Daily Notes

2002年09月02日(月) 逃走中でなければハネムーンみたい

9月になっても熱帯夜は続くよどこまでも。
こんな時はガンガンに冷やした部屋で本でも読んでいたいところです。
最近まったく活字から離れていたので、なにか本でも…と思って紀伊国屋へ行ったのですが、あれもこれもそれも欲しくなってしまい結局小説は買わず。ついついふらふらと一番奥のマンガ本コーナーへ行ってしまい、そういやいつの間にかどこかへいなくなってしまった萩尾望都の『11人いる!』を買いなおすことにしまして。そーなんですよー、好きだと言ってた本なのに手元に無くてね。今出てるのって、流行の「まとめた文庫版」で、私が持ってたやつはちゃんと本編と続編と2冊に分かれてたのだったんですが、その2冊とも無くて、しかたなく一冊にまとまってる文庫版を買ったですよ。
おもしろいですよねえ!やっぱり好きだ。そう、なにを隠そう(隠す気は無いが)私はフロルベリチェリ・フロルが一番好きさ。昔から。
この直情型の血気盛んなお子さんが大好きで、そんでもってこのフロルをああもう、って呆れながらも面倒を見てしまうタダくんも大好きで、まあ野阿さんの原点ってこんなとこなのかしらね、て感じです。あはは。
本編も続編もどちらも甲乙つけがたいくらいよいのですが、やっぱりフロルとタダがこれでもかこれでもかっってくらい仲良しなのは続編のほうでしょう。愛の逃避行は楽しい。


中学1年の時の担任が、まだ新任て感じの若い熱血教師であった。学期の初めに彼は、クラスの生徒に一冊ずつノートをくれて、毎日日記を書くことを言い渡した。出席番号順に、曜日ごとに提出させた。忘れてくるとゲンコツだった。
そのとき、たまたま私はこの『11人いる!』の話を日記に書いた。マンガ好きなことは知れていたので。そしたら、(まるで赤ペン先生のように、その教師は全ての日記に赤ペンで返事を書いてくれていた)「俺もそのマンガ好きなんだよ!」とゆー返事があり、がぜん盛り上がってしまったのだ。
彼はさすが熱血漢なので、四世のファンであった。友のために命を絶った、悲しき王子。
そんな熱血教師は、時折やっぱり生徒に嫌われた。私も、なんか授業中にマンガだか文章だかをかいていたのがバレて、「そんなに好きなことばっかやってたいんなら、学校なんか来るな」と怒られたりして、うっせバーカ!なんて思ったりした(ああ恥ずかしい)。
中学を卒業してから、彼には一度だけばったり会った。大学に合格したときだ。東京に行くと言ったら、一言、まあがんばれよ、とだけ言ってくれた。
それっきりでしたね。
熱血教師は、6年くらい前にガンで死んでしまった。まだ30代だったはずだ。ああ、人のいのちのあっけないこと。
別に、すごくいい先生だったとも思わないんだけど、でも、生きてまた会う機会があったら、もう一度、好きなマンガの話しなどしてみたかったかな、と思ったりするって、それだけなんだけどね。


計らずも秋っぽい話になってしまった。
自分の身がおかれている現状もさっぱりわかっていないような、のんきなフロルは、だけど友の真実のためには叫ぶ。守るべきものを知っている。
だからかわいい。こっちが守ってあげたくなるじゃないか。
と、相手がひれ伏してしまうのも、もちろん知っている、フロルが好きだ。
タダは一生離れられないんだろうなあ。


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