与太郎文庫
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1954年08月03日(火)  野太郎・補遺 〜 仮題・新聞部長のポスト 〜

 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19540803
 Ex libris Web Library;Rebel Without a Cause 1961[f:id:adlib:20190126140522j:image:w480]
 West Side Story 1955
 
 この件は、さきにまとめた自伝《虚々日々 20001224 阿波文庫》でも、
野太郎(20171013)のタイトルで公開したが、前後のエピソードに関連
するので、重複をいとわず(あとで気づいたことなど)追記・改稿した。
 
…… 立石 義雄も、この話に感動したとみえて、九日後には与太郎あて
の暑中見舞(19540803)に、わざわざ歌詞を書きそえている。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19540725 Ecce Homo
 
〔1〕
 
 三階の窓から、卒業生全員が見おろす中を、革手袋をパチンパチンと
鳴らせながら、坪井キャプテンが、与太郎に向かって歩いてきた。
── 《理由なき反抗 Rebel Without a Cause 19551027 America 19560418 Japan》
 
…… ついに、上級生の卒業式が終った。水泳部のキャプテンが、ブン
殴る情景を、最後の思い出にするため、新館校舎二階三階のベランダに
は、卒業生の顔がひしめいていた。
 情報を伝えてくれた友人たちは、いつのまにか姿をくらませている。
 はたして皮手袋をパチンパチン鳴らせて、キャプテンが歩いてきた。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19540526 水泳部歴代部長との確執
 
…… 《ウエスト・サイド・ストーリー》を観たあと、パチン、パチン
と指を鳴らして、時々サーッと両手を拡げたりしながら、家まで歩いて
帰る男(略)を想像したまえ。http://d.hatena.ne.jp/adlib/19641210
── 田村 忠彦《愛すべき人間 点展・第一号》
 
── 《ウエスト・サイド物語 West Side Story 19611018 America 1223 Japan》
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19270511 歴代アカデミー賞 1961 第34回
 ウエスト・サイド物語(正/誤)ウェストサイド物語
 
〔2〕
 
 この映画より七年も前に(指ならぬ)皮手袋を鳴らせて、坪井主将が
登場したのは、もともと古典的な不良のパフォーマンスだったのか。
 この相手に、立ち向かったのは、実は、小学校時代の学級横綱である。
 
 金谷先生が、病みあがりの与太郎を指して「お母ぁさん、決して勉強
させてはいけません」と宣告した結果、数年後には相撲を取れば、誰も
勝てないほどに強くなっていた。三人を相手にしても負けなかった。
 
 芝山先生は、休み時間の遊びかたまで見ていなかったので、与太郎が
相撲に強いことを知らなかった。みんなが先生に「あいつにかなわない」
と言っても、冗談だと笑っておられたほどだ。↓(卒業前のコンテ模写)
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19510101 失われたダビデ
── ミケランヂェロ《ダビデ像頭部 1951-1952》conte 1091×788mm
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JB3MAA
── 京都市教育委員会・監修《美術の鑑賞 19491010 都出版社》P023
 
 中学でも、休み時間に相撲を取ったが、狭い廊下で下駄箱に押しつけ
たら勝ち、というルールなので、これでは投げが打てない。
 
 二年から三年にかけて、斉藤家を訪れたときの雑談で「ボクシングは
見ておれない」と言ったのは「スモウなら自信がある」の裏返しだった。
 母上は「そうね、お相撲はユーモラスだもんね」と同調された。
 
〔3〕
 
…… 由良キャンプ以外に、春秋に宗教部主催の修養会がある。(略)
寡黙な参加者のひとり加藤 真也君は、水泳部歴代主将としては異色の
秀才肌であるが、同じクラスにはならず、口を利いたこともなかった。
 
 夜の討論会が終って、みんな座を去りがたい気分でいたところ、彼が
名指しで腕相撲を挑戦してきたのである。屈指の強豪である水泳部長と、
口先ひとつの新聞部長が対決すれば、結果は見るまでもない。
 
 周囲に囃されて、やってみると予想しない善戦となった。勝者も敗者
をほめてくれた。「なかなか、やるやないか」
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19540526 水泳部歴代部長との確執
 
 このあと田中部員にプールで襲われたり、高校では加藤主将とのあら
たな確執が断続し、つぎの小山 照夫主将からは婉曲ないやがらせなど、
卒業後も口を利かない不穏な関係が続いた。
 
 ほんとうは、ただひとり和解できた加藤くんに再会して、なぜあんな
対立が生じたのか、それぞれの青春を回想したかった。昨夕、カッパ君
との電話で、いろいろ話すうちに、懐旧の念がふたたびよみがえった。
 
(20190126)
 


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