与太郎文庫
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http://d.hatena.ne.jp/adlib/19461116 ぼくのいなか 阿波 之男
おじさんの家には、牛が一ぴき、うさぎが七ひきおります。 うさぎはこわくないが、牛は大きいので、こわくてちかよれません。 おじさんは、へいきで草をやっておられます。毎日大きな車に一ぱい つんだ草が、牛の一日のごはんです。 「あんなにたくさんたべて、おなかをこわしませんか」と、おじさんに 聞きましたら、牛はいぶくろが二つも三つもあると聞いて、ぼくはびっ くりしました。 また、うらの土手には、柿の木がたくさんあります。この間おばさん とおねえさんとで、柿のみを取りに行きました。おばさんに、 「あの一ばん大きなのを取って下さい」といったら、おばさんは「よし よし」といって、木にのぼったかと思ったら、土手からころころとおち て、下の田んぼの中へころがりこみましたので、ぼくは おねえさんと いっしょに大きなこえで笑いました。おばさんは赤い顔をして逃げて行 きました。たんぼの中には、おばさんのおしりや、手や足の形が、おも しろくついていました。(京都市立新洞小学校二年:指導者・武田福治)
[評]いなかのおじさんの家へ行って、そこで見た牛のごはんのこと と、おばさんのしくじりのことが、おもしろく書けています。
京都児童文学研究会・編/児童文化祭入選《優良文集・一二年の巻 1946》
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