与太郎文庫
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1973年04月04日(水) |
尊属殺人罪が消えた日 |
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Ex libris Web Library; 木戸家の人々 〜 母の長女は、祖父の七女 〜 「母がいなくなると父はおおっぴらになり、ときには一日に何度も私を もみくちゃにしたのです。十七才の時、母が再び戻ってきて、母の実家 の屋敷のなかに掘っ立て小屋を建て、もう一度家族全部で暮らすように なりました。それでも父は私との肉体交渉をやめようとしませんでした。 父は酒を飲んでは私の体を要求し、母がとめに入ってはけんかとなり、 そんなことの繰り返しのうちに父の子である私の長女を身ごもってしま いました」〜 司法警察員に対する供述書 「綾子がいつも清一から逃げ出したいと思っていたことは、いつも着物 などをまとめていたことからよくわかりました(略)綾子に子どもが産 まれたというような連絡があっても私は働かなければなりませんでした。 それに綾子がお産をして寝ている所へ行くのはどうしても嫌でしたので、 とうとう行きませんでした」〜 公判廷でのコトの証言
木戸 清一 綾子の父 191505‥ 栃木 19681005 53 /絞殺/植木職手伝 ♀木戸 コト 綾子の母 191502‥ 栃木 /193701‥ 婚姻/清一の妻 ♀木戸 □□ コトの長女 193,‥‥ 栃木 193,‥‥ ? /早逝 ♀木戸 綾子 コトの二女 19390131 栃木 /清一の二女/君代の母/籍=相沢 チヨ 木戸 一郎 コトの長男 194107‥ 栃木 / ♀木戸 洋子 コトの三女 194404‥ 栃木 / ♀木戸 まき子コトの四女 194601‥ 栃木 / ♀木戸 幸子 コトの五女 194809‥ 栃木 / ♀木戸 さと子コトの六女 195010‥ 栃木 / 木戸 二郎 コトの二男 195209‥ 栃木 / ♀木戸 君代 綾子の長女 195711‥ 栃木 /清一の七女 ♀木戸 秋子 綾子の二女 19590322 栃木 / ♀木戸 町子 綾子の三女 19601107 栃木 / ♀木戸 恵子 綾子の四女 19620708 栃木 19630324 0 / ♀木戸 末子 綾子の五女 19640202 栃木 19640627 0 / ──────────────────────────────── ♀谷口 優子 弁護士 194801‥ ‥‥ / 大貫 大八 弁護士 19030602 栃木 19710722 68 /社会党衆参院議員/日弁連副会長/0615〜 大貫 正一 弁護士 1931‥‥ ‥‥ /大八の長男
「被告人は木戸清一(当五三年)の二女で、中学二年に在学中の昭和二 十八年三月ごろ、右父清一から姦淫されたのを契機として(略)遂に清 一に対する憎しみの情が一時に暴発し、たまたま、枕もとに置いてあっ た同人の仕事着のもも引きのひもが目に入るや(略)その場で窒息死に 至らしめて殺害したものである」〜起訴状(19681026) 「刑法二〇〇条は、結局親族共同生活において夫婦関係より親子関係を 優先させ、また親子関係においては前記相互平等関係より権威服従の関 係と尊卑の身分的秩序を重視した親権優位の旧家族制度的思想に杯胎す る差別規定であって、現在はすでに合理性を失ったものといわざるを得 ない。よって刑法二〇〇条は憲法一四条に違反する無効の規定としてそ の摘用を排除すべきである(略)被告人に対しては刑を免除するのが相 当である」〜第一審判決(19690529) 裁判長:被告人は警察で取調べを受けたとき、「十月五日父が被告人 に対し大声で俺は赤ん坊のとき親に捨てられ十七才のとき上京して苦労 した。そんな苦労をして育てたのにお前は、十何年も俺をもてあそんで きた。このばいた女」と言ったと述べています。この十何年間も俺を弄 んだとは何を意味しているのかと、被告人は考えたことがありますか。 綾子:それは女の人が男の人を弄んだということだと思います。 裁判長:被告人は小さいときに、心ならずも父親に手をつけられたの であるから、もとはといえば父親の方が悪いといえるかも知れない。し かしその後被告人は父親と十何年間も、夫婦同様の生活をしてきたのに、 父親が働きざかりをすぎた年頃になって、被告人が父親のところを去り 若い男といっしょになると言えば、父親としては被告人が男一人を弄ん だことになるのだというような趣旨のことを言ったようにもとれますが、 被告人もそのように考えたことがありますか。 綾子:そう言われればそうだと思います。(略) 裁判長:被告人とお父さんの関係は、いわば“本卦(ほんけ)がえり” である。大昔ならばあたりまえのことだった……。ところで、被告人は お父さんの青春を考えたことがあるか。男が三十才から四十才にかけて の働き盛りに何もかも投げ打って被告人と一緒に暮らした男の貴重な時 間を、だ(略)ともかく正当な罪の償いをしたうえで、きれいな身にな って考えてみることだね。〜第二審被告尋問 「懲役三年六月」〜控訴審判決(19710512) 「原判決を破棄する。被告人を懲役二年六月に処する。この裁判確定の 日から三年間、右刑の執行を猶予する(略)尊属に対する尊重や報恩と いう自然的情愛ないし普遍的倫理の維持尊重の観点からは尊属殺人を普 通殺人より重く罰することは不合理ではないが、刑法二〇〇条が尊属殺 の法定を死刑・無期に限定している点において甚しく不合理であり、憲 法一四条に違反する」〜最高裁判決(19730404) …… 「父の子である私の長女を身ごもってしまいました」 (司法警察員に対する綾子の供述書)以下、仮名。 http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480854088 ── 谷口 優子《尊属殺人罪が消えた日 19871106 筑摩書房》 ┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐ ↓=Non-display><↑=Non-display └┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┘ (20150109)
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