睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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「手のひらに乗る程度のできるだけ丸い石を、3個探してください。」川を見つめたまま主人はそう言うと、立ち上がった。 僕は何とか、これでいいだろうと思われる石を3個見つけた。 「こんなのでいいの?」 「十分です。」そうして主人は石を受け取ると川に入っていった。
背の高い主人がつかると、けっこう、ここの川深いんだな・・・と思った。 そうして。主人は一つ目の石を川上へ2個目の石を川下へ最後の石を足元へと落とした。ただ、それだけをして彼は、岸へ上がってきた。 「さぁ、行きましょう。まもなく降りますよ。」そう言っていつもの、含み笑いをしながら宿へと戻っていった。
言葉通り、彼の姿が見えなくなったとき降り出した。 天気雨が・・・・いや・・・・「きつねのよめいりだ・・」
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