablog.com/entry/2014/01/26/184858
　
〔珈琲〕
　
　松本 清張は「ウエイトレスが、空の茶碗を狙っている」と描写した。
　最後の一滴を飲み干すと、すぐに器が片付けられてしまうので、一滴
でも残していれば、その店に居残る権利がある、と考えられていたのだ。
　
　時間と場所の対価であると理解されるまでには、長い年月を要した。
　コーヒーは（むかし名曲喫茶で何時間もかけて飲んだ）冷えて残った
感触が、いまこそ懐かしい。いまや、冷えすぎたビールも好まれない。
　
　おなじ酒場に通っていると、女と客は他人行儀を忘れる段階に入る。
　すべて男女の仲になるわけではなく、逆に色気が失せるケースも多い。
　目を据えた女が、とつぜん誰かへの恨みを語り始めると、三十六計だ。
　
〔麦酒〕
　
　1960年代に通ったバー・千草では、妙な作法があった。
　客のビールがぬるくなり、泡が消えるのを見はからって、ママが自分
のグラスに移しかえる。そして（勝手に）新たなビールを注ぐのである。
　
　若い客などは、せっかく勘定をケチって、チビチビ飲んでいるのに、
さっさと注ぎかえられるのに、あとで文句をいうこともあった。
　実際は、ママもおタカさんも、相当な飲み手だったからだが。
　
　老いて断酒した与太郎が、旧知の酒友に一席設けたとき、手つかずの
ビールを「譲ってくれ」と催促された。すべて酒飲みは依存症であって、
そこに捨ておかれた薬物が、気になってしょうがないらしい。
　
〔酒席〕
　
　一口に云えば、京女は冷たく、南北の女は熱く、田舎の女はぬるい。
　京女は、いろいろな男を知って賢くなり、東北や九州の女は余所者に
熱をあげ、田舎の女はよそものに鈍感なのだ。
　
　与太郎は、心ならずも全国の酒場を歴訪して、東北や九州では冗談が
通じるが、名古屋や四国では通じなかった印象を抱いている。
　もとより、銀座と祇園と新地を比較論評するほどに野暮ではないが。
　
……　酔っぱらった、やしきたかじんまで（意味不明の）発言をする。
「新地のクラブで標準語しゃべったら、二割増になるの知っとるか？」
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20061111　航空専科・冗句箱
　
〔酒肴〕
　
　お酒はぬるめの燗がいい、肴はあぶった烏賊、女は無口がいい。
──　阿久 悠・詞／浜 圭介・曲／竜崎 孝路・編曲
《舟唄 19790525 テイチク》八代 亜紀・唱
　
……　発表当時のものは八代のハリのある高い声に合わせて曲の音程も
高く（イ短調）、曲調も速めの3分57秒ほどで作られていたが、2000年以
降発売されるCD等では八代の年齢による変化にあわせて当時のものより
音程がひとつ低く（変イ短調）、曲調も4分20秒ほどのスローテンポで
再録されたものが中心となっている[1]。
　とは云うものの、1979年当時からスタジオやホールで歌唱される時の
音程は変イ短調であった。当時放送の「夜のヒットスタジオ」や第30回
NHK紅白歌合戦で確認できる。（※知ったかぶりの講釈か）
　
──　降旗 康男・監督《駅 STATION 19811107 東映》劇中歌
　居酒屋で高倉 健と倍賞 千恵子が見ている紅白で八代が歌う場面挿入。
（のちに、テレビで観はじめたが、すぐに退屈してチャンネルを変えた）
　

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（20170202）
　

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