与太郎文庫
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1978年02月22日(水)  PRAD《印刷入門》 終章:紙のABC

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19780222
 
【昭和53年2月22日(水)/第12回例会】
 
 私たちのシンポジウムは、文字伝達を足がかりに、紙を汚す技術の展
望を試みてきたわけですが、色彩の再現や電波による、あたらしい伝達
媒体の登場は、目ざましい急速な進歩をとげています。
 紙が主役の時代は、すでに過去のものといえるかもしれません。しか
し、重要なバイプレイヤーとしての役わりに変りはなさそうです。
 
 終章 ■ 紙のABC
 
 先のオストワルトが、紙の寸法規格を定めるに当っては、つぎの方式
によっています。
 まず1平方メートルを基準とします。正方形であれば、縦横それぞれ
1メートルですが、オストワルトはなぜか、
 841×1189ミリ=0.999949m2 という比率を選びました。
 これは、古代の数学者ピタゴラスの発見した《黄金分割》にもとずい
ているのです(簡単な理論ですから、中学時代を思いだしてください)。
正五角形を図のように結ぶとAC:AB=AB:BCとなります。外分
比と内分比が等しく、もっとも合理的な配分であるとされ、ゴールデン
カットと呼ばれます。
 
 □□□□□□□□□□□□
 □□□□□□□□□□□□
 □□□□□□□□□□□□
 
 長方形の二辺を、これによって定めると、約1:1.618となり、パーセ
ントに直せば38.2%対61.8%になります。38.2÷61.8=0.618となって、
長辺と短辺の比は、無限にくりかえされることになります。
 つまり、この比率の紙を、二つ折りにしても、おなじ比率の長方形が
得られるのです。
 オストワルトは、これが紙の規格にふさわしいと考えて、一平方メー
トルの面積のものをA0判と定めました。A1判はその半分というわけ
です。
 B0判は1.5平方メートルですからA判より5割ましの大きさです。
C判もあるらしいのですが、わが国では使われておらず、くわしいこと
は判りかねます。2平方メートルか3平方メートルだとすれば、単なる
A・Bの倍数ですから必要ありません。かりに1.8平方メートルのよう
な中間値だとしても、実用上とりあつかいにくい大きさになるものです
(※印1)。
 
 ■ 紙の大きさ
 
 紙の寸法といっても、実際の紙製品は、ひとまわり大きなものでない
と、折ったり裁断したり、できません。
 通常の印刷物では、一辺の折りしろを3〜4.5ミリ、裁ちしろを6ミリ
以上必要とします。印刷の際に、紙を固定するため“くわえ”と称する
部分が、長辺にそって少くとも10ミリほど必要です。はがきのように小
さなものでは5〜6ミリくらいに無理する場合もありますが、A6判
(105×148)として、100×148(官製はがき)の寸法に裁ちあげる方が
無難です。
 オフセットの場合、製版の段階からひとまわり(2.5ミリ×4.5ミリ)
外側の四隅と、上下左右の中心に見当あわせの為の線を入れておく必要
があります。
“トンボ”と呼ばれ、多色刷の場合はもっとも重要な目印であり、刷り
トンボ、折りトンボ、裁ちトンボなど、各工程に欠かせないものです。
版下や、製版・製本上の共通記号は、いくつかあって、完成時にはすべ
て姿を消してしまう点が特徴です(※2)。
 新聞用紙とか、オフセット輪転機では、ロール状の専用紙を使います
が、一般に用いられる紙製品は、つぎの四種類です。


 A列本判:625× 880mm
 B列本判:765×1085mm
 四 六 判:788×1091mm
 菊  判:636× 939mm

 紙質や製品に応じて、すべての紙がそれぞれ四種類あるとは限りませ
ん。A0判やB0判そのものはなく、A1やB1用の紙をA全・B全と
呼びます。
 四六判や菊判は、旧規格で、JISには準拠しないのですが、書籍な
どで永い実績があるため、今でも需要が多く、四六判32どり(190×130
ミリ=64ページ)や、菊判16どり(32ページ)など、それぞれ代表的な
書籍寸法でもあるのです。
 書籍では、変型判と称して、特殊な判型のものも出版されますが、ほ
とんど特註用紙を使った豪華本の場合で、規格用紙を使って変型判を作
る際には綿密に計算した上で、無駄な紙屑を出さないようにします。
 一見ポピュラーなものに、AB変型と称するものがあります。一辺を
A、他辺をB判に準じるのですが、製版や製本の知識が充分でないと、
たいへんなロスを生じる結果になります。
 二つ折りや三つ折りのパンフレットでも、みすみす不合理な裁断をし
ている例が少なくありません。その逆に、わざと残した余白に、まった
く別の印刷物を作ることも可能で“付けあわせ”と称しますが、すべて
の条件が同一であるため、なかなかむずかしいのです。
 
 ■ 紙の重さ
 
 一般に、紙を薄いとか、厚いとかいいますが、専門用語としては不適
格な表現です。まったく同じ性質でないとその比較は意味がないのです。
 この小冊子では、四種類の紙を使っており(14ページ参照)このペー
ジは中上質紙55キロとなっています。
(※3)500枚の重さが50キログラムに相当するわけで、実際に紙の値
段は、重量と紙質で取引されています。梱包単位がそれぞれあるわけで、
たとえばB4判一枚いくら、という計算もその都度必要です。
(※1〜3については次の機会にゆずります)
 

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http://d.hatena.ne.jp/adlib+bilda/(準公開)
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/my/myspace_note.php?writer=gswyn755
 |
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19780222
http://www.enpitu.ne.jp/tool/edit.html(与太郎文庫)

 
 ■ 補遺 〜 黄金比と白銀比(√)の対比 〜
 
 Ex libris Web Library;余白図 20161108 Tags
>レイアウトの肝は「最適な余白」<
https://www.lowcost-print.com/column/%e3%83%ac%e3%82%a4%e3%82%a2%e3%82%a6%e3%83%88%e3%81%ae%e8%82%9d%e3%81%af%e3%80%8c%e6%9c%80%e9%81%a9%e3%81%aa%e4%bd%99%e7%99%bd%e3%80%8d/
 
 せっかくここまで力説しているなら、具体的な比率を示すべきだろう。
(以下は、1973-1974 にかけて完成した、最古の与太郎ルールでもある)
 すなわち「A4にB5、B5にA5」と定め、各々の面積比を求める。

 B:A = 1.500
 A:B = 1.333
(平均)= 1.414(概√比)両者は均等でなく、交互の階段状に連なる。
 
 B4 : A4 …… 364*257 : 297*210 …… 93548 : 62370 = 1.49988777
 A4 : B5 …… 297*210 : 257*182 …… 62370 : 46774 = 1.33343310
 B5 : A5 …… 257*182 : 210*148 …… 46774 : 31080 = 1.50495495
 A5 : B6 …… 210*148 : 182*128 …… 31080 : 23296 = 1.33413462
 
(平均比)1.50495495+1.33413462 = 2.83908957
(概√比)2.83908957/2=1.419544785
 
…… 白銀比とは 1: √2 =1:1.414 … で表わされる比率のこと。
 日本の白銀比  1:1.414≒1:√2 …… A判用紙、風呂敷、法隆寺、菱川師宣「見返り美人図」etc
 西洋の黄金比  1:1.618≒5:8  …… ピラミッド、ミロのヴィーナス、パルテノン神殿、
https://matome.naver.jp/odai/2138632436453836601

 
(20170408)
 
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