睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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主人と食事を一緒にするのも初めてだが誰かと食事をするのもここにきてからは初めてだった。 ここにくるまえには一人で食べることはなかったのに・・・
ん?いまなんか思い出しかけたような・・?まいいや・・・
3人が3人とも無言で食事をしている。なんか気まずい雰囲気だ。 いつもより豪華な食事なのになんだか味がしない。
「雨、わたくしのせいなんです・・申し訳ありません。」 聞き取れるか聞き取れないか微妙な声なのに言っていることははっきりわかった。 「え、あなたのせいって別に雨なんか。」 「いいえ、ここで雨が降るのはわたくしがこの宿へお訪ねするときだけなんですの・・・。」 「はぁ・・・・。」
彼女は雨女なんだそうだ。何かあるときに雨が降ると誰かのせいにしたよなぁ・・・と言っても彼女はどこにいても雨がつきまとうのだそうだ。 「ここへはなぜ?」 「ええ、ここの椿の枝が必要なので。」
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